【現実主義とは】その意味と現実主義者の性格について

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人と会話をしていると「現実主義だね」なんて言われたり、「現実主義的な考え方をすると…」なんて使われ方をしているのを耳にした経験はありませんか。そんな現実主義という言葉。英語では「リアリズム(realism)」という言い方をします。英語の「リアル(現実)」と「イズム(主義)」を合わせた言葉です。「リアリズムだね」なんて英語での使われ方はあまり耳にしませんが、現実主義という言葉にはどんな意味があるのかご存知でしょうか。 言葉の通り、現実を重視して物事を捉える態度のことを、現実主義といいます。現実主義は、現実に起こりうること、しかもそれが起こる確率が高いことを判断基準として物事を考えます。大切なことは、現実に即したデータや根拠です。「ありえないかも」や「もしかしたら」なんてものを排除したものが、現実主義的な考え方になるのです。希望的観測を捨てた考え方だといえます。 ちなみに現実主義という言葉は、国際政治学の考え方としても使われています。本来の意味・用法は国際政治学のほうだという人もいます。 なので、日常的にもよく使われる現実主義という言葉は、英語の「リアリズム」というほうが、この日本においては当てはまっているのではないかと思います。英語のリアリズムには、写実主義という意味もあり、これは美術や文学における主張を表すのですが、「現実をありのままに捉える」というものです。私たちがよく使う現実主義も、これと同じ概念だといえます。

現実主義と対にある理想主義とは

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現実主義という概念の歴史は、遅くとも美術の写実主義が生まれた19世紀には誕生していたようです。そのときに対の関係にあったのが「ロマン主義」です。英語では「ロマンチシズム」といいます。意味としては、空想的で情緒を好み、形式にとらわれない主義のことです。 同様に、今回の話である現実主義にも、対になる関係の概念があります。それが「理想主義」です。英語で「アイデアリズム(idealism)」といいます。こちらも同様に国際政治学での言葉の意味もあるのですが、現代ではロマン主義と似た使われ方をしています。 意味としては、理想を追い求める態度です。現実ばかり見ずに、理想を立てて感情に従って行動していくような考え方です。現実を良くしていくには理想主義的な考え方をしていかないと、一向に改善はされていかないので、実は大事な主義だったりします。

現実主義者とは

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ここまで現実主義、英語でいうリアリズムについて解説してきましたが、ここからはその概念を持つ人たちについてご紹介していきます。 現実主義を持つ人たちのことを、そのままですが「現実主義者」と呼びます。英語では「リアリスト(realist)」といいます。反対に理想主義の人たちは「理想主義者」、英語では「アイデアリスト(idealist)」といいます。 現実主義者は、本人がそう思っていなくても現実主義者だったりします。あらゆる人はたいていの場合、現実主義者か理想主義者かに大別できます。そんな現実主義者の特徴や性格はどんなものなのでしょうか。具体的に解説していきます。

現実主義者の特徴

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現実主義者の特徴としては、なんといっても常識の範囲外では物事を考えないことです。その人がこれまでの人生で得た知識やデータ、経験から鑑みて物事を判断します。 たとえば、「プロ野球選手になりたい!」という子供がいた場合、本当になれるのかを現実的に考えていくのが現実主義者です。その子の現在の能力はどうか、親の運動能力はどうか、練習環境は整えられるのか、将来的にどれくらい身長が伸びるのか、どういう道筋でプロ野球選手になろうとしているのか…など、本当に実現できるのかを分析します。 ここまで吟味しなくても、「将来の夢はプロ野球選手」と聞いて、「そんな簡単なものではない」と思うのか、「すごい!がんばれ!」と思うのか、どちらかに分かれるかと思います。前者であれば現実主義者、後者であれば理想主義者の気質があるといえるでしょう。 仕事でも同じです。「世界に通じる会社にしたい」という経営者の言葉を、どう捉えるのかは人によって違うでしょう。そして、どんな場合でも現実主義者、理想主義者のどちらも必要だと感じます。また、現実主義か理想主義かというものは、生まれたときからというよりも、後天的に身につく要素も多いと思います。過去の経験の積み重ねや、周りの影響で徐々にどちらかにシフトしていくものなのではないでしょうか。 また、以下に現実主義者の具体的な特徴をご紹介します。

現実主義者の特徴【リスクを冒さない】

現実主義者はリスクの高いこと、実現が難しいものには手を出しません。周りの介入によって手を出しても、本気では取り組みません。なぜなら、現実的ではないからです。儲け話があったとしても、本当に儲かるのかが判断できない限りは安易に手を出しません。どのくらい儲かるのか、なぜ儲かるのか、リスクはないのか、いろいろ考えます。「ちょっとやってみよう。だめなら仕方ない」という考えにすら至りません。失敗を恐れ、チャレンジ精神がないもいえます。失敗する姿を周りに見せたくない人なので、プライドが高いともいえるでしょう。

