「お体に気をつけて」の手紙やメールでの使い方・類似表現

目次

「お体に気をつけて」とは?

「お体に気をつけて」は、相手に対する気遣いを示す言い回しで、挨拶の他、年賀状や手紙でもよく使われます。しかし敬語としての表現としてはやや弱い言葉でもあるため、実際に使う場合には、ある程度の注意が必要になってきます。「お体に気をつけて」の意味や正しい使い方、NGとなる表現などついて、ここから詳しくご紹介していきます。 相手への体調を配慮する思いやりを示す「お体に気をつけて」という言葉、ぜひ皆さんも身の回りの人たちにこの言葉を使い、より良い関係を築くようにして下さい。

字の表記方法、「お体」と「お身体」の違いとは?

「お体に気をつけて」の「おからだ」には、他にも「お身体」という書き方があります。 体と身体はどちらも「からだ」と読みますが、意味は少し変わります。 「体」は、頭から足まで、肉体そのものを指します。それに対し、「身体」の方は、心や精神、魂までをも含めた人間全体を指します。人間性と言ってもいいでしょう。ですから、「動物の体」「人形の体」とは言っても、「動物の身体」、「人形の身体」とは言わないわけです。 とは言え、いずれも「人の体」という意味は入っているので。「お体に気をつけて」「お身体に気をつけて」のどちらを使っても良さそうに思えます。しかし、実際には「お身体に気をつけて」が使わることはありません。

「お身体に〜」はなぜ使われない?

「お身体に気をつけて」が使われない理由として考えられるのが、「身体」は「からだ」と読むのと同時に、「しんたい」とも読めてしまうことです。むしろ公式的な文書では、そのように読むのが一般的です。そうなると手紙や年賀状などに書いた場合、「おしんたいに気をつけて」と読まれてしまう可能性が高く、日本語としておかしくなってしまいます。 また、言葉の意味としても「心」が入っていることから、「メンタルにも気をつけて」という内容になってしまい、少し重たくなってしまいます。上司や年上の人に対して、肉体的な健康の心配をするならともかく、心の心配までするのは、やや僭越と言えるでしょう。敢えて肉体的な「体」に絞ることで、適度な距離感を作ることができる言葉となります。

「気をつけて」とは

次に「お体」に続く「気をつけて」について見ていきましょう。「気をつけて」の「気」とは、生命、意識、心などの状態や働き、精神の傾向などを指します。「つけて=つける」には、「装着する、まとう」などの意味があります。 つまり「気をつけて」は、何かに対して意識を向ける、注意を払うなどの意味となり、その前に「お体に」と書いてあることから、体の健康を意識する、健康に注意する、という事を指す言葉となります。これにより「体調管理に意識を向けて注意をしてください」という、相手への配慮になるのです。 このことから、「気をつけて」の類似語として、「用心する」「留意する」「大切にする」「大事にする」などが考えられ、これらが場面によっては言い換えの言葉にもなってきます。

「気をつけて」と「お気をつけて」の違い

さて、この「気をつけて」に「ください」を付けて、「お体に気をつけてください」と言うのは、よくある言い回しです。しかし、ここで「気」にも「お」を付け、「お体にお気をつけて」とするのは、間違った使い方になります。 つまり、 ・お体に気をつけてください(元の表現) ↓ ・お体にお気をつけてください(「お」をつけたもの)=半分間違い ↓ ・お体にお気をつけください=正解 です。 これはいったい、どういうことでしょうか?

「お気をつけてください」には問題がある

「お気をつけてください」と「お気をつけください」。どちらも似ていまいますが、実は大きな違いがあります。 「気をつける」だと少し分かりにくいので、似た言葉である「投げる」で検証してみましょう。「投げてください」に「お」を付けた場合の正しい言い方は、「お投げください」です。「お投げてください」ではありません。同じように「食べる」の場合も「お食べください」が正しく、「お食べてください」ではありません。ですから「気をつける」も「お気をつけください」が正しく、「お気をつけてください」とは言わないのです。 しかし、これが「半分間違い」というのは、どういうことでしょうか?ポイントは、「お」の掛かる範囲が何処かということになります。

