「舌の根も乾かぬうちに」の意味や由来・類義語や英語での表現方法

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相手にため息をつかれながら、「君は舌の根も乾かぬうちにさあ...」なんて言葉をかけられたことがある人は、そのときかなり気まずい思いをしたのではないでしょうか。直接この言葉を言われたことがある人はそう多くはないでしょうが、「舌の根も乾かぬうちに」という言葉自体は耳にしたことがあるかと思います。 読み方はそのまま「したのねも かわかぬうちに」です。あまりいい場面で使われる言葉ではなく、相手がさっき言ったことに反する発言・行動をしたことを非難するときに用いる慣用句なのです。今回はこの言葉の意味や由来をはじめ、他にどのような表現方法があるのか、英語ではどう表現するのかなど、詳しく解説していきます。

「舌の根も乾かぬうちに」の意味

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「舌の根も乾かぬうちに」とは、『言葉を言い終わるか終わらないうちに』『言い終えてすぐに』という意味があります。使う場面としては、相手が『前言に反したことをすぐに言ったり、行ったりする様子』を非難するときに用います。簡単に言うと、「さっき言ってたことと違うじゃん!」というときに使う言葉です。

「舌の根も乾かぬうちに」の使い方・例文

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具体的にどのような使い方をするのかを見たほうが、言葉の意味もわかりやすいかと思います。この言葉の使い方としては、【前半部分+「舌の根も乾かぬうちに」+後半部分】という構成になります。後半部分で、前半部分のことを打ち消す、否定する表現が必ず入ります。また、構成としては前半部分を後半部分に持ってきて繋げても成立します。それぞれ具体的には以下のような形です。 ・彼女はダイエットを始めると言ったのに、舌の根も乾かぬうちにケーキを食べた。 ・彼は先程、この仕事が今日中に終わると言っていたのに、舌の根も乾かぬうちに期限を明日に伸ばしてほしいと言ってきた。 ・お酒はもう飲まないと約束したのに、舌の根も乾かぬうちに約束を破られては困る。 ・もう二度としません、と言った舌の根も乾かぬうちに同じ過ちを繰り返した。 ・舌の根も乾かぬうちに、彼は自分の発言を撤回した。 たとえば、「彼女はダイエットを始めると言ったのに、舌の根も乾かぬうちに寝てしまった。」では、慣用句の使い方として正しくありません。なぜなら、前半部分を後半部分で否定できていないからです。普通、ダイエット=食事制限・運動といったことを思い浮かべるかと思います。このとき、ダイエットにそぐわないであろうケーキを食べることは、前半を否定するのに十分な行動ですが、寝るだけではダイエットとの関連性が低いのです。睡眠をとったからといって、「ダイエットしてないじゃん!」とはなりませんよね。このように、後半部分でしっかりと前半部分を打ち消すことを意識すれば、誤用はなくなるかと思います。

「舌の根も乾かぬうちに」?「舌の先の乾かぬうちに」?

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「舌の”根”」ではなく「舌の”先”」という使い方をしている人もいます。しかし、正しくは 「舌の”根”」です。文化庁は平成18年度に「国語に関する世論調査」というものを発表し、この中で「舌の根も(の)乾かぬうちに」の使い方も記述されていました。そこでは、本来の言い方である「舌の根も(の)乾かぬうちに」を使う人が53.2%おり、本来とは違う「舌の先の乾かぬうちに」を使う人が28.%いるという結果が出ています。 上っ面の言葉を意味する「舌先三寸(したさきさんずん)」という言葉や、「口先だけの…」なんて言葉があることで、舌の根についても間違った使われ方が徐々に広まっていったのではないでしょうか。

「舌の根も乾かぬうちに」の由来

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言葉の由来を知ることで、イメージがしやすくなり理解を助けてくれます。「舌の根も乾かぬうちに」という言葉をより深く理解するために、その言葉の由来・語源について知っていきましょう。 まず現代語に直してみると、「舌の根が乾かないうちに」となります。ことわざのようにエピソードのような由来があるわけではないのですが、この言葉そのものから由来を知ることができます。人は言葉を発した後にそのまま口を開けていた場合、そう長くない時間で口の中が乾燥していき、舌の根元まで乾いていきますよね。この言葉はその様子をたとえたものであり、「それくらい短い時間で」という由来があるのです。

「舌の根も乾かぬうちに」の類義語

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続いて類義語について見ていきます。この言葉を簡略化すると、「言ったそばから」という表現にもでき、類義語として当てはまるでしょう。ほかの言葉を「舌の根も乾かぬうちに」の類義語とするポイントとしては、短い時間で違うことを言う・するといったものになればいいのです。 「前言撤回」という言葉も、当時と現在とで発言内容が変わり、当時の発言を取り消すものなので、近い表現かと思います。ただ「前言撤回」の場合は時間が経ってからでも有効なのでスピード感が足りず、遠からずの類義語と言えます。 「朝令暮改」までくると、内容を後で改めるということは合っているのですが、「命令や法律がコロコロと変わる」といった意味になりますので、類義語と呼ぶにはあまり説得力がない言葉になってしまいます。

「舌の根も乾かぬうちに」の英語表現

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「舌の根も乾かぬうちに」という言葉を英語ではどのように表現するのでしょう。英語では「in the same breath」と言います。英語がそのまま日本語での言い方と似ているので、覚えやすいかと思います。ただし「in the same breath as(with)」と、後ろに「as(with)」をつけてしまうと、「~と同格扱いに」という表現に変わってしまうので気をつけましょう。

「舌の根も乾かぬうちに」と言われがちな人の特徴

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言葉の意味や使い方を知ると、いい場面で使われる言葉ではないということを知ることができますね。そんな「舌の根も乾かぬうちに」といった言葉を言われてしまう人の特徴としては、「言葉に責任を持たない人」です。わざわざ慣用句を使って非難されるような場合、それは大事な発言を守らなかったときが多いでしょう。つまり軽口や冗談では済まされないと、相手は思っているのです。 そんな言動を繰り返していると、相手に「言葉が軽い」「嘘つき」「信用が低い」なんて印象を与えかねません。万が一「君は舌の根も乾かぬうちに…」と言われてしまったら、それは相手をがっかりさせてしまったと捉えていいでしょう。そんなときは自らの発言や行動を改め、一つ一つ有言実行していってください。そして、大事な発言、相手に期待を持たせる発言には十分注意をしましょう。

「舌」に関する日本語表現いろいろ

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慣用句などには人の体の器官を使った表現が多くあり、今回のように「舌」を使った言葉が他にもあります。 たとえば、感嘆する様子を表す「舌を巻く」という言葉や、思い通りにしゃべることができない状態を表す「舌がもつれる」という言葉など。そのほかにも、美食に精通している様子を「舌が肥える」と言ったり、言葉では表現できないほどのことが起こったときには、「筆舌に尽くし難い」という表現をしたりします。 このように、「舌の根も乾かぬうちに」と同じように、人の言葉に関する意味を持つものも多いのです。

まとめ

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「舌の根も乾かぬうちに」という言葉は、相手の言動に対する非難をするときに使われるもので、「言ったそばから」というような意味を持つことがわかりました。そのほか、言葉の由来、類義語、英語での表現などをこの記事ではご紹介しました。 日常的に使われるような言葉ではないかもしれませんが、言葉の意味や使い方を理解しておくことは、きっと無駄にはならないでしょう。言葉自体いい意味で使われるものではないので、自ら使うことも、使われることもないようにしたいですね。