【司法書士試験の難易度】社労士、行政書士などと比較してみた

資格

目次

司法書士、社労士、行政書士とはどのような資格か

 

この3つの士業とはどういう資格なのでしょうか。それぞれについて概略をご説明します。

司法書士とは

司法書士は、「司法書士法」に基づく国家資格です。

本来は弁護士がすべき法律関係の手続きを、弁護士の手が回らなために、手続き専門の士業としてスタートしました。そのため行う業務は、法的な知識に基づいた登記や供託などの手続きの代理、裁判所、検察庁、法務局などのに提出する法的書類の代理作成および提出などです。 さらにほとんどの司法書士が開業後は法務大臣認定の認定司法書士資格を取りますが、それによって簡易裁判所における民事訴訟、民事執行、民事保全、和解、調停などにおいては弁護士のように当事者を代理することがでます。

基本的には司法書士試験に合格した人だけが取れる資格ですが、それと同等の能力と知識を持っていると認定される人は、自動的に取得できる資格です。たとえば、裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官、検察事務官と言った仕事に10年以上携わった人箱の資格が取得できます。

社労士とは

一方社労士は、「社会保険労務士法」に基づいたこれも国家資格者で、正式名称は社会保険労務士です。

この社労士は、主に企業や個人事業主にける社会保険や年金、労務管理をあつかう専門家のことです。単純にいうと年々複雑化し、かつ社会的な意義が高まる社会保障制度や労務問題を、企業が円滑に運用できるサポートを行う仕事です。 具体的に社労士しかできない仕事は、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の書類の作成および申請の代行です。その際の労働者名簿、賃金台帳、就業規則などの作成も、社労士しか代行できな独占占業務です。

行政書士とは

行政書士とは、「行政書士法」に基づこれもく国家資格です。 仕事内容は、官公庁に提出する書類、権利義務・事実証明に関する書類[などの作成と申請代行です。あるいはこれも国が認めた特定行政書士になると、官公署に対する行政不服申立て手続の代理ができます。

司法書士、社労士、行政書士はどのような仕事をするのか

 

以上のような概略の中で、特に業務内容について詳細にご紹介します。業務の難易度=資格取得の難易度、という点が見えてくるかもしれません。

司法書士の仕事は

司法書士の仕事は箇条書きにすると以下のようになります。

・不動産登記、商業・法人登記、供託手続の代行
・帰化手続など、法務局に提出する書類の作成
・登記および供託についての審査請求手続の代行
・検察庁に提出する書類の作成

更に上述した「認定司法書士」になると追加で以下の業務が可能になります。

・簡易裁判所における、請求額140万円までの民事紛争についての種々の手続きの代行
・簡易裁判所への少額訴訟債権執行の申立て代行
・代理人として簡易裁判所に出廷し、弁論や和解の実行

つまり140万円までの訴訟であれば弁護士並みの業務ができるということです。

社労士の仕事とは

社労士の仕事は主に企業からの依頼に基づくものであり、それは箇条書きにすると以下のようになります。

・人事雇用等 労務全般の相談対応
・労働トラブル発生時の対応
・労務トラブルの潜在リスクの指摘と対策の提案
・就業規則、雇用契約書等の作成、改定代行
・労働災害、通勤災害の申請、給付手続き代行
・雇用保険で対応する範囲の疾病、ケガ、出産、死亡等に関する申請、給付手続き代行
・雇用保険に関する申請、給付等手続き代行
・労働保険料、社会保険料に伴う諸手続き代行
・賃金制度、退職金制度、企業年金制度の構築援助、提案

また案件数は少ないですが、個人からの以下の依頼にも対応します

・老齢、遺族、障害、離婚時分割などの年金に関する相談対応、給付手続き代行
・企業に対する従業員の代理の立場での紛争対応(ただし特定社会保険労務士のみ)

行政書士の仕事とは

行政書士の仕事は以上の2つの士業以上に幅広く、いわば法律上の手続き、行政の手続き、民間同士の紛争のたいおうなど多岐にわたります。

たとえば
・車を購入すした場合の車庫証明申請手続き代行
・風俗業・建設業の営業許可の申請代行
・商品、サービス購入時のクーリングオフの手続き代行
・遺言書の代理作成

などでその数は1万種類以上の仕事があると言われています。
以上のように最も「弁護士に近い」業務を行えるのが司法書士で、社労士は人事問題への特化、行政書士はもろもろの書類作成業務に特化、というのが概略の違いになります。

司法書士試験、社労士試験、行政書士試験の難易度は

 