「お気をつけてください」は使わないことが望ましい

例えば、「肉を食べる」という言葉は、「肉を」「食べる」の2語に分けて解釈されます。ここで「肉」に「お」を付けても、「食べる」には掛からないため、「お肉を食べてください」と言うことが出来ます。しかし「食べる」の方に「お」を付けると、「肉をお食べてください」というおかしな日本語になるのは先程の説明の通りです。 「気をつける」も、「気を」「つける」という2語に分けて解釈すれば、「気」に「お」を付けても「つける」には掛からないため、「お気をつけてください」と言えます。しかし一般的に「気をつける」という言葉は、纏まった単語として受け取られる慣用句です。そうなると「お」が「つける」にまで掛かるため、「お気をつけてください」は避けた方が賢明となります。

「お体にお気をつけてお過ごしください」は問題ない

このように、「お」の掛かる範囲が何処かで使い方の正誤が決まってきます。もともとの「お体に気をつけてください」という表現の場合、そもそも「気をつける」に「お」が掛かっていないため、問題のない表現となっています。 このように「お」を付けると使い方が少し難しくなりますが、正しい表現をするよう、頑張ってください。

「お体に気をつけて」の使い方

「お体に気をつけて」は、言ってみれば、コミュニケーションで使われる決まり文句ですから、使い道はあらゆる場面で考えられます。手紙、メール、年賀状、口頭。相手も会社の同僚、取引先、友人、親族。その内容も、怪我、病気、妊娠、転勤、あるいは時候の挨拶や年末年始など、様々です。

「お体に気をつけて」は誰にでも使える?

「お体に気をつけて」は相手の健康を願う気持ちを伝える言葉ですから、誰に対しても使うことが出来ます。ただ、敬語的な表現が入っているため、基本的には自分よりも目上の人に使うことが望ましいと言えるでしょう。 同い年の友人にも使えますが、ある程度かしこまった表現になるため、使う場面としては、手紙や年賀状などで、定型句として使うことが考えられます。また言い切りで使うことでフランクなイメージになりますので、別れ際に「お体に気をつけて!」と挨拶するのも良いでしょう。

退職する人に「お体に気をつけて」を使う場合

例えば、退職する人に「お体に気をつけて」を使う場合、退職には色々な理由や経緯がありますから、相手の人の事情に合わせた内容の文章にする事で、「未来に向かって頑張ってください」という気持ちを伝えることができます。 退職理由が病気であるなら、「くれぐれもお体に気をつけて、養生なさってください」などが適切です。「頑張ってください」は、元気のない人に向けては不適切とされる事があります。 退職理由が定年退職であるなら、「お体に気をつけて、これから穏やかな日々をお過ごしください」など、生活を楽しんで欲しいという伝え方が良いでしょう。 退職理由が出産であるなら、「お体に気をつけて、元気でかわいい赤ちゃんを産んでください」など、応援の気持ちを込めましょう。 退職理由が転職であるなら、文字通り「お体に気をつけて、転職先でも頑張ってください」と、ストレートに「頑張ってください!」の気持ちを込めましょう。

目上の人に「お体に気をつけて」を使う場合の注意点

「お体に気をつけて」という言葉自体は、上司や目上の方に使ったとしても、失礼にはあたりません。ただし、それ単体で使うとかなり唐突な印象を与えてしまいます。 例えば友達との別れ際に「じゃあ、お体に気をつけて、またね!」と言っても不自然さはありませんが、転勤する上司を見送る時に「お体に気をつけて!」と言うと、少し距離感が近すぎる印象となるでしょう。

「お体に気をつけて」に必要な敬語

「お体に気をつけて」という言い回しは相手に対する気遣いを示しますが、敬語としての表現としてはやや弱くなっています。そのため、誰にでも使える良さがある一方、目上の人に使う場合は、敬語となる表現を追加する必要があります、 そもそも「お体に気をつけて」だけでは文章として成立しておらず、命令口調にもなってしまっています。「お体に気をつけて頑張ってください」や「お体に気をつけてお過ごしください」など、言葉を繋げることが必要です。 例えば「くれぐれも」や「十分に」を前に加えたり、「お過ごしください」や「くださいませ」等を後ろに付けて、より丁寧になるよう、配慮しましょう。

