雇用保険料の計算方法とは?保険料や料率をまとめてご紹介!

雇用保険料は、社会で生きていくための保障となる社会保険の1つで、健康保険や厚生年金などと並んで重要なものです。雇用保険料は、働く人は誰でも原則的に支払う義務があり、失業時の失業給付金、雇用の促進、失業の予防や労働者の能力開発など、さまざまな用途に使われています。 この雇用保険料はまた、労災保険(労働者災害補償保険)と合わせて労働保険とも呼ばれており、いずれも国が管掌する保険となります。ただ、労災保険は事業主が支払いの全額を負担するため、労働者側が支払うことはありません。そのため給与明細で見かけることもないでしょう。 一方、雇用保険料の方は。事業者と労働者の双方が負担をします。しかし、その金額は労使半々ではなく、事業主の方が多く支払うよう、料率の規定がされています。またその料率は業種によっても異なるため、他の社会保険と違って計算式が単純ではありません。

雇用保険料の支払いの義務とは

雇用保険は、政府が管掌している「強制保険制度」です。名前の通り、強制的に加入を要求される保険であるため、雇用保険料の支払いは誰もが逃れることの出来ない義務となります。事業を営む企業や事業所で雇用をされている人は、雇用保険に全員が加入し、料率に応じた雇用保険料を支払わなくてはなりません。パートやアルバイトも例外ではありません。 雇用保険料の支払いを除外されるのは、週の労働時間が20時間未満のパートやアルバイト、それに64歳以上で規定を満たす人のみです。それ以外の場合は雇用保険に加入しなければなりませんし、事業主側も人を雇用したら、それに伴う雇用保険料を料率に従い支払うことが義務となります。

雇用保険料の料率計算は労働者と事業主で異なります

雇用保険料は、健康保険や厚生年金と同じく、労働者と事業主が、それぞれ負担を分け合って支払います。 ただし、健康保険や厚生年金などでは、必要な金額を労働者と事業主でちょうど折半する形で支払いますが、雇用保険料の場合は折半ではなく、事業主の方が少し多く負担をする料率で計算される所が異なる点です。その比率は概ね労働者1に対し、事業主2の割合となっています。

雇用保険料の料率の見直しとは

雇用保険料の料率は、失業保険の受給者の人数や金額、積立金の残高などにより毎年1回、見直しが行われ、厚生労働大臣が決定することになっています。但し、検討の結果、変更がないこともありえます。 雇用保険料の料率を変更する場合は、年度の変わり目に当たるの4月1日からの施行となり、翌年の3月31日まで適用されます。雇用保険料は、毎月の給与総額にこの料率を掛けて計算されます。

事業分野によって異なる雇用保険料の料率計算とは

例えば平成29年度における雇用保険料は、労働者と事業主で下記のような料率負担となっています。 一般の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:3/1000 ・事業主の負担料率:6/1000 ※合計負担料率:9/1000 農林水産・清酒製造の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:4/1000 ・事業主の負担料率:7/1000 ※合計負担料率:11/1000 建設の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:4/1000 ・事業主の負担料率:8/1000 ※合計負担料率:12/1000 ※「農林水産・清酒製造」「建設」のどこに当て嵌まらない事業は「一般の事業」に分類されます。 この中で給与明細に記載されているのは、労働者側の負担金額です。例えば一般の事業の場合、給料に0.3%を掛けた金額が雇用保険料として記載されているはずです。但し実際に支払われている雇用保険料は、事業主側の負担料率である0.6%を加えた0.9%となっています。つまり会社の方が2倍も出してくれていることになります。

業種によって雇用保険料の料率が違うのは?

