【退職金の平均って?】相場や平均はどのくらいか基礎知識として持っておこう!

そもそも退職金とは何を指すのでしょうか。

退職金は法的な義務、権利ではない

実は退職金は法律で定められた制度ではありません。あくまで会社や組織の「従業員への報酬の考え方」で支給も、額も決めるものです。ただし、その年その年の経営者の判断で大きく金額が変わっては問題ですから、基本的に原則としては就業規則で支給することを定め、退職金規定で金額の計算方法を定めます。逆に言えば就業規則に定められていなければ、退職金を支払わなくても違法にはなりません。

退職金は長期勤務への功労金

退職金の一般的な定義は 長年企業に勤めた功労をねぎらう給付制度のことです。ですから定年退職するともらえるイメージが強いですが、しかしその前に辞めてもその期間会社に貢献したことは事実なので、退職金の支給対象になります。 ただしあくまで退職金は長期功労に対する報いですから、勤務期間が長いほど幾何級数的に金額が大きくなるように算定式は組まれている企業がほとんどです。つまり、勤務期間に正比例で金額が決まるのではないのです。

平均的な企業の退職金の種類とは?

退職金は、一般的な企業の場合「退職一時金制度」と「企業年金制度」で構成されています。それ以外に「前払い制度」がある企業も存在します。

退職一時金制度とは

退職一時金制度はその名の通り、企業が外部積立てを行わない原資をもとに、退職時に一括して退職金を支給する制度です。基本は退職金規定に沿って金額が決まりますから、その規定が変更されない限り、企業の経営状況には関係なく支払い額は退職時の役職や基本報酬、勤続年数などによって確約しています。企業の中には、一括で支払うのではなく、退職後に年金制度的に支払う「確定給付企業年金」などの制度へ移行するところもあります。

企業年金制度とは

企業年金制度は、企業とその内容、計算方式などによって、確定給付年金(DB)、確定拠出年金制度(DC・401k)などと細かく分類されます。 内容はどの場合も基本的には退職後、一定期間や生涯にわたり、一定の金額を年金として支給するものです。企業によっては「退職一時金制度」との併用にしているところもあります。 この原資は企業内で蓄積するのではなく外部で運用して年金の支払額を調達する方式がほとんどです。ですから人事担当者は企業年金の運用方法に頭を悩ませるわけです。その運用方法は主に以下の2つです。 確定給付企業年金は、企業が掛金を生命保険会社、信託銀行等などに委託し、その金融機関が運用する方式です。掛金払込や受給の状況、運営母体の運用成績などに左右されますが、基本には安定運用をしますので、将来的に受け取れる年金の額がある程度保証されています。 確定拠出年金は、企業やあるいは従業員本人が毎月一定額の掛金を拠出して、自分で運用する方法です。ですからある意味前払いされた退職金を原資に自分で運用し、退職時に運用結果を一括、あるいは退職以降に分割して受け取るイメージです。したがって、企業や自分の運用方針によって運用成績は左右され、その結果退職金の額も大きく変わってきます。

両制度併用

現在、実際の企業の退職金制度で多いのは、一時金と年金を従業員の意思で併用できるようにしているものです。たとえば「一時金75%・年金25%」のようにです。 ではどの方法が実際に得なのかということを実績データで見てみると、「平成20年就労条件総合調査結果の概況」では、一時金のみの退職金の相場は1,764万円、年金のみの相場は2,249万円、併用の相場は2,349万円で併用した場合の額が1番多くなっています。ですから選択できる制度の企業に入るのであれば、併用を選んだほうが有利でしょう。

前払い制度とは

退職時、あるいはそれ以降に支払うのではなく在籍中に毎月の給与やボーナスに上乗せするかたちで支給するのが前払い制度です。

変わってきている退職金の受け取り方法

このように退職金の制度は4つありますが、「平成23年度賃金事情総合調査―退職金、年金及び定年制事情調査」(中央労働委員会 調査対象209社)によると、一時金制度のみは5.3%、年金制度のみは8.6%で、併用が86.1%と圧倒的に多い状況です。 これは昭和期にはほとんどの企業が一時金制度を採用していましたから、時代の変遷とともに変わってきたということが言えるでしょう。

退職金の平均的な金額計算方法

では退職金の平均的な計算方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

定額制

定額制とは、基本給や役職、貢献度に関係なく、勤続年数のみに連動して支給金額を決定する計算方法です。退職規定などには、「勤続年数5年:20万円、6年:25万円」のように、非常にシンプルに規定されています。

基本給連動制

基本給連動制とは、退職時の勤続年数だけではなく、基本給、役職、退職理由などを加味する計算方法です。一般的な計算式は以下の通りです。 退職金 = 退職時の基本給 × 勤続年数による支給率 × 退職事由係数 × 役職係数

別テーブル制

別テーブル制とは考え方は基本給連動制と同じです。しかしその基礎となる金額を退職時の基本給ではなく、役職や等級に応じて別途設定する点が異なります。ですから計算式は以下の通りです。 退職金 = 役職・等級などに応じた基礎金額 × 勤続年数による支給率 × 退職事由係数 

ポイント制

ポイント制とは、従業員の何を評価するかの基準を企業それぞれが持ち、それを達成する都度買い物におけるポイントのように貯めていって、最終的に退職時に貯まっているポイントに応じて、支給額を決める方式です。主な評価点は、勤続年数だけではなく、貢献度、業績、役職、等級などです。したがって計算式は、以下のようになります。 退職金 = 退職金ポイント × ポイント単価 × 退職事由係数

