【農業法人とは】始め方、法人化のメリットなど

出典:pixabay.com

日本の農業は、これまで、ただの一般的な農業生産品ですら海外でもそのおいしさと安全性、美観を備えているとして高評価。 「JAPAN BRAND」として、先進国からアジア各国を始め、広いエリアで有名でした。

そんな農業ですが、こと、日本国内では新規参入となると、非常に敷居が高い業種の一つでもあります。 それだけ、現代となってから以後も長い年月、農業のための環境や資産、経営母体など、あらゆる形で守られてきたものでもありました。 平成28年4、改正農地法により用件が緩和され、いま、法人や個人があつまって集団で、農業を新たに始める人たちが増えています。 制度を変えるといって、開放した政治家などは、すでにいなくなってしまい、たまに政治の表舞台に子供たち世代などと登場する程度の一家も増えました。 この農業法人に至る基礎知識と、農業法人の設立の仕方・始め方、法人化のメリット、就職や求人についてなどご紹介します。

農業法人とは、農業を「法人形態」で設立・運営する際に認められる法人格のこと。 略称は(農)で、農業を営んでいる法人に対して「任意で」使用できる呼び名です。 法的に定められた法人形態としては、1962年農業協同組合法による、非営利の「農事組合法人※」があります。

多くの人の記憶では、農地は売買や賃貸などは、農家同士でなければ行えないものという認識かもしれません。 2009年の農地法改正によって、株式会社などでも農地賃借を行えるようになり、ここを利用して法人が農業を行っているケースでも「農業法人」と名乗っているところがあります。 ※2016年4月1日改正農地法により、農地所有ができる農業法人の「農業生産法人」は「農地所有適格法人」に呼称が変更となりました。

【日本の農業経営の特徴】

日本の農業経営では、農林水産省の「食料・農業・農村白書(平成19年度)」にみられるように、家族経営で小規模に行われているところが多く、1戸当たりの農地面積が1.8haと狭小なのが特徴的。 これを同じく先進国でもある、米国、欧州、豪州と比較すると、農家1戸あたりで、少ない欧州でも約9倍、米国は99倍、広い国土と機材に恵まれた豪州では1902倍にも及びます。 また高齢化も非常に進んでおり、とくに子孫世代では都市圏などで勤務する家族形態のところも多いため、さらに農業就業人口うちの世代はシルバー化が進んでいました。 農業経営の規模について、農地拡大した農家では近隣から廃業する農家などから農地を引き受けているケースや、収益低迷や高齢化での離農による農地縮小などを行うところが増えていました。

【日本の農業人口の推移】

農家自体の数も、10年間で196万戸から133万戸と減少。 その一方で、農地リースや各種農業法人化の推進体制が整備されたことにより、この10年で、8700から18857と一気に法人数(=法人経営体)が増えました。 また、農産物販売金額全体のシェアは、法人経営体によるものが大きな伸びを見せており、同10年間で15%から27%と上昇。 直営の農産物販売所や加工所、インターネット販売などばかりでなく、ロボットによる農作業などの新技術を取り入れた工場型農場なども、これまで以上に増えました。 かつ、さまざまな職種の人を多く雇用でき、かつ柔軟な組織運営も可能な法人ならではのメリットを生かした、個別の「構造改善」が進んでいます。

【農業法人制度が整備されてからの変化】

農地法改正前には、とくに法人による農業参入は、「農業特区(構造改革特別区域法による)」や「特定法人貸付事業(農業経営基盤強化促進法)」といった制度はあったものの、500前後と、種々の厳しい条件もあり、急激な伸びは見せていませんでした。 が、この農地法改正による「農業法人」導入に前後しては、これまで小規模の農家が、インターネットや直売所などを利用して収益を上げていたようなケースでも「消費者に対しての農業イメージをより強くアピールできること」からくる組織変更。 さらには、農業法人が農地を借りたり取得して始める、営農のための集団による法人参入なども、数多く見られるようになりました。 法人化することで、個人時とは違い、信用問題でクリーンで資金的体力も充実、契約なども広く行えるようになったことで、さらなる販路の拡大や、融資やその他調達・契約などを得ることもできるようになったといわれています。

【農業からみた農業法人のメリット・デメリット】

先にご紹介したように、血縁による農家の承継という点では、すでに地方部や小規模経営のところを中心に高齢化や廃農問題が多く見られていました。 法人化することで、企業が新規参入して農業法人を立ち上げる以外にも、地域などの農家が集団で、一定の農家に属していた農地をまとめて運用することができるようになりました。収量や品目、収穫時期などの安定化や、大規模集約することによる経費圧縮等にもつながりました。 また、官公庁による一時的な融資制度や優遇税制などでのメリットもありました。 法人化したことで経営側の立場ではなく雇われて農業従事する人にとっては、福利厚生など、これまでの農業従事者にとってブラックボックス的な扱いがされていた部分も広くカバー。サラリーマンにほとんど準じた、充実したさまざまな仕組みが生まれたといわれています。 記帳や会計面などについては、農業経営時よりも細かな日常的な手続きも必要となりましたが、この点については、各地の農協などの指導もあり、もとより広く各農家で「法人レベル以上に」しっかりと身につけているところも多かったようです。