「頑張ってください」は避けた方が無難

一般的に、目上の人に「頑張ってください」を使うのはあまり望ましくないとされています。そのため「お体に気をつけて、頑張ってください」は一見、使いやすい言葉なのですが、自分と同じ程度の経歴や年齢の人や、年下の人以外には使わないようにしましょう。 「頑張ってください」を言い換える表現としては、下記のようなものがあります。

「頑張ってください」の言い換え表現

・今後のご活躍をお祈りしております ・ご健闘をお祈りしております ・ご成功をお祈りいたします ・陰ながら応援をしております ・ご健勝とご活躍をお祈りしております

「お体に気をつけて」の例文

では、柔らかい表現の中にも相手への敬意を込めて丁寧に伝える「お体に気をつけて」を使った例文を紹介します。特に手紙などでは使う機会が多いでしょう。 ・季節の変わり目で寒暖の差が大きい折、お体に気をつけてお過ごしください。 ・まだまだ暑い日が続きますが、どうかお体に気をつけて残暑を乗り切ってください。 ・このところ急に寒くなってきましたが、どうぞお体にお気をつけてくださいませ。 ・ご多忙とは存じますが、どうかご無理をなさらぬよう、お体にお気をつけてください。 ・日に日に暑くなってまいりましたが、くれぐれもお体にお気をつけください。 ・これからもお体に気をつけて、末永くお幸せにお過ごしください。 ・新天地でもお体に気をつけて、◯◯さんらしく元気で頑張ってください。※自分より目上の人ではない場合

年賀状に使う「お体に気をつけて」の例文

年賀状の例文①:皆様いかがお過ごしでしょうか。こちらは家族一同、元気に過ごしております。厳しい寒さが続きますが、お風邪など召しませぬよう、お体に気をつけてください。 年賀状の例文②:昨年はいろいろ良くしていただき、ありがとうございました。お体に気をつけて、ますます元気なおふたりでいてください。 年賀状の例文③:昨年は大変お世話になりました。まだまだ寒さが厳しい季節です。くれぐれもお体にお気をつけてお過ごしください。本年もよろしくお願い申し上げます。 年賀状の例文④:ご無沙汰しております。お変わりありませんでしょうか?昨年我が家には新しい家族が増えました。寒さが日々増していく折から、皆様もどうかお体に気をつけてください。 年賀状の例文⑤:旧年中はお世話になりまして、誠にありがとうございました。またお会いできます事を楽しみにしています。寒さ厳しい折、お風邪など召しませぬよう、お体に気をつけてください。 年賀状の例文⑥:東京でも朝晩の冷え込みが続いています。そちらはいかがですか。なかなかお会いできませんが、どうかお体にお気をつけて、よき一年をお過ごしください

手紙での「お体に気をつけて」の使い方

メールなどに押され、手紙を出す機会は減ってきていますが、気持ちを伝えるためには今でも有効な手段です。そんな手紙においても、「体に気をつけて」は使いやすい表現です。 手紙は、冒頭の挨拶や相手の状況を伺う前文、伝えたい用件を伝える主文、そして結びの挨拶である末文で構成されます。「体に気をつけて」というフレーズは、まず、この中の前文や主文では使いません。そして本文の主題がお見舞いに当たるものではない時に限り、最後の結びの部分で使うことになります。 末文は、主文が終わったところで一回改行し、新しい行の先頭から書き出します。その場合、「末筆になりますが」などのクッション言葉を置く事も一般的です。その上で、「体に気をつけて」を含んだ一文を差し込むようにしましょう。

「お体に気をつけて」のより丁寧な言い方

「お体に気をつけて」は使いやすい言葉ですが、尊敬語としてはやや弱い表現です。そこでビジネス文書や手紙では、「お体に気をつけて」以上に相手に配慮した言葉が使われています。ここでは「お体に気をつけて」をさらに丁寧に言い換える言葉をいくつか紹介します。使う相手や場面に応じて使い分けをして下さい。