このように雇用保険料では、一般の事業、農林水産・清酒製造の事業、建設の事業の3つの業種に分かれ、それぞれの料率が異なります。その中では一般の事業が安く、残りの農林水産・清酒製造の事業、建設の事業が高めになっていることが分かります。 このうち「農林水産・清酒製造の事業」は、季節によって売上が上下し、特定期間の就業状況が悪くなってしまうために、失業保険を受給する可能性が高いことから、雇用保険料の料率も高めに設定されています。 建設の事業の場合は、現場単位で雇用契約を結ぶケースがあり、その場合、その現場が終わると失業保険を受給する可能性が高くなるため、同じく、雇用保険料の料率が高くなっています。 なお、農林水産の事業の中でも、下記の事業は一般の事業と同じ料率になっています。これは季節的な要因が薄く、安定的に事業を継続できると判断されるからです。 ・牛馬の育成、酪農、養鶏、養豚の事業 ・園芸サービスの事業 ・内水面養殖の事業 ・船員が雇用される事業

雇用保険料の基本的な計算方法とは

雇用保険料は、毎月の給与総額に料率を掛けて算出します。給与は残業や手当によって変動するため、雇用保険料の計算も毎月計算する必要があります。 つまり、 雇用保険料 = その月の給与総額または賞与額 × 雇用保険料率 となります。 より正確には、 被保険者の雇用保険料 = その月の給与総額または賞与額 × 雇用保険料率(被保険者負担分) 事業主の雇用保険料 = その月の給与総額または賞与額 × 雇用保険料率(事業者負担分) です。 ※賞与の雇用保険料について 賞与が支払われた場合は、給与と賞与を分けて雇用保険料の計算を行います。賞与を支給した月の給与との合計額に雇用保険料の料率を掛けて計算するのではないので、注意して下さい。賞与における雇用保険料の計算方法は、通常の給与の場合と同じです。賞与の総額に雇用保険料率を掛けて算出します。

雇用保険料の計算対象となる給与総額とは

雇用保険料を計算する基礎になる給与額や賞与額は、税金や社会保険料などを控除する前の額面金額です。そのため各種手当を含みますが、役員報酬や、一時金の類は含まれないため注意が必要です。

雇用保険料の計算対象になる給与内容とは

・通勤のための交通費(定期券や回数券)や通勤手当 ・残業代や残業手当 ・宿直手当や日直手当 ・家族手当や子供手当 ・技能手当や教育手当 ・特殊作業手当や地域手当 ・住宅手当や家賃補助 ・皆勤手当や奨励手当全般 ・休業手当(事業主の都合で休業した場合)

雇用保険料の計算対象にならない給与内容とは

・役員報酬 ・結婚祝金や死亡弔慰金や災害見舞金、 ・年功慰労金や勤続褒賞金や退職金 ・出張旅費、宿泊費 ・休業補償費(労働者が業務災害で休業した場合) ・傷病手当金(労働者が業務外の傷病で休業した場合) ・解雇予告手当(30日前の解雇予告なしに労働者を解雇する場合)

雇用保険料の計算例:一般の事業の場合

では実際に、雇用保険料の計算をしてみましょう。 ・メーカーの工場に勤務するAさんが、以下の支払いを受けた場合。  その月の給与額(税金や社会保険料などの控除前):25万円  その月の賞与額(税金や社会保険料などの控除前):40万円 一般の事業の場合の被雇用者の料率は0.3%になりますので、 Aさんの給与に掛かる雇用保険料:30万円 × 3 ÷ 1000 = 900円 Aさんの賞与にかかる雇用保険料:40万円 × 3 ÷ 1000 = 1200円 から、Aさんがこの月の給与を元に支払う雇用保険料は900円、賞与を元に支払う雇用保険料は1200円となり、合計で2100円が天引き額となります。 同時に事業所の料率0.6%になりますので、 Aさんの給与に掛かる雇用保険料:30万円 × 6 ÷ 1000 = 1800円 Aさんの賞与にかかる雇用保険料:40万円 × 6 ÷ 1000 = 2400円 合計4200円が雇用保険料として支払られて、国への支払いは合計で6300円となります。

雇用保険料の計算で出た端数の処理の仕方とは

雇用保険料に端数が出た場合は、どのように処理を行うのでしょうか? 原則としては、1円未満の端数については、「50銭未満の場合は切り捨て、50銭1厘以上の場合は切り上げ」とされています。。 但し、労使間で慣習的な端数処理が合意されている場合(端数はすべて切り捨てなど)は、従来通りの計算方法で処理することも認められています。 では実際に、雇用保険料の端数の処理をしてみましょう。 ・メーカーの工場に勤務するAさんが、2018年の2月に下記の支払いを受けた場合。  その月の給与額(税金や社会保険料などの控除前):24万3200円 Aさんの給与に掛かる雇用保険料:24万3200円 × 3 ÷ 1000 = 729.6円 端数が50銭以上の場合は切り上げなので、729.6円→730円 ・同じくAさんが、2018年の3月に下記の支払いを受けた場合。  その月の給与額(税金や社会保険料などの控除前):24万2100円 Aさんの給与に掛かる雇用保険料:24万2100円 × 3 ÷ 1000 = 726.3円 端数が50銭未満の場合は切り捨てなので、726.3円→726円