現実主義者の特徴【事実と結果を大切にする】

現実主義者は現実をありのままに捉えて生きています。そのため、自分の判断基準となる事実、結果を大切にしているのです。日本人が陸上の100m走で10秒を切ることに対して、少し前であれば非現実的だ、なんて言っていたとしても、今ではあり得ると胸を張って言うでしょう。なぜなら実際に桐生祥秀選手によって9秒台の記録が出ているからです。 みんなが9秒台の記録を心待ちにしていたときでも、現実主義者は心の隅っこでは無理だろうと半ば決めつけていたはずです。それは、これまで誰一人としてその記録を達成したものがいなかったからです。現実主義者の中には、もっと論理的に考えて9秒台の記録が出るのは時間の問題と考えていた人もいるでしょうが、そこまで大きな期待は寄せていなかったのではないでしょうか。

現実主義者の特徴【感情で動かない】

こちらも大きな特徴のひとつです。現実主義者は感情的になることはそう多くありません。自分が楽しそうだと感じたから実行する、嫌だからやらない、といったような感情では行動しません。感情を抑えて、それは現実的なのか、なぜやる必要があるのか、やらないとどんな不利益が生じるか、などの側面から物事を判断するので、感情の赴くままにふらふらとするようなことはありません。 感情で動かないので、理不尽な怒り方をしないのは周りの人たちにとって嬉しいポイントです。怒るときでも、理路整然となぜいけないかを伝えながら現実的な話に終始します。 逆に感情を大切にして行動をするのは、理想主義者の特徴です。理想主義者は情緒や感情をもとにいろいろと考えを巡らせるので、現実主義者とは対になる考え方をしています。

現実主義者の特徴【計画的】

感情で動かないということは、その場で無計画に動き出さないということにもなります。何か興味を引く商品があっても、一時の感情で購入を決断したりはしません。これは自分に本当に必要か、どれくらいの価値があるのかをきっちりと考えます。そういった点では、お金に対してもシビアだといえるでしょう。 また、なにか目標を成し遂げようとするときでも、計画に沿って実行していきます。むしろ計画を立てている段階で、実現が難しいと判断した場合は、実行には移しません。無理なことは無駄な時間を使うことになると考えるので、取り掛かりもしないのです。 計画が問題なく立てられた場合は、しっかりと現実に落とし込んだ計画となっているため、実現能力も高いといえます。

現実主義者の性格

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そんな特徴を持つ現実主義者を性格で分類すると、以下のようなことがいえます。

現実主義者の性格【真面目】

「あの人は真面目だなあ」なんて言われやすいのが現実主義者です。事実や根拠性の高いものを基準に、できない、やる、やらない、などを判断するので、相手に堅い印象を与えます。一方で真面目な裏には、周りに迷惑をかけたくないという気持ちも潜んでいます。だからこそ、現実主義で物事を捉え、自分にも周りにも迷惑にならないような結果を期待して行動をとっているのです。

現実主義者の性格【細かい】

現実主義者は細かいことまで気にします。なぜなら細かい点まで考慮しなければ、それが現実的かどうか正しく判断できないからです。何気ない会話でも、「それっておかしくない?」などと細かい点を突っ込んできたりするので、相手を辟易させる場面も。キレイ好きとかいうものではなく、話をしていると「細かいなあ」と感じるような印象です。

現実主義者の性格【責任感がある】

自らの発言に責任を持つからこそ、現実主義者であるともいえます。理想主義者の場合、掲げるのはあくまでも理想であり、実現できるかどうかを基準とはしていません。反対に現実主義者は、実現可能かどうかという点で物事を判断して、それが発言にもつながるため、自らの発言に責任を持ちます。何かを任されても、現実的な考え方で実行有無を判断するので、一度できると判断すれば、最後までやり通す責任感があるといえます。

現実主義者であることのメリット・デメリット

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現実主義者の特徴や性格について見てきましたが、現実主義者であることにどのようなメリット・デメリットが存在するのでしょうか。

現実主義者のメリット

周りから信頼されやすいというメリットがあると思います。それは、現実主義者は夢物語ではなく、現実的な話をして、それをきっちりと遂行していく人だからです。結果を残せるかもわからない段階で大口を叩く人より、きっちりと自分のできることをこなしていく人のほうが、信頼できますよね。 また、感情に流されずに自分を律することができるので、お金で失敗をすることも少ないでしょう。散財したり、ギャンブルにハマったりなんてことは少ないはずです。 周りからすると、現実主義者は真剣な話の相談相手に合っていると思います。現実主義者からシビアな質問が飛んでくるかもしれませんが、現実主義の考え方は重要な判断を下すときには非常に有効です。納得のいく回答が得られるのではないでしょうか。 昔読んだ本では、アイデアを膨らませるときは理想主義者たちと、そのアイデアを形にするときには現実主義者たちと会議の場を設けるべきだと書いていました。現実主義者だからこそ出せる意見というものがあり、重宝されているのです。