~農業法人のメリット~

1:経営管理~個人から法人化する際のいずれの業種も共通ですが、家計と経営を分けることで、今後の融資や経営改善のためのデータも集まります。何より記帳習慣そのものが、融資や補助金などを受ける際の大きな力となってくれます。 2:信用力がUP~法人化して黒字化を図る、各種会計資料を備えることで、金融機関からの信用度があがります。また、法人化に伴い、地域の法人会や商工会などに参加したり、金融機関の支店などを拠点とした経営指導などを受けることもでき、信用力のさらなる向上や、農業技術だけでなく経営技術を身に着けることにもつながります。 3:経営や人的体制の拡充~法人として存続することができるため、農家の場合に制約を受ける「身内の後継者がみつからないので廃業」ということがなく、従業員の中から、後継者を確保。また、病気などで経営者が働けない時にも、組織内で技術や経営などを徐々に教えておくことで、一時的な職務遂行担当者などを確保することもできます。 1人が欠けても、組織自体は円滑に動く体制が整うのです。 ちょっとした天候の変化に対応するため、農協が用意した旅行会の日以外は、なかなか遠出ができないという人も多い農家。休暇が取りやすくなったということで、経営者側にもかなり大きな「福利厚生二も似たメリット」があるといわれています。 4:農業に限らない職種を確保できるため発展しやすい~農業で直接販売などをメインとしているところは、個人でも法人でも収益率を向上させていますが、法人ではとくに、農作業の直接従事者以外を、広く求人採用することができます。そのため、他の業種、他の業界視点での事業展開などにつながることもあります。農業自体のやり方についても、工場や物販流通といった視点や管理技法を生かした方法改善を取り入れ、効率の良い経営を図っているところも見られます。 5:就職活動や求人面での募集のしやすさ~法人形態によっては、就職した人に対しての社会保険、労働保険などを適用することができ、福利厚生面でかなり充実が図られます。また、時給制や月給制、手当などについて明確に表示しての募集を行うことができ、学校や公的窓口などを経た就職活動や求人活動などにも積極的に参加することもできます。 6:税制面では、役員給与を経費として処理できる~役員報酬については、一般の法人と同じで、給与所得として損金算入できます。また給与所得控除処理もおこなえるため繰り越し控除も可能です。法人化に伴い出費がかさみがちな時期を、なかなか強力にカバーしてくれます。 退職金も損金として計上できる他、農業経営基盤強化資金なども損金計上できるため、税制面ではお得な部分がぐっと増えます。 このほか、金融機関からの貸付ではなく、農業経営基盤強化資金の貸し付け限度額については、法人であるだけで10億円から、常時従事者数によっては最大20億円まで増額されます。

~農業法人のデメリット~

よく具体的なメリットとして挙げられるのは・・・

1:社会保険料負担が増える~従業員募集面では、整備されていればいる程優秀な人材が集まりやすい福利厚生各種。ですが、たとえば、法人形態によっては、加入が義務となる公的保険などが存在します。労災保険・雇用保険・健康保険・厚生年金保険の4種類の公的保険が代表的なものですが、中には、その従業員1人1人の保険料全額や半額を負担しなければいけないものもあります。個人の農業経営でも常時労働者5人以上のケースなど規模によっては強制適用です。 保険料負担ですが、 労災保険(療養、休業、障害、遺族、傷病):全額事業主 雇用保険:事業主と被保険者で負担 健康保険(傷病、出産、脂肪):事業主と被保険者で負担 厚生年金(老齢厚生年金、障害厚生年金、遺族厚生年金など):事業主と被保険者で負担 また法人組織によっては、健康保険と厚生年金に代えて、国民健康保険と国民年金を選択するケースもあります 国民健康保険:被保険者で負担 国民年金:被保険者で負担 パートタイマーについても、労働社会保険の適用状況によっては、この各種保険の適用を受けるため、経費負担は増大します。 2:税金や会計系の負担~法人の場合、決算や会計について、規模によっては各種計算書類の作成に、専門家を依頼するケースもあります。その手間や経費が発生することもあります。 また、個人経営の農家では、所得が少ない場合、所得税負担がありませんが、農業法人であれば、利益がない場合でも地方税(=法人住民税)を負担する必要があります。