雇用保険料の料率の推移とは

雇用保険料は毎年料率が見直されています。ここ最近の変化を見てみると、平成22年度に一度大きく保険料率が上がりましたが、その後平成24年度に一度下がり、平成28年度、平成29年度と連続してさらに下がって、今に至っています。

平成29年度の料率計算の見直し

平成29年度の見直しでは、前年度に比べ、全ての事業で労働者・事業主分ともに1/1000ずつ(合計で2/1000)の引き下げが行われました。 平成29年4月1日付での改定内容は以下の通りです。 一般の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:4/1000→3/1000へ ・事業主の負担料率:7/1000→6/1000へ ※合計負担料率:11/1000→9/1000へ 農林水産・清酒製造の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:5/1000→4/1000へ ・事業主の負担料率:8/1000→7/1000へ ※合計負担料率:13/1000→11/1000へ 建設の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:5/1000→4/1000へ ・事業主の負担料率:9/1000→8/1000へ ※合計負担料率:14/1000→12/1000へ

平成28年度の料率計算の見直し

平成28年度の見直しでは、前年度に比べ、全ての事業で労働者が1/1000ずつ、事業主が15/10000ずつ(合計で25/10000)の引き下げが行われました。 平成28年4月1日付での改定内容は以下の通りです。 一般の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:5/1000→4/1000へ ・事業主の負担料率:85/10000→7/1000へ ※合計負担料率:135/10000→11/1000へ 農林水産・清酒製造の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:6/1000→5/1000へ ・事業主の負担料率:95/1000→8/1000へ ※合計負担料率:155/10000→13/1000へ 建設の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:6/1000→5/1000へ ・事業主の負担料率:105/1000→9/1000へ ※合計負担料率:165/10000→14/1000へ

平成24年度の料率計算の見直し

平成24年度の見直しでは、前年度に比べ、全ての事業で労働者・事業主分ともに1/1000ずつ(合計で2/1000)の引き下げが行われました。 平成24年4月1日付での改定内容は以下の通りです。 一般の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:6/1000→5/1000へ ・事業主の負担料率:95/1000→85/10000へ ※合計負担料率:155/10000→135/10000へ 農林水産・清酒製造の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:7/1000→6/1000へ ・事業主の負担料率:105/10000→95/10000へ ※合計負担料率:175/10000→155/10000へ 建設の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:7/1000→6/1000へ ・事業主の負担料率:115/10000→105/10000へ ※合計負担料率:185/1000→165/10000へ

平成22年度の料率計算の見直し

平成22年度の見直しでは、前年度に比べ、全ての事業で労働者が2/1000ずつ、事業主が25/10000ずつ(合計で45/10000)の引き上げが行われました。 一般の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:4/1000→6/1000へ ・事業主の負担料率:7/1000→95/10000へ ※合計負担料率:11/1000→155/10000へ 農林水産・清酒製造の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:5/1000→7/1000へ ・事業主の負担料率:8/1000→105/10000へ ※合計負担料率:13/1000→175/10000へ 建設の事業における雇用保険料の料率 ・労働者の負担料率:5/1000→7/1000へ ・事業主の負担料率:9/1000→115/10000へ ※合計負担料率:14/1000→185/10000へ

雇用保険料の計算は間違えないようにしよう

いかがだったでしょうか?雇用保険料の計算方法は、他の社会保険の計算方法とは異なる点があります。天引きされる雇用保険の金額が毎月違っているのは、そのためです。雇用保険料は業種によって料率が異なりますし、計算を間違えると修正に手間がかかるので、注意が必要です。 雇用保険料の負担は、半額以上を事業所が払っていることもあり、それほど大きなものではないかもしれませんが、いざという時には自分を守ってくれる重要なものです。しっかり納めるようにしましょう。