【シミュラクラ現象とは】人じゃないのに顔に見えるあの現象を徹底解剖

締め切り間際で毎日残業が続くとき。集中してPCモニタだけを眺めていて、ふと席を立って周りを見渡すと、いつもの壁の模様や、物の配置が・・・「え?周りの人やモノが、心霊写真や人の顔に見える」なんていう経験、ありませんか? 3点の並びが人の顔に見え、その周辺全体が物のように感じられてくる「シミュラクラ現象」が原因であることが多いのです。

目次

【シミュラクラ現象とは】

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人がものを見た時に、外界からの刺激+見る人のさまざまな条件で、生き物や顔ではない何かが顔に見えることや、顔など一部分だけが錯覚される以外にそこから脳内で補完されて身体全体などとして認知される・・・といったことがあります。 この中に「シミュラクラ現象」があります。 「シミュラクラ現象」では、「人の心や脳の構え方、情報処理の仕方」にも起因して、点などが顔として認知されるもの。 同じ図形を見ても人によって見える人、見えない人がいます。 また残像性や、人の顔を認識する個別の人の体内での判断順序や方法によってや、動的に見えてくるもの(対象物が動いている時に発生しやすい、あるいは、自分の脳や目の側が周囲の動きについていけないなどの理由で一部の認識が強調されることから見える)と、写真など静的な状態で見えてくるものなどもあります。

【基本的なシミュラクラ現象は、3点の並びから構成される】

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3点の並びですが、「人の目の場合、3つの点が集まった図形(∵)を人の顔のように見るように、脳がもともとプログラムされている(=と考えられている)ことに基本的な原因があります。 急に目の前に人が飛び出して来たら、振り返ったときに壁面があるよりも、人はすばやく危険を感じたり身構えたりすることができるといわれます。 これは通常の図形よりも、この3点をいち早く、「顔や生き物の特徴」として脳でとらえさせることで、形式によるプリプロ的に判断を速めているのではないかと、近現代では考えられています。 この後にご紹介するパレイドリア効果というパターン認識系の錯覚や、認識にまつわる様々な現象や効果に比較しても、この「シミュラクラ現象」によって顔や生き物を認知するケースでは、そのほかの方式よりも認知までの反応速度が若干早いといわれています。

【シミュラクラ現象は心霊写真だけではない!】

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雑誌や商品ジャケットなどの写真で 「木の枝やほかの人の服の柄なのに、あるはずのない手が写りこんで見える」 「いつもとある地点を通りかかると、亡霊が立っているように見える」 といった、納涼系オカルトから 「壁の木目がどう見ても、神様の顔で、神降臨!!」 「とあるお宅の塀についている排水溝が、妙にセクシー」といったものなどがあります。 人によって「人に見える見えない」には違いがありますが・・・

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人を見分ける際に、目鼻口の三点並びや、眉口三点並び、ボディライン上の三点並びなどを、順に当てはめる人なども居ます。 (人の身体の構造は、基本、上からこのさまざまな3点並びで構成されているので、その人の脳の働きや視野の違いによっても、何階層あてはめを行うか、見えている物の確認のために脳内フィードバックをどのくらい行うかなど、スコープ部分も違ってくるのです)。 この拡張部分の「一定の類型への一致性」からフィードバックされた「3点=顔認識」も、顔から始まる広義のシミュラクラ現象です。 この「3点並びの動きで、人体や生き物の多くに属する対象物かどうかをチェックする」という人間の多くに備わっている特性は、反射的に危険を察知したり、親しい信頼でいる人を見分けたりする点で、乳児期早期に備わるものと考えられています。 ちなみに、初期のポリゴンによる画像解析や描画などについても、この「3点による生物の脳内での判断など」を考慮して、三点に集約されたのではないか?と考える人もいます。 これ自体は、人体各部には三角形と逆三角形の組み合わせ構造が多いという説や、ポイントを起点とした動きをこの三角形の間でさまざまに組み替えて人の動作が組み立てられているという説などにも由来します。 世の中の心霊写真の多くは、このシミュラクラ現象で説明できるといわれています。

【シミュラクラ現象のサンプル】

さて世の中では、「電源コンセント差込口」「ボーリングの球の穴」「木の節」「排水溝のふた」「手動式シャッター」などで、特に多く「心霊写真?」「顔に見える現象」が報告されています。 大部分がそれで説明できるといわれてもなかなか納得いきませんよね。