他にも、法人の農地や大型機材などを、倒産に関連して失いかねないといった声なども聴かれます。 このあたりについては、経営上のさまざまな制度利用や、登記の手法などによって、いざというときに備えた設定を行っておくことも可能です。

【法人組織としてみる農業法人とは】

農業法人とは、先にご紹介したように、法的に規定された1種の法人類型ではありません。 ・原則農家が参加して農業の協業を図るための「農事組合法人」 ・同じく農業の協業を図るための法人で「会社法人」 があります。 「会社法人」としての農業法人は、年60日以上の農作業従事義務のある農地法要件を満たした1人以上の構成員による設立申請の法人である必要があります。 法人組織としては株式会社、合資会社、合同会社、合名会社としての設立が可能です。 また、その法人が、農地権利を持つための法人格という点で見ると・・・ ・農地権利を持つ「農業生産法人」 ・それを持たないために借地などで済ませたり、あるいは仕入れ販売や生産委託などを行う「一般農業法人」 などに分かれます。 ※前述のように、2016年4月1日改正農地法により、農地所有ができる農業法人の「農業生産法人」は「農地所有適格法人」に呼称が変更となりました。

【農業法人を設立するには、どの法人形態の組み合わせが良いのか】

農業法人を設立する際には、法人はどんな業務をメインとして据えて、どこを収益の柱とするかなどによっても、取るべき「農業法人としての法人種別」が異なってきます。

土地を持つ持たない、土地を借りる借りないといった部分や、農家として営農をメインとするのかどうか、また継続雇用する人の職種~たとえば農作業がメインであるところや、その加工作業に多く人員を割くところ、販売などの事務やインターネット関連出荷業務などがメインとなるところなどでも、税制面やうけることのできる補助金や融資などのフレームがことなってくるため、この辺りを基準として法人組織のタイプを選択する方もあります。 地方部では、金融機関の融資や保証などの関連で、金融機関が勧める形態での法人設立をされる方も多く見られます。

先ほどご紹介した、「農業法人」がとれる法人形態ですが・・・ 設立に際して、「株式会社」や「合同会社」の場合、1人の出資者で設立ができます。 ですが「農事組合法人」では、農業従事者などをはじめとする※ 3人の出資者が必要(家族でも可能)です。 たとえば、農事組合法人からスタートすれば、株式会社に組織変更を行うことは可能。他にこういった特徴があります。 ・農事組合法人→株式会社へは変更可能、合同会社ヘは直接変更不可 ・合同会社→株式会社へは変更可能、農事組合法人ヘは変更不可 ・株式会社→合同会社へは変更可能、農事組合法人ヘは変更不可 ですが株式会社として設立したものは農事組合法人に組織変更を行うことはできないため、農事組合法人となりたいのなら、新規に農事組合法人として設立する手続きとなります。 この場合、以前の株式会社の方は解散するか休眠状態にすることがありますが、法人税負担などが発生するケースもあります。 税制面でも農事組合法人とその他法人では、負担がかなり異なってきて、年所得などによっても、適用税率で違いが見られます。今後の業務拡大分析なども含めて、しっかりと選択しておきましょう。 (※農事組合法人を設立するときには、構成員に制限があり農民、農協・農協連合会、現物出資する農地保有合理化法人、物資供給・役務提供を受ける個人などの中から3人以上を選ぶ必要があります)

【農業法人設立時の、登録免許税&定款について】

農業法人設立時には、その選択した組織形態によっても、必要とする登録免許税や、定款作成と認証などが発生し、法的要件を満たしたものとするために、手数料なども発生します。 選択した法人の形態によって定款の有る無しはことなりますが、通常は、このようななんがれで設立を行います。 設立のための事前打ち合わせ(組織によっては社員等が、一定の条件を満たすか) 発起人会開催 類似商号の調査(法務局など) 定款を作成 公証役場で定款認証手続き。 設立総会開催 出資金の払い込み そして、法務局で会社設立申請を行います。 その後、設立手続きが終わったら金融機関に法人口座を開設するため等、各種の手続き用の会社の謄本(履歴時効全部証明書)を法務局などで取得し、法人口座を開設します。 税務署などへの届出 (農事組合法人の場合、都道府県知事にも届出) 農業生産法人(農地所有適格法人)する際は、手続き上最もウエイトが高いとも言われている、各市町村農業委員会や農協と地域金融機関などに、どこよりも先に相談しておけばスムーズです。 これが一連の手続き。 定款作成には、司法書士などに依頼することが多く、地域や農協関連案件の取り扱いの多い専門家に依頼するか、ネットなどで相談を受け付けている専門家を利用するケースなども最近は見られるようです。