「お体に気をつけて」の言い換え①お大事になさってください

文字通り「自分の体を大事にしてください」という意味になります。相手を気遣う時のフレーズです。「大事」に尊敬語の「お」が付き、さらに「する」の尊敬語の「なさる」が続くので、申し分のない尊敬語となります。目上の人への手紙やビジネス文書などで使える表現です。さらに、冒頭に「どうぞ」や、末尾に「ませ」を付けると、さらに丁寧になります。 「お大事になさってください」の例文 ・風邪で体調が優れないとのこと、どうぞお大事になさってください。 ・ご入院中は何かとご不便な事とお察しいたしますが、どうかお大事になさって、一日も早くご回復をされますよう、心よりお祈りしております。 ・寒暖が続く季節柄、くれぐれもご無理をなさらないよう、お大事にお過ごしくださいませ。

「お体に気をつけて」の言い換え②ご自愛ください

「ご自愛ください」は「自ら愛する」という意味であり、「自分の体を愛してください=大事にしてください」という気持ちを伝える表現となります。「ご自愛ください」は通常の話し言葉の中ではあまり使われず、手紙やメールの中で使うのが相応しい言葉です。暑中見舞いや寒中見舞いでは定番のフレーズです。 「お大事になさってください」と同様じく、「どうか」「どうぞ」「くれぐれも」などをつけると、更に柔らかい表現となります。 「ご自愛ください」の例文 ・季節柄、くれぐれもご無理なさらないよう、ご自愛ください。 ・まだまだ暑い日がつづきますが、どうぞご自愛ください。 ・寒さ(暑さ)厳しき折、くれぐれもご自愛ください。 ・酷暑(酷寒)の折、ご自愛のほどお祈り致します。 ・残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいますようお願い申し上げます。 ・猛暑の折、ご自愛なされますようお祈り申し上げます。

「お身体をご自愛ください」は間違い

「自愛」は、「自分のことを大事にしください」という意味ですが、「自」という言葉の中には「その人の心身」が含まれています。そのため「お身体ご自愛ください」という表現にすると、同じことを2回繰り返してしまうことになります。そのため「ご自愛ください」に「お体」「お身体」「心身」「御身」などを付けるのは、間違った使い方となります。表現として短いので、つい言葉を継ぎ足したくなりますが、「ご自愛ください」とだけ言うのが正解です。

闘病中の人に使うのはNG

「ご自愛ください」を使えるのは、いま現在健康を維持できている人に限られます。元々の意味が「自分を大切にする、自分の健康状態に気をつける」であり、そこから、「今後も今のまま健康でい続けてください」という気持ちの表現になるからです。 既に体調を崩したり病気になっている人に対して「健康に気をつけて下さい」と言うのは、適切だとは言えません。特に、療養中や入院中など、明らかに病気になっている事がわかっている相手には使わないことです。

「ご慈愛」も誤り

「ご慈愛」はもともとキリスト教の言葉で、キリストが人の子に対して持っている愛であり、純粋な愛だとされていまます。そこから転じて、親が子供をいつくしみ、かわいがるような深い愛情を指し、「慈愛に満ちた母の心」などと使われます。読み方はおなじ「じあい」でも、自分を愛すという意味の「自愛」とは、方向が180度逆ですので、「ご慈愛ください」は明確な間違いということになります。

「お体に気をつけて」の言い換え③養生なさってください

「養生なさってください」という言葉も「お体に気をつけて」と同じく、相手の健康を願うフレーズです。「養生」とは、病気など体が弱った状態から、再び元気になるために回復を期するという意味を持っています。また、引っ越しの際に使う保護材も「養生」と呼ぶなど、体や物を大切に保護するという意味も含まれています。 そのため「ご自愛ください」と同様、相手の体調に配慮する言葉として使えるうえ、「ご自愛ください」を使うのが不適切とされる、入院中や闘病中の人にも安心して使えるメリットがあります。相手の健康に不調がある場合は、この「養生なさってください」を使いましょう。

「お体に気をつけて」の手紙やメールでの使い方・類似表現まとめ

いかがだったでしょうか?手紙やメール、年賀状や別れ際の挨拶など、「お体に気をつけて」は使う場面の多い言葉ですが、意外な使い方のルールやマナーもあったのではないでしょうか? 相手の体調への配慮を示すことは大事ですが、それが逆に失礼になるような結果になっては、もったいないというものです。正しい意味や表現方法を理解して、適切に使う必要があります。ぜひ、相手にとっても気持ちの良い「お体に気をつけて」という表現を使いこなし、場合によっては代用となる表現も使って、相手とのよい関係を築いてください。