現実主義者のデメリット

現実主義者であることのデメリットを挙げるとすれば、つまらない人間だと思われてしまうことでしょう。夢物語には付き合わない性格、もしくはどうしても突っ込みをいれてしまいたくなる質なので、話の腰を折ってしまったりします。また、一方は気楽な話題を話していたつもりでも、現実主義者は結構真面目に物事を考えます。なので、真剣に答えようとするのですが、相手はそこまでの真剣さを求めていないなんてことも起こります。 感情では物事を捉えず、現実的な正論で話を進めいくので、相手に冷たい印象を与える場合も。真面目すぎ、考えすぎ、と言われたとしても、現実主義者はそういう概念が形成されてしまっているので、簡単にはスタイルを変えることができません。

偉人・有名人の現実主義に関する言葉

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多くの方が知っている有名人や偉人も、現実主義に関する言葉を残しています。

宮崎駿

映画監督の宮崎駿氏。『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』など、いつの時代も色あせない人気作を多数手掛けてきました。多くの方が彼の作品を一度は観たことがあるのではないでしょうか。そんな宮崎駿氏の言葉がこちらです。 「理想を失わない現実主義者にならないといけないんです。理想のない現実主義者ならいくらでもいるんですよ。」 映画製作について語ったもので、現実主義者の胸にチクリと刺さりそうな言葉ですね。この後には「理想がない現実主義者ってのは、最低だからね。」なんて言葉も続きます。もちろん現実主義者そのものを否定しているわけではなく、理想を持った現実主義者でないと価値がないという意味の話をしています。映画製作のみならず、私たちの日常においてもとても大切な考え方であると感じます。

ロマン・ロラン

続いてはフランスの作家、ロマン・ロランです。あまり知らないなんて人も少ないないかもしれませんが、ノーベル文学賞も受賞しているなど、世界的に有名な小説家です。代表作は『ジャン・クリストフ』や『ベートーヴェンの生涯』などです。彼自身は理想主義、平和主義を掲げており、作風にもそれが表れています。そんな彼の言葉がこちら。 「理想主義のない現実主義は無意味である。現実主義のない理想主義は無血液である。」 前半部分は宮崎駿氏の言葉と似ている気がします。後半は理想主義のあり方にも触れており、”無血液”という言い方に作家らしさを感じますね。現実主義と理想主義のどちらか一方に特化せず、両方をバランスよく取り入れないと意味がないということを言っています。

オードリー・ヘプバーン

大女優オードリー・ヘプバーンの名前は誰もが聞いたことがあるかと思います。『ティファニーで朝食を』『ローマの休日』などの代表作を持ち、多くの人を魅了してきました。そんな彼女が現実主義について語った一言がこちらです。 「奇跡を信じない人は、現実主義者とはいえません。」 晩年はユニセフでの慈善活動に精を出していた彼女。安全できれいな水を家のすぐそばで手にできる環境は、奇跡がもたらしものであるとしています。現実にはそんな奇跡が起こりうる。だから奇跡を信じられないような人(=現実がわかっていない人)は、現実主義者とはいえないんだという意味です。

安岡正篤

最後は思想家の安岡正篤です。吉田茂、池田勇人、佐藤栄作…など歴代の首相も、彼を師と仰ぎ、指導をもらっていたといいます。ちょっと長いのですが、こちらの言葉を紹介します。 「理想主義は、よほど本人がしっかりしないと空想になる。どちらかといえば現実主義の方が間違いが少ない。その代わり、これが間違うところう(=頑固)になり、進歩がなくなる。少々進歩がなくても確かなほうが安全だ。だから人間は自然には、だいたい現実主義者である。そういう意味から、少し危なっかしくても理想主義者のいる方が刺激的で進歩があるともいえる。なかなか人間は難しい。」 人間は基本的には現実主義になっていくのが自然の流れなのだそう。確かに納得のいく説明です。人間のあり方について考えさせられる言葉です。

現実主義・現実主義者に関するまとめ

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現実主義、英語でいうリアリズムとは何なのか。現実主義者、英語でいうリアリストとはどういった人たちなのかについてご紹介してきました。現実主義者であることは決して悪いことではなく、世の中に必要な存在です。そういった中でも、偉人たちの言葉を見ると、現実主義だけを貫いているような場合、新たな価値を生み出すこともできないため、重宝されるような存在ではないようです。 現実主義であっても、その中に理想を掲げることが、その人にとっても周りの人にとっても重要な事柄であるといえます。「自分は結構現実主義かも」というような方は、ぜひそれをベースに現実にとらわれすぎない発想で行動してみてはいかがでしょうか。