減価償却費の計算方法を徹底解説!

減価償却とは、事業に用いられる建物、機器や備品など、時間が経つにつれて傷がついたり、古くなったりと劣化が生じる資産を、その資産が使用できるであろう年数(耐用年数)の間で、取得時にかかった費用を毎年少しずつ計上していくという企業会計の計算方法です。 例えば、ご自身の移動手段として、個人事業主が240万円の車を取得したとしましょう。 この場合、取得した初年度に一括して計上するのではなく、車の耐用年数である6年間で分割し、毎年少しずつ計上していくのです。

減価償却の目的

減価償却の目的は、適正な費用配分を行い、毎年少しずつ計上することにより、毎期の損益計算を適正に見えるようにする、ということにあります。 先ほど紹介した車を例にしてみましょう。 毎年約500万円の売上がある個人事業主が、今年度、車を取得し、その年度に一括計上したとします。 その場合、業績は以下の通りになります。 初年度の売上:260万円(500万円ー240万円) 2年目の売上:500万円 3年目の売上:500万円 このように初年度に一括で費用を計上してしまうと、その年の正しい業績を把握するのが難しくなってしまいます。 そのため、その資産(この場合は車)が使用できる年数で取得費用を分割し、費用を計上することで、毎期の損益を正しく見ましょうよ、というのが減価償却の目的なのです。

(法定)耐用年数とは?

耐用年数とは、その資産が、物理的かつ機能的に使用できうる年数のことを指します。 具体的に、どのような資産をどれくらいの期間で償却していくかは、税法にて耐用年数を定めています。これを「法定耐用年数」と呼びます。 いくつかの法定耐用年数は以下の通りです。 ・建物(事務所用のもの)・・・・・24年 ・車両(普通自動車)・・・・・6年 ・小型車(総排気量が0.66リットル以下)・・・・・4年 ・複合機・・・・・5年 ・商標権・・・・・10年 ・意匠権・・・・・7年 どうでしょうか?短いと感じた方、長いと感じ方、いらっしゃるかもしれません。 このように一定の年数が定められており、この年数をもとに減価償却を計算します。 しかし、よく考えてみると、取得した資産の使用頻度は会社によって異なるため、会社がそれぞれ耐用年数を設定する方が、法定耐用年数より正確な耐用年数を算出できるはずです。 国が法定耐用年数を定める理由としては、 取得した資産の耐用年数を意図的に短くし減価償却費を大きくすることで節税しようとする会社がでてくることが懸念されるからです。 このように、節税しようと利益を操作するのを防止するため、法定耐用年数が存在するのです。

減価償却できる資産はなに?

減価償却には対象になるものとならないものがあります。 減価償却の対象は、取得した資産のうち、耐用年数が1年以上、かつ、取得価格が10万円以上のものが対象となります。 減価償却資産の例としては、以下が挙げられます。 ・有形固定資産:建物及び付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両、運搬具、工具、器具、備品等 ・無形固定資産:漁業権、特許権、意匠権、商標権、ソフトウェア等の各種権利 ・その他:家畜、果樹等 ご覧になってわかる通り、無形固定資産も減価償却の対象となります。

減価償却の対象にならないものは?

減価償却の対象にならないものとして、使用可能期間が1年未満のもの、又は取得価格が10万円未満のものです。これらは、取得年度の必要経費に全額計上します。 例としては、土地、借地権、電話加入権、書画骨董が挙げられます。身近なものとしては、10万円以下のパソコンや携帯電話などが対象外となり、消耗品費としてその年度に一括計上しなければなりません。 なお、10万円以上20万円未満のものは一括償却資産として、3年間で償却することが選択できますので、減価償却対象の資産であっても、金額によって一括計上しなければならないケースや耐用年数に変動があることがありますので、金額や条件には注意して減価償却を行っていきましょう。