サラリーマンの平均退職金額は

ではサラリーマンの平均の退職金額はどの程度の相場なのでしょうか。まずどの企業でもほぼ共通しているのは、定年退職と自己都合退職の場合は、倍以上の金額の差がある点です。転職HACKという転職情報サイトが調査した結果では、20年以上勤務した場合の退職理由別支給額の相場は以下のようになっています。 高校卒 定年退職1128万円  会社都合退職1004万円 自己都合退職784万円    大卒 定年退職1941万円  会社都合退職1807万円 自己都合退職1586万円   

このように大卒社員の定年退職金に比べて高校卒のサラリーマンの退職金の方が少ないのは、退職金規定に学歴条件が加味されていからではなく、結果的に大卒社員の方が高卒社員よりも昇格している割合が多いからです。

定年退職の場合の退職金の平均額(大企業サラリーマン編)

またある意味当然ではありますが、大企業ほど退職金が多いのも現実です。ですので、以下企業規模別の退職金の平均額を挙げていきます。まず大企業の場合です。 ・高卒・37年勤続・55歳退職の場合:1845万円 ・大卒・33年勤続・55歳定年の場合:2318万円

定年退職の場合の退職金の平均額(中小企業サラリーマン編)

これに対して、中小企業の場合はどうでしょうか。 ・高卒・37年勤続・55歳退職の場合:1029万円 ・大卒・33年勤続・55歳定年の場合:1189万円

このように、同じ大卒でも中小企業は大企業に比べて1100万円も退職金が少ない結果となっています。さらにその中でも、大卒と高卒の退職金の差は160万円あります。

定年退職の場合の退職金の平均額(国家公務員編)

また企業に勤めるサラリーマンではなく、公務員の場合はどうでしょうか。これも国家公務員と地方公務員の平均の退職金額を挙げておきます。 大卒一般国家公務員の場合:2181万

このように国家公務員は大企業の大卒並みの退職金が保証されています。

定年退職の場合の退職金の平均額(地方公務員編)

では地方公務員はどうでしょうか。 大卒一般地方公務員の場合:2028万円

このように、地方公務員も国家公務員よりは少ないですが、2000万円はクリアしていますから大企業並みの退職金が保証されていると言えます。

定年退職の場合の退職金企業別平均額ベスト10

では企業別にはどうなのでしょうか。ここでは有名企業の定年退職時の平均退職金額をランキングでご紹介します。 1位 日本航空(次長級、大卒) 約8000万円 2位 小学館(55歳退職、- ) 約6500万円 3位 日本生命(課長級、大卒) 約6000万円 3位 大阪ガス(理事、大卒) 約6000万円 5位 みずほ銀行(支店長、大卒) 約5200万円 6位 住友生命(参事補、大卒) 約5100万円 6位 東京電力(グループマネージャー、高卒) 約5100万円 8位 ホンダ(部長級、大卒) 約5000万円 8位 パナソニック(部長、大卒) 約5000万円 10位 集英社(60歳退職、- ) 約4900万円

やはり有名企業は大企業の中でも抜きん出て高額の退職金が支給されるようです。

退職金の税金は?一時金の場合は「退職所得控除」で節税しよう

退職金は給与よりも税金が安い

企業を退職し、退職金を受け取る場合、その退職金も所得税の課税対象となります。しかし国としても、企業で長期にわたって貢献したということは日本経済にとっても長期に貢献したことですから、退職金への税金の課税率は一般の給与に対するものよりも低くして、その貢献に報いています。 また特に退職金を一時金で受け取る場合は、受け取る金額が大きいため、通常の累進課税制度で課税すると非常に多額の税金を納めなくてはならなくなります。そのような不合理にも国税庁は配慮し、退職所得控除を設けたり、他の所得と別にして課税するなどの方法で、減税しています。

退職所得控除を受けるためには

その退職金所得控除は黙っていては受けることはできません。まずは「退職所得申告書」を会社側に提出する必要があります。そうすると会社の方で手続きを行ってくれ、退職一時金を受け取った時点で通常の課税率に沿った源泉徴収などされなくて済みます。ただしその代わりに確定申告をする必要が出て来る場合もあります。

退職所得の金額を求めるための計算式

その退職金にかかる税金の基礎金額となる退職所得は以下の計算方法で算出されます。 (収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得 ただし勤続年数が5年以下の役員は、1/2をかけません。その分所得は多くなり、税金も増えます。

退職所得控除額の金額を求めるための計算式

そしてその退職所得から退職所得控除を引いた金額に対して税金がかかります。退職所得控除額は以下の算式で計算されます。、 勤続年数20年以下の場合:40万円×勤続年数 ただし最低80万円。 勤続年数20年超の場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年) また障害者になったために退職した場合には、100万円が加算されます。

まとめ

いかがですか。 世間の趨勢としては、転職する人の割合が増え、生涯にわたって1つの企業で働く人が減ってきたことと、年功序列制度をやめて業績反映の報酬制度の移行する企業は増えてきたことの2つの理由から、退職金が生涯年収の中で占める割合は以前に比べて減ってきました。 しかしとは言え、サラリーマンの生涯年収の中ではやはり大きい割合を占めることも事実です。それを計算して人生設計を立てている人も多いでしょう。それは以上で挙げた退職金の相場や平均金額を見てもまだ明らかな点です。 現実問題としては転職してどんどんキャリアアップするのではない限り、1つの企業で長年勤めて累進的に多額の退職金を受け取るほうが、生涯年収としては多くなるという現実はまだ変わりそうにありません。