必要な費用は以下の通りです。

農業法人を「農事組合法人」として立ち上げる場合

<農事組合法人> 登録免許税:非課税 定款認証:不要

農業法人を「株式会社」として立ち上げる場合

<株式会社> 登録免許税:資本金の1000分の7で最低15万円 定款認証:必要(通常5万円程度)+印紙代4万円

農業法人を「合同会社」として立ち上げる場合

<合同会社> 登録免許税:資本金の1000分の7で最低6万円 定款認証:不要

【農業法人化したことにより発生する業務】

税務面や会計面では、常時法人金融口座の有り高チェックや、記帳、入出金手続きなどを行うことなどが新たに発生します。 また、法人化する際に、就職した従業者の名簿を備えたり、社会保険や福利厚生の適用状況などを記録するといったことも、加入する保険等の手続き上、新たに発生します。 就職求人活動においての採用上での個人情報取り扱いや、雇用契約そのものなどについて、さまざまな書式を備えるといった整備費用などもあります。 もちろん、行政書士や司法書士、税理士や社会保険労務士などに丸ごとお願いすることもできますが、顧問料は従業員数や取引数、取引額などに応じて、万単位以上の桁で、それなりに発生します。

【技術が身につく!農業法人は就職先としても人気】

現在、異業種からの農業参入などが、経済系や地域ニュースとして取り上げられることも数多くあります。 旧来の農家型の農業だけでなく、店舗や店頭で求められるさまざまな特徴~商品の姿や形状、有機農業などの条件~を満たした付加価値の高い農業技術を習得することができる点や、ゆくゆくは自らが農業経営者となってスタートできる可能性もあるということもあって、その技術習得なども含めての「農業法人就職」が人気となっています。 個人経営農家で働くのとは違い、農業法人では、出来高制ではなく給与で支払われるため、安定性が高い点も人気となっています。

【農業法人の求人募集はどこで見られる?どんな就職活動を行えばいいの?】

以前はあまり農業法人自体の数が多くなかったこともあり、農業法人の求人情報はほとんどが非公開。親族や近所の人たちなどの紹介などによるものがほとんどでした。 現在は、ハローワークやインターネットサイト、また農協や、地域の役所関連などを窓口としての求人募集もひろくみられるようになりました。 特に、働き盛りの世代が求められる地方のIターンUターン就職求人として、全国各地の農業に特化した求人情報サービスや、ハローワークでの就農系や地方移住就職型求人の専用窓口(ハローワークによっては、一般の求人フロアとは別の窓口やフロアで紹介している)などもあり、情報は豊富です。 フリーランスで働くための情報サイトなどで、お試し型に1週間から数か月働いてみるといった求人募集や、農業法人そのものが、自らのWEBサイトなどで、広く求人募集を行っているケースもあります。 「ここは」とおもうあこがれの農業法人があれば、年に数回の農場イベントや、見学会などのチャンスを生かして頻繁に足を運んでみたり、ここで働きたいといった意気込みを、自らの現職のポートフォリオや手紙などを添えて、送り続けてみる就職活動なども良いかもしれません。

【農業法人に就職する際の注意点】

農業法人といっても「法人」ということで、完全に分業された職種の募集もあれば、その法人によっては「収穫や植え付け時などの繁忙期には、農作業に全員が従事することが明示されているような求人情報」なども見られます。 また、職種に依らず一般の企業よりも、一人一人の能力による実務内容も大きく、生産現場を持つ農業法人では、台風や豪雨、冷夏などによる天候や気象条件からくる影響を大きく受けがちです。 繁忙期にかぎらずなかなか予定通りに休みが取れないといった声も聞かれ、就職する際には、「一般の企業やシフト勤務の職場に比べても、勤務日程や休暇では柔軟性も求められる」と覚悟しておきましょう。

【農業法人の始め方、法人化のメリット、就職や求人について、いかがでしたか?】

今回は、農業法人の制度が出来上がるまで、現在までの農家を取り巻く状況、法人化のメリットや農業法人の始め方、農業法人への就職や求人についてなど、まとめて簡単にご紹介しました。 これら制度については、農林水産省ページや、農協関連ページ、農業指導関連メディアなどで、充実した情報が多数確認できます。 制度変遷や、補助金関連、減税その他の制度についても、こうした「農業」に絞った「経営者向けメディア」で、さまざまな役立つ情報がまとめて収集できます。

IT関連企業でも、農業を1分野として手掛けるところも増えており、また都心の企業内本社や事務所のインテリアとして、生きた植物や畑などを備えた企業なども見られます。 生産する販売するという商品としてだけでなく、その労働を通じて自然と親しみ癒しを与えてくれる農業。 今回の農業法人の記事をきっかけに、いま注目されている農家から法人化した注目の農業法人や、企業が手掛ける農業部門などをチェックしてみませんか?

みずからの業務に役立つ、異業種からのあらたな発見が得られるかもしれません。