減価償却の計算

それでは、さっそく車を例に減価償却の計算をしてみましょう。 個人事業主の場合、毎年一定の割合で計上していく「定額法」が適用されるため、定額法で計算をしていきます。 <Aさんの車取得に関する情報> ・車の取得日:平成X年6月15日 ・事業の用に供した日:平成X年7月1日 ・車の取得価格:2,400,000円(登録費用・車庫証明費用を含む) ・耐用年数:6年 ・決算日:12月31日 ・償却率(定額法):0.167 ※「事業の用に供した日」とは、事業で取得資産を使い始めた日を指します。 定額法の計算式と減価償却費の仕訳は以下の通りです。 <計算式> 取得価格×償却率(定額法)×事業で使用した月数/12か月=年間の減価償却費 <仕訳> (貸方)減価償却費 ×××××× (借方)車両 ×××××× 上記の計算式を使用し、初年度の減価償却費を計算してみます。 <計算式> 2,400,000(円)×0,167(%)×6/12(か月)=200,400(円) <仕訳> (貸方)減価償却費 200,400 (借方)車両 200,400 初年度の減価償却費は200,400円になります。 初年度の「事業で使用した月数」は、事業の用に供した日の月から決算日の月の期間までになりますので、7月~12月の6か月間が事業で使用した月数となります。 次に、2年目〜6年目の減価償却費を計算していきます。 毎年一定の割合で計上していく「定額法」ですので、2年~6年目は同額の減価償却費になります。 <計算式> 2,400,000(円)×0,167(%)×12/12(か月)=400,800(円) <仕訳> (貸方)減価償却費 400,800 (借方)車両 400,800 そして、最後に7年目の減価償却費の計算がこちらです。 って、あれ、ちょっと待って。耐用年数6年って書いてあるのに7年目もあるの? ・・・・・実は、あるんです。 初年度の事業で使用した月数が、12か月未満の場合、「耐用年数+1年」をかけて償却するケースがあります。 今回は初年度の「事業で使用した月数」が6か月ですので、このケースに該当します。 <計算式> 195,600(前期末の帳簿価額)一1(備忘価格)=195,599(円) <仕訳> (貸方)減価償却費 195,599 (借方)車両 195,599 最後の年度だけ、計算式が異なりますので気を付けてください。 最後の年度の減価償却費は、「前期末の帳簿価額一1円(備忘価格)」が計算式となります。 前期末の帳簿価格は、「取得価格―減価償却費の累計額」で求めることができ、 この場合は、2,400,000(取得価格)―2,204,400(200,400(1年目)+400,800(2年目)+400,800(3年目)+400,800(4年目)+400,800(5年目)+400,800(6年目))=195,600が前期末の帳簿価格となります。

最後の1円はなぜ残す?

上記の計算をみていて、あれ?なぜ1円は残っているの?と思う方が多くいらっしゃったかと思います。この1円は、「備忘価格」と呼ばれます。 この1円は、所有していない資産と所有している資産を区別するために使われます。 固定資産として所有しているものは1円残し、所有していないものは0円とすることで、固定資産の存在を見分けることを可能にします。 しかし、ソフトウェアなどの無形資産については、例外で1円を残す必要はありません。 少しややこしいですが、目に見える有形資産は1円を残す、目に見えない無形資産は1円を残さないと覚えておいてください。

計算ができたら、エクセルで固定資産台帳を作っておきましょう

固定資産台帳とは、固定資産を保有する個人事業主が作成すべき帳簿のことです。固定資産台帳は、資産を管理する目的もありますが、税務上の処理や会計上の処理に参照する大事なデータとなりますので、作っておきましょう。 規定のフォームはありませんが、エクセルに必要事項を記載して管理されている方が多いようです。 固定資産台帳を作成する場合、少なくとも下記の項目はいれておくとよいでしょう。 <固定資産台帳に記載すべき項目> 管理番号、資産区分、資産名称、数量、取得年月日、事業供用日、取得価額、償却方法、償却率、耐用年数、減価償却費、期首帳簿価額、期末帳簿価額 減価償却費の計算式については、先ほど説明したように、定額法の場合、取得価格×償却率(定額法)×事業で使用した月数/12か月で減価償却費を求めることができます。定額法で計算するための関数もあるようですが、正確な額を計算することができないため、私はおすすめしません。 また、自分で作るのがめんどくさい・・・という方は、エクセルのテンプレートに固定資産台帳のテンプレートも用意があるようですし、「エクセル 固定資産台帳」でインターネット検索していただくと、無料のエクセルテンプレートもダウンロードできるようです。 気を付けていただきたいのは、複数名でエクセルを管理・更新する場合は、注意が必要です。 「あれ、いつのまにか車がない・・・」なんてならないよう、エクセルの別シートを作成し、だれが、いつ、なにを変更したか記載できるようにしておくのも、エクセルで管理をしていくポイントです。

減価償却をしなかったらどうなる?

減価償却は、法人の場合、決められた計算の範囲内なら自由にその金額を決めることができる「任意償却」であり、個人事業主の場合、決められた方法でしか金額を決めることができない「強制償却」です。 万が一、個人事業主が、減価償却の存在を知らずに高額な固定資産を取得年度に一括計上、もしくは、任意償却を適用し減価償却費を計上した場合、税務調査の実施や、罰金として追徴課税が課される可能性があります。 税務調査は、精神的負担になりますし、一度税務調査が実施されると税務局に目をつけられる可能性がありますので、減価償却はしっかり行いましょう。

不安な方は税理士へ相談を!

不安な方は税理士への相談、顧問契約という選択肢を考えましょう。 月数万円から顧問として契約ができ、税理士へ相談、またアドバイスをもらうことができます。 税のプロである税理士は、減価償却の特例や例外も熟知しているため安心ですし、 万が一税務調査が入った場合、サポートもしてくれます。 もし、減価償却の計算や経理業務に時間を費やしているようでしたら、 「選択と集中」を自身に問い、税理士と顧問契約を結ぶ、経理業務をアウトソースすることも一つの選択肢として念頭に入れましょう。

後悔先に立たずといったことにならないように、事前に確認を!

「あ~、あの時なんであんなことをしてしまったのか・・・」 「あの時に税理士に相談しておけばよかった・・・」 と後悔しては遅いものです。後悔しないよう事前に確認をし、しっかりと減価償却を行いましょう。