<シミュラクラ現象のサンプル画像まとめ>

そこで、シミュラクラ現象をあつめた動画をご紹介します。

シミュラクラ現象という錯視のまとめ-simulacra - YouTube

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心霊写真というよりもかわいいキャラクター的な顔に見える画像が多いこちらの動画。

説明文でいまいちピンとこなかった方も、これだけたくさんの「シミュラクラ現象」による認知につながりそうな画像があれば、中に1枚くらいは「人の顔に見える」「いやこれは心霊写真カモ!?」などと思える1枚があるかもしれません。

<シミュラクラ現象の専門家による説明(英語)>

Virtual Reality and Theater: Simulacra and Simulation | William Cusick | TEDxJerseyCity - YouTube

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こちらは、シミュラクラ現象を説明したTEDの映像。 英語ですが字幕有で、映像専門家によるわかりやすい解説があります。

<シミュラクラ現象?を意識したのではとも言われるものは美術作品にも多い>

『印象・日の出』( Impression, soleil levant)クロード・モネ(1872年)

ちょっとIT系とは離れますが、ちょうど世間でさまざまな数学医学者などにより、錯覚錯視がブームであった当時。 このモネの印象・日の出は、とても幸先の良い、美しく幸福を招くような位置づけの絵画としても人気がありました。 理由の一つはシミュラクラ現象でいう人の顔に見えなくもないから。 出航する船を眺めながら、水夫のオジサンがこっそりウインクしているような絵に見えませんか? 2018年にもやはり日本ではモネの絵画ファンが多いのですが、絵時代のうつくしさや 構図はもちろん、どこかひとをほっこりさせるようなお茶目心があふれているところも根強い人気の秘密です。

美術作品ではありませんが、写真の初期には、じつはかなりお遊びの多い作品も多く見られました。 現代まで「ガチ心霊写真」などとして広く紹介されている中には、こんな作品もあります。

イギリス・クイーンズハウス(1966年)

こちらはシミュラクラ現象とあとから紹介するパレイドリア効果による心霊写真などを多種たっぷり満喫できる1枚。 正面には3点からなる「りさとガスパール」のようなウサギかネコかわからないような顔に見える絵柄が。 ここまではとってもかわいい顔に見える写真です。 そして心霊写真面・・・手すり部分には何かが載っているように見えます。ちょうど、心霊写真でよく見かけられるモチーフの「しわくちゃになって縦方向に流れるような布目を描いている衣類を思わせ、手すりに対して人の身長大程度のなにか」。 この部分を心霊写真としてとらえるには、お化け屋敷などでよく見る「お化けの典型パターン」と自らが照らしている、脳や神経その他によるさまざまな判断が介在しています。 当時の写真撮影では、手法によっては露光時間を多めにとる必要があったため、いろいろな映り込みでアレンジすることも可能でした。 今とは異なり、フィルムや露光感光部分の精度が高くないからこそ、可能だった表現もあるのです。

見慣れた名画の中にも、画家たちや写真家たちが、たくさん遊び心でいろいろな技法を取り入れているものなどがあります。 また教会建築や美術館博物館では、絵の裏側や建物の屋根裏などに、さまざまな「訪れた人をおもわずにっこりさせてくれるギミック」を仕掛けた作品も。 IT人材として携わる間には、こんな風に作品がもたらしてくれる清涼感を感じさせてくれる仕事もあるかもしれません。

【シミュラクラ現象はどんな条件で起こるの?】

ちょっとぼんやりした子供の顔に見えるという方が多い差込口。

<シミュラクラ現象の基本>

基本は、コンセントの差込口で3点タイプのようなもの。 「逆三角形配置の『∵』を見ただけ人や生き物のように一瞬認知できるかどうか」・・・です。 ですが、人の頭では多少解釈に違いがあります。ひとにより「・・」だけがあっても、その人の認知特性で、もう1点を補って「∵」で解釈する方もあります。

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ちょうどマスクをした人をみて、美人と感じるか、自然と補った3点目の鼻口部分でNGと思うかといったあたりで、ひとりひとりの認知の特徴はわかりやすいものです。

<シミュラクラ現象で認知されない人でも、時に錯覚にはまることがある!>

心霊写真? ・・・心和む顔立ちです。

通常、この3点が「ある程度しっかりとした白黒ないしは立体などの、色覚上の識別しやすさ」を伴って、視野に飛び込んできたときに「人かも?」と感じさせるものがシミュラクラ現象。 また認知側の人が、非常に周囲を警戒する時・・・たとえば薄暮時逆行の路肩や、夜間の照明や人通りのないところなどを移動中も、神経や感覚が研ぎ澄まされています。 そのため1点光る点があっただけで、先読みして視野映像を検査したり補完することで、シミュラクラ現象を「より強く感じる」ことも多いようです。 また幾度もその見えたポイントを注意深く確認したりすることで、視野の集中を招き、ひろく周囲に対しては、一時的な注意力散漫にもみえる状態となることも知られています。

自動車の運転中や、縦スクロールする画面を長時間みつづけていて立ち上がったり、ふと、目線をうごかしたときを思い出してください。 人によっては視神経や脳が、この画面動作に特化して、先読みする動作を取り入れています。そのため、揺り戻しのように、真逆に周辺環境がやや動いて見えるような視野範囲となることがあります。 これは、視覚運動性眼振の一種と、脳の判断部分に特化した先読み性がもたらす、目に飛び込んだ風景や認識の補完や混乱がもたらすものです。 この場合、視野全体を覆うほどであるかどうか(VR没入体験のようなもの)や、その人にとって慣れない視野方向で、脳が一瞬混乱するかどうかといった要素などが、錯覚のもととなるものを形成。具体的には、脳や神経の酔いや、次に登場しそうな視野内の像の予測パターンを形成します。

  ※ たとえばこういった映像でも、人によっては1倍速から2倍速程度のどのスピードで没入感が得られるかも違っています。

高速バス 運転席視点 / Express bus - YouTube

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たとえばこの画面では、高速道路なので一般的には人が立っていることがありません。 そのうえ周囲は光が少なくコントロールされています。 この中で、もし、目や鼻の孔、口など、明暗のコントラストが激しいものがあれば、いち早く目に留まるように、プロドライバーは一般ドライバーよりも特化された認識系統をもっているといわれています。 こういった方では、シミュラクラ現象を、もしかすると強く、頻繁に感じてしまうこともあるかもしれません。

昔からよくある、海岸線や高速道路を走ったときにだけ発生する、追いかけてくる幽霊や、走行中に撮影したショットが、かならず心霊写真になってしまうというものも、シミュラクラ現象でかなり説明できるといわれています。 地形による天気、雲の出来方や水蒸気の溜まり方、周囲の岩石や水面などによる集散過程は、衛星写真や一般のカメラでは映りにくいものです。 ですが、高速走行時には、この運転席視点の映像のように 「視野に飛び込んでくるものの中で変化する部分は少ない」もの。 目に飛び込んでくる中で優先順位の高い、人のようなもの~車両やその他異質な方向や属性で動くもの~そのほかの変位を映像的にトラップするために、シミュラクラ現象を使っていることもおおいのです。 そのフィルタを「高速で効率よく利用しやすくするため、車線内画像の色分量や明るさ分量を、自らの意識内で固定して」走行している人が多いのです。 もうすこしわかりやすく言えば、走行中の窓の外枠からプロットする走行位置のスナップショット画像を沢山めくっている中で走行しているような認識系統を取り、その中で異質な障害物や、カーブその他の特筆すべきポイントをピックアップしているのです。

これは運転時の脳や視点、その他の動作の中で、無意識のうちに勝手に脳と感覚器機能が、省力化方向に最適化されているもの。 この時にも、この顔に見える図形は生命にかかわるのでいち早く気づき対応するためのシミュラクラ現象利用や、次にご紹介するパレイドリア効果をつかった「視野に飛び込んできた情報のパターン照合からの検証や場合分け」などが行われています。

その「シミュラクラ現象=何かを想起させる対象物」の解釈には、人の身体のいつもの準備状態+その時だけ発生する準備状態や体調などにより、幅があることも理解しましょう。

【人によって見たものを脳内で当てはめるパターンが違う~パレイドリア効果】

何かを見た時に、「あれ何かに似てない?」という会話は良く聞かれますが、相手とは認識が異なることもあります。 それはその人の認知や記憶などから、当てはめるもののパターンが異なることから起きる不一致。 この「よく見知ったものなどにあてはめること=パレイドリア効果」と呼びます。 先ほどの「何かを見た時に顔に見える、生き物として認識してしまうシミュラクラ現象」も、一部ではこの中に含まれるケースもあります。 積極的な意識や経験によるパターンあてはめの有無などにより、どちらに分類するかを変えているケースなどもあります。

パレイドリア効果では、外部から受ける刺激は、視覚や聴覚刺激など、人体がうける刺激の中でも、とくに脳磁や電位変化などの(脳にとっては比較的大きな)明滅を伴うものが中心です。 パターンと無意識のうちに照合し、「意識して」考えることもあるため、反射的に識別するケースよりも、思考と認識の両者が行きかいます。そのため単なる視認識に比べても刺激増と感じられることも原因です。 パレイドリア効果に利用するパターンは、実際にこれまで遭遇した事物そのものをつかって、記憶や意識に本人が積極的に刻んでいるものなどがあります。 また先ほどの運転時視認性のための省力化と同じで、あまりにたくさんの顔を見たり覚えたりすることが多いため、無意識のうちに脳内に受容とフィードバック双方向の刺激が。効率化をはかるためいn「実際に存在しない特殊な照合用のアイコン的な××像が脳や意識下に形成されている」という方もあります。

よく地方出身者で、夜のサトウキビ畑や水田、麦畑は怖かったという方も多いようです。 たしかに影が長くのびると、「万歳をしている人の群れ」もしくは「バッタ」に見えることも無くはありません・・・まるで心霊写真?

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沢山のパターンを覚えているからといってかならずしもパレイドリア効果が出やすい、出にくいということはありません。 人によって判別の基準や、脳神経機能と処理できる情報等の速度や量には差があることから、パターンあてはめによる誤認識のパレイドリア効果は、その画像そのものだけで完全に判断できるわけではありません。

現在IT系ではさまざまに各社の研究や実現のための工夫が進む、認知面の分類や自動学習ですが、AIやデータ処理の際にみられる「データ間のORG過剰」や「学習過多によるこじ付け的なリンクや関連性構築」などに類する脳や神経構造となっている人も、まれにあります。 IT関連機材とは違い、人体の場合、この「データや連想の連結が多いこと」がかならずしも問題となるわけではなく、この多さが、ひらめきや創造力、データなどをシンプルに再構築する能力に繋がっています。

高偏差値群、高IQやEQとよばれる人たちには、この「自分の意識や脳内で関連させて想起されるデータの量や種別が非常に多い」ことがしられています。さらに人の頭だからこそ、「自己フィードバックして情報を選択する能力も非常に高い」ことにも特徴があります。 今のところ、この情報を複数セレクトして、判別するスピードでは、まだ人間の活発に動く脳の持ち主のほうがスパコンに比べ若干早いものの、手数が多い検討段階=自己フィードバックや検証では、コンピューターや機械のほうが圧倒的に速いことが知られています。 この速さは、バッファや一度に並行して行える処理数と、シミュレーションの試行錯誤部分、あてはめにフィードバックするときの「新たな」探索経路効率化では、YN判断を積み重ねるパターンになることが多いためとも言われます。

【シミュラクラ現象とよく似た他の効果で呼ばれる現象】

映画によく出てくるエイリアンににていませんか?

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シミュラクラ現象とパレイドリア効果はいずれも、既に見知っているパターンや現象、動きその他のものと、脳や意識下で照合する動きから発生するものと考えられています。 ですがこのシミュラクラ現象とパレイドリア効果以外、錯視錯覚には、パターン認識系以外のさまざまな種類があります。 錯覚は錯視や幻聴などをはじめとして、感覚器に異常がないのに実際とは違うなにかを感じること。ラジカルな幻聴や幻嗅覚現象なども含めて、周囲にいる人すべてが同じように感じることができないものを、広く「錯覚」と日本語では分類しています。

「錯覚とは」よく、『知覚(ちかく)』の誤りで、感覚や知覚、認識などのどこかでミスをしたことによって生じると、「市民むけ科学分野」や「文系心理学分野の広義」では解釈されています。 ですが、心理学狭義では「知識があり、注意深く観察していても、間違いや誤りではなく感覚知覚の特性によって作り出される現象」を指しています。

<シミュラクラ現象を含む、日本の心理学でいう錯覚の類型>

日本の心理学でいう錯覚には、大きく分けて4つ類型があります。

 不注意性錯覚:

勘違い(覚え間違い系)、見間違い、聞き間違い

 感動錯覚:

恐怖や高揚感などからくる、受容側の心理や興奮状態が近くに影響を与えるもの

 パレイドリア効果

見ているものが動物や人の顔などに見えるもので、シミュラクラ現象でもこの内に分類されるものもある。通常、対象物が勘違いした顔などとは違うということは考えれば判別でき、冷静な認知のフィードバック修正も行えるが、その認識にはまってしまい抜けだすことができない。熱や炎症、貧血、頭部や頸部外傷、視神経や視覚系器官異常その他神経や意識系にトラブルがある際に、よく陥りやすいといわれている。 また栄養失調などによる、粘膜異常や神経間連絡の異常でも、一度形成された連想につながるパターンが呼び出されやすくなり、発生しやすいことなども知られている。

 生理的錯覚 :

 さまざまな幾何学的錯視による、ものの長短の誤認や、何かの図形が描かれているところから、一部を消すと、まったくそこに存在しない図形が見えてくるなどのもの。 また聴覚系錯覚では、音階が無限に上昇や加工し続けるシェパードトーンなどがある。 認識する対象物が、何かの状態や配置、可視可聴のピークや特徴に、すこしかわったつながりや法則性がある場合によく見られ、ほとんどの人にほぼ同じく発生する錯覚。

   参考 ・・・シェパードトーン

20160414_緊急地震速報_熊本震度7 - YouTube

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0”23から、緊急地震速報のチャイム音

錯覚にはさまざまな現象などがありますが、1種だけ例をご紹介します。 国や各メディア、通信業界が採用している防災連絡用音色他にも多数用いられているのが「シェパードトーン」応用です。 (ちなみにこの音色では、1音の中のさまざまな周波数の分散と、残響音として人のみみに残る感覚とその長さ、繰り返すことによる重なりによって、一般の音色やほかの楽器で奏でたメロディよりも、さらに広がりを感じるといわれています) ちなみに、シェパードトーンのサンプルで非常に分かりやすいのはこちらの動画

Shepard Tone - YouTube

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最もわかりやすいのがこちら。 画面上には周波数帯などが、表示されています。 認識につながる大体の部分で無段階で音が上昇しているタイプのもの。(1音として人がとらえる部分はそれぞれ、ほぼ滑らかに上がっているタイプ) 可聴部分で判断すると、単に無限に上がっているわけではなく、常に上昇する音のレイヤーが差し込まれて消えていくという状態になっています。 これがずっと脳内残響のように残り、上がっていくように知覚される方もありますが、ベース音を持つタイプの音パターンで認識される方では、つぎつぎにあたらしいベース音近辺のうねりを認識するため、広がりを感じないこともあります。

そのうねりによる認識がわかりやすいのはこちら。

The Piano Shepard Tone - YouTube

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ですがこちらの場合、学校教育などでも教え、現代では一般的な「メジャースケール(俗にいうピアノの88鍵)」を使用しているため、音楽を趣味とする人や、絶対音感のある人では、広がりを感じることができません。 ピアノらしい音色自体の中に、複数周波数が1音ごとに可聴領域の音成分が固定されて混在していることも1つの原因。

無限音階オルガン ”nanorgan” demo (Shepard’s tone organ) - YouTube

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また、人の感覚器と脳では、このように繰り返し同じ音階幅のパターンで帯域をずらしていくと、広がりを感じることがあります。 先ほどのメジャースケールから「若干ズレた周波数で認識される音」からスタートして、「メジャースケールの音階幅」は保ちながら演奏を続けると、絶対音感を周波数単位で持つ人には違和感が。全体の調和から得るタイプの絶対音感の人では、やや広がりを感じるという傾向も見られます。

加えて、FMソースと呼ばれる音のような「比較的ピュアでシンプルな音要素」で構成されているものでは、無段階変調されたときに効果を強く感じやすい(基音が何だったか、意識や感覚のなかですり替えられやすい)という人もいます。 これは1音というセットの中に含まれる音成分が1周波数だけ、あるいはシンプルな倍音範囲に限定されるため、1音の中でずれを比較しにