【給与所得控除後の金額は?】見方や計算方法を分かりやすく解説!

源泉徴収票をみると支払金額の項目の右横に「給与所得控除後の金額」という項目があります。支払金額は、その年の年収のことですが、「給与所得控除後の金額」とは一体何だろう、と思ったことはありませんか。これから「給与所得控除後の金額」について説明します。

給与所得控除後の金額とは

給与所得控除後の金額とは、年収からサラリーマンなどの必要経費に相当する金額を差し引いたものです。個人事業主や自営業者であれば、仕事で使った費用を必要経費として売上から差し引くことができます。サラリーマンであっても仕事をする上で必要な経費があるのですから、これを概算金額で見積もって所得(支払金額)から控除した金額が給与所得控除後の金額になります。所得税など計算では、この給与所得控除後の金額から各種所得控除の額の合計を差し引き課税対象所得とするのです。

給与所得控除後の金額は、サラリーマンの必要経費を差し引いた金額

サラリーマンの場合、スーツや靴、バック、ワイシャツなどは、仕事をするために必要な費用です。これらの経費は必要不可欠な費用なのです。サラリーマンの税金の計算は、通常会社が年末調整として行いますが、サラリーマン一人一人から仕事でかかった必要経費を申告してもらって税額を計算するのは、大変煩雑で非常に手間がかかるのです。そのためサラリーマンに関しては、所得に応じて一定の割合で必要経費を計算するようにしたのが「給与所得控除」という制度です。 会社やサラリーマン自身の税金計算の手間も解消できますし、仕事のためにかかった費用も概算で控除してもらうことができるのです。個人事業主であれば、必要経費が発生した都度、領収書やレシートをためておき一覧表を作成してその合計額を計算する必要がありますが、サラリーマンの場合、給与所得控除制度のおかげでこの手間が不要になるのです。一定金額を必要経費相当額として控除してもらえるので、個人事業主と比べて特別損になることはありません。給与所得控除制度は、会社とサラリーマン両方の手間を考えた合理的な制度なのです。

給与所得控除額の計算方法

では実際に給与所得控除額の計算は、どのように行うのでしょう。実は給与所得控除額は、所得によって変わってくるのです。上限額はあるのですが、所得額が高ければ高いほど給与所得控除額は大きくなります。これは、年収の高いサラリーマンの方が一般に高価な商品を購入しやすい傾向があるため、所得によって変化させたと推測できるのです。 給与所得控除額は、下記の数式によって計算できます。なお、給与所得控除額の計算式は、ここ数年変わってきています。以下は平成29年分で使用するものになります。 【給与所得控除額の計算式(平成29年分)】 ・収入金額が65万円以下:給与所得控除額は、65万円 ・収入金額が65万円超から180万円以下:給与所得控除額は、収入金額×40% ・収入金額が180万円超から360万円以下:給与所得控除額は、収入金額×30%+18万円 ・収入金額が360万円超から660万円以下:給与所得控除額は、収入金額×20%+54万円 ・収入金額が660万円超から1000万円以下:給与所得控除額は、収入金額×10%+120万円 ・収入金額が1000万円超:給与所得控除額は、220万円 年収(収入金額)が、1000万超える高所得者の場合は、上限の220万が適用されます。また、パートやアルバイトなどで年収が65万円以下であれば、全額所得控除され所得税などはかからなくなっています。

給与所得控除後の金額の計算

「給与所得控除後の金額」の金額は、収入金額から上記の給与所得控除額を差し引いた金額になります。 【給与所得控除後の金額の計算式】  ・収入金額 ― 給与所得控除額 = 給与所得控除後の金額 実際の所得税の計算で使用する「給与所得控除後の金額」については、国税庁のホームページの中に「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」として掲載されています。ここでは、表形式で給与所得控除後の金額が掲載されています。

給与所得控除後の金額の計算例

では、実際の例をあげて「給与所得控除後の金額」を計算してみましょう。 ・収入金額が400万円の場合 400万円(収入金額) - (400万円(収入金額)×20% + 54万円)  = 266万円(給与所得控除額)  ・収入金額が700万円の場合    700万円(収入金額) - (700万円(収入金額)×10% + 120万円) = 190万円(給与所得控除額) となります。ただ、実際の所得税額の計算で利用するのは、国税庁のホームページにある「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」の金額であり、端数処理などで微妙に金額が相違します。実際のテーブルは4000円きざみなどピッチで決まっていますので、精緻な金額が知りたい人は、こちらを参照すると良いでしょう。

給与所得控除後の金額の税制改正

給与所得控除額の計算方法を説明していますが、実は最近税制改正があるのです。この改正は、他国と比較して給与所得控除額が過大となっていることから、平成26年度の税制改正大綱に明記されました。具体的には、2016年2017年と段階的に高額所得者の給与所得控除の上限額が引き下げられます。 【高額所得者の給与所得控除の上限額】 2017年分以降:収入金額1000万円を越えた場合、給与所得控除の上限額は220万円 2016年分  :収入金額1200万円を越えた場合、給与所得控除の上限額は230万円 ※上記以前(2014年~2015年)は、収入金額1500万円を越えた場合、給与所得控除の上限額は245万円

特定支出控除

「特定支出控除」とは、給与所得控除のように所得によって一律に決まる控除ではなく、サラリーマンであっても個人事業主のように必要経費を計上できる制度です。サラリーマンの必要経費でも多く掛かった年とあまり掛からなかった年があるため、多く掛かった年にはこのような制度が利用できて当然なのですが、この制度を利用するためにはいろいろ細かな条件があるのです。特定支出の費用が、給与所得控除額の半分を超える必要があるとか、特定支出として含められる支出の内容が決まっているとかの条件になります。特定支出となる費用には次のものがあります。いずれも職務に必要な支出でないと特定支出の費用とすることはできませんので、ご留意ください。 【特定支出となる費用の品目】 ・通勤費 ・引越費用 ・研修費用 ・資格取得費用(弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費用を含む) ・単身赴任での帰宅旅費 ・図書費、衣服費、交際費 など 詳しくは、国税庁ホームページに掲載されていますので、こちらを参照すると良いでしょう。この特定支出控除は、2012年の税制改正があり、特定支出となる費用の品目が拡充されました。対象となる控除の品目として、図書費・衣服費・交通費が追加されました。

給与所得控除後の金額を含む源泉徴収票での所得税の計算

ここまで給与所得控除後の金額に焦点を当てて説明してきましたが、源泉徴収票での大まかな所得税の方法についても触れておこうと思います。給与所得控除後の金額だけの説明だと、所得税の計算の全体像が見えませんので、流れについて説明します。 源泉徴収票では、「収入金額」「給与所得控除後の金額」「所得控除の額の合計額」「源泉徴収税額」の項目があります。これに「課税所得」を加えた項目で概略をご説明します。「給与所得控除後の金額」までの計算方法は、これまで説明してきましたので、それ以降の項目について説明します。

所得控除の額の合計額

「所得控除の額の合計額」の中に算入できる所得控除はたくさんあります。扶養家族の人数や年齢、生命保険の種類や保険料などよって、変わってきます。所得控除には、「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」「生命保険料控除」「地震保険料控除」「障害者控除」「寡婦控除」「寡夫控除」「勤労学生控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」「基礎控除」があります。これらいろいろある所得控除の控除額を足しこんだものが、「所得控除の額の合計額」になります。

課税所得の計算

税額を計算するためには、「課税所得」の金額を出す必要があります。課税所得は、「給与所得控除後の金額」から上記の「所得控除の額の合計額」を差し引くことで計算できるのです。 「給与所得控除後の金額」 - 「所得控除の額の合計額」 = 「課税所得」

源泉徴収税額の計算

「課税所得」までの計算方法を説明しましたので、ここから「源泉徴収税額」を計算できます。「源泉徴収税額」の計算は、所得に応じた累進課税方式になっており、所得が高くなればなるほど、税額が高くなる仕組みとなっています。 【源泉徴収税額の計算式】 課税所得195万円以下        : 課税所得 × 5%  課税所得195万円超~330万円以下 : 課税所得 × 10% -  97,500円 課税所得330万円超~695万円以下 : 課税所得 × 20% -  427,500円 課税所得695万円超~900万円以下 : 課税所得 × 23% -  636,000円 課税所得900万円超~1800万円以下 : 課税所得 × 33% - 1,536,000円 課税所得1800万円超~4000万円以下: 課税所得 × 40% - 2,796,000円 課税所得4000万円超       : 課税所得 × 45% - 4,796,000円

給与所得控除後の金額:まとめ

ここまで給与所得控除後の金額とこれに関する事項について説明を行ってきました。給与所得控除後の金額のことがお分かり頂けたでしょうか。給与所得控除の制度は、サラリーマン本人や事業者の双方にとって合理的な制度ですが、実際に必要経費に多くの費用が掛かったときには、特定支出控除という方法もあります。また、この給与所得控除制度は、状況に応じて頻繁に税制改正がありますので、最新の税制動向に情報収集を行うようにしましょう。