それではその3つの試験の難易度はどうなのでしょうか。それぞれをまた比較してみます。

司法書士試験の難易度と合格率

平成29年度の司法書士試験の実施状況は以下の通りです。

・受験者数 15,440名
・最終合格者数 629名
・合格率 3.3%

司法試験は合格者数を増やすというのが国の方針で司法大学校なども積極的に設立していますが、司法書士は逆に合格者数を絞る方針ですので、ここ数年は合格率は3%台です。

社労士試験の難易度と合格率

これに対して社労士試験の実施状況は以下の通りです。

・受験者数 39972名
・合格者数 1770名
・合格率 4.4%

社労士は、司法書士よりも平均で1~2%合格率が高いレベルで推移しています。

行政書士試験の難易度と合格率

さらに行政書士試験の実施状況は以下の通りです。

・受験者数 41,053人
・合格者数 4,084人
・合格率 9.95%

行政書士の合格率は約10%ですから、ほかの2つの士業に比べてやはり難易度は低いと言えます。
ただし近年の試験内容は知識の暗記型ではなく、法的思考能力を問うものに変わってきており、難易度は上昇傾向です。

司法書士試験の高難易度は試験内容のせい?

 

このように3つのうちでは最も難易度が高い司法書士試験ですがこれは試験内容がやはり高度だからでしょうか。その内容を比較してみます。

司法書士の試験内容

司法書士の試験では3つの知識を問われます。

(1)憲法、民法、商法および刑法に関する知識
(2)不動産登記及び法人登記に関する知識と作成実務
(3)供託、民事訴訟、民事執行、民事保全に関する知識

これらの問題で合計点が、午前の部で105点中75点、午後の部で105点中72点をそれぞれクリアすれば合格です。

社労士の試験内容

社労士の試験内容は以下の法律の範囲に限定されています。
労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法、国民年金法 さらに実務能力を見る点では、労働保険、労務管理など一般常識に関する質問など合計で78問の問題が出て、
合計110点中6~7割の正答率が必要です。

いずれにしても基本法規すべてが対象の司法書士よりは、範囲がかなり狭くなっていることがわかります。

行政書士の試験内容

行政書士の試験内容は、法律に関する問題が46問に加えて業務遂行のための一般知識14問で構成されています。 対象となる法律は憲法、民法、行政法、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法を中心とする、会社法、基礎法学などほぼ司法書士と同様です。 また一般常識は政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護などに関して出題されます。

やはり難易度が高いのは司法書士

これだけを見ると、行政書士試験は司法書士試験と同様の難易度のような印象です。しかし司法書士試験は、法的な実務手続きの非常に詳細な部分まで覚える必要があるのに対して、行政書士試験は実務的なことはほとんど出題されず、法律に関する知識に出題範囲が限定しています。

このような点から、司法書士試験の方が圧倒的に行政書士試験よりも難易度度が高いのです。大学で言えば司法書士試験は専門課程、行政書士試験は一般教養、というくらいの違いがあります。

司法書士試験の高難易度は受験資格のせい?

 

これだけ司法書士試験の難易度が高いと、その受験資格も司法書士試験が最も厳しいかというと、ここは難易度とは比例していません。

司法書士の受験資格は

司法書士試験の受験資格は特にありません。大学卒業の資格も不要ですし、実務経験も問われません。

社労士の受験資格は

これに対して司法書士試験のように社会保険労務士は誰でも受験できるわけではありません。以下のような受験資格が設けられています。

まず学歴では
・4年制大学で一般教養科目の学習が終わっている
・短期大学を除く大学において62単位以上を修得している
・短期大学または高等専門学校を卒業している
・就業年限が2年以上で、かつ、課程の修了に必要な総授業時間数が1,700時間以上の専修学校の専門課程を修了している

のいずれかが必要です。

資格としては
・司法試験予備試験に合格している
・行政書士の資格を有している

のどちらかが必要です。

行政書士の受験資格は

一方で行政書士試験の受験資格は司法書士試験と同様に、特にありません。大学卒業の資格も不要ですし、実務経験も問われません。

法書士試験の高難易度は受験者のレベルの問題?

 

このように「誰でも受けられるが、合格の難易度は高い」司法書士試験ですが、それは受験者もやはり3つの士業のうちもっとお高レベルだということなのでしょうか。レベルが高い受験生ばかりが受験すれば当然合格の難易度は上がります。

司法書士の合格者の状況は

司法書士試験の合格者は、30代から40代で約7割で、平均年齢は37.6歳でした。大学を卒業後、社会に出てから受験をする方が多いのが特徴です。そのうち23.8%が女性です。

社労士の合格者の状況は

社労士の場合は、やはり30代から40代で6割ですが、50代以上も25%います。そのうち会社員が約半数で、定年退職後の仕事を念頭に業務で学んだ知識を生かして起業しようという姿が想像されます。また女性の合格者は33.9%です。

行政書士の合格者の状況は

行政書士の場合は、逆に20代が約半数で、30代37%、40代10%を大きく引き離しているのが特徴です。つまり大学の段階で、就職活動の一環でTOEICと同じような位置づけで資格を取得する人が多い、ということです。 女性の割合は、18%ですから、司法書士、社労士は、子育てが終わって手に職をつけて再度働こうという人が多いのに対して、行政書士は就職に有利になるように取得しようという受験同期の傾向があることが分かります。

司法書士、社労士、行政書士に合格するための平均勉強時間は

 

このように難易度が異なる3つの士業ですが、やはり難易度に応じて合格するための勉強に関わる平均時間は異なるのでしょうか。

司法書士合格の平均勉強時間は

一般的には合計3000時間と言われています。仕事をしながら合格を目指すのであれば、私生活の全てをこれに注いだとして週に60時間程度の勉強時間になりますので、合格までには2年半は必要な計算です。

社労士合格の平均勉強時間は

一般的には800~1,000時間と言われています。これも週60時間勉強できたとしたら、3ヶ月程度で合格可能です。

行政書士の場合は

一般的には500時間程度と言われています。これも週60時間勉強できたとしたら、最短2ヶ月程度で合格可能です。 この合格までの必要勉強時間数から見ても、司法書士試験が最も難易度が高いことが分かります。

司法書士試験、社労士試験、行政書士試験合格までの平均受験回数は

 

また難易度が高いということは、合格までの受験回数とも比例するのでしょうか。

司法書士合格までの平均受験回数は

最も合格率が高いのは3回目の受験者で21.7%です。受験回数4回以上は合計すると、52.4%いますから、相当な難関だと考えられます。

社労士合格までの平均受験回数は

社労士の平均受験回数は4~5回です。ただしこれは2極化していて、1~2回で合格するグループと、7回~8回で合格するグループに分かれます。

行政書士合格までの平均受験回数は

初めての受験で合格する人が約半数いるのが特徴です。2回目の受験者が約3割ですからここまでで大半になります。やはり大学在学中に就職のための受験する人が多いからでしょう。

司法書士、社労士、行政書士になった後はどのような仕事につくのか?

 

このような難易度をクリアして合格した後、司法書士、社労士、行政書士はそれぞれどのような職に就くのでしょうか。之にも3者3様の特徴があります。

司法書士の場合は

司法書士は専門性が高いため、資格取得後すぐに独立開業できる人は少ないです。基本的にはまず勤務司法書士として司法書士事務所などに就職します。

その時の初任給の平均は月収20万円ですから、年収ベースでな240万~300万円程度です。難易度が高い割には得られる報酬が低いのが特徴です。
さらに、一般的なサラリーマンのように、年齢による昇給ということはほとんどありません。経験=給与ですから、仮に苦労して40代で司法書士になっても生活面では苦しいでしょう。そこを乗り越えても平均年収は500~600万程度が平均です。

年収を改善したい場合は、独立するしかありません。しかし、独立しても2015年版の司法書士白書によれば、司法書士の年収は、499万以下が全体の70%ですから、決して高収入とは言えないでしょう。勉強の努力に報酬が伴っていないのが司法書士なのです。

社労士の場合は

それに対して社労士の場合は、社労士事務所への合格率自体が5%程度だと言われていますので、合格者の約6割は独立開業の道を選びます。その際の平均年収は450~800万円ですが、事務所勤務社労士の平均年収も400~650万円ですから年収的にはあまり差はありません。

行政書士の場合は

行政書士の場合、その資格だけで独立できる人はほとんどいません。基本は企業やほかの士業事務所への就職です。しかしそこで終わりかというとそうではありません。行政書士の資格を取ると、社労士試験の受験資格が得られたり、弁理士試験の科目免除の権利が得られたりします。つまり行政書士をキャリアアップのファーストステップにして、ほかの資格を取得していき、最終的に独立を目指す、という道を選ぶ人が多いのです。

まとめ

いかがでしたか。 司法書士試験は社労士、行政書士などに比べると、合格までの時間数だけで考えても3倍以上の難易度だということがお分かりいただけたでしょうか。しかし、にもかかわらず年収的には必ずしも報われる士業ではない、ということも言えそうです。もしも司法書士試験の受験を考えている人は、そのあたりもしっかり検討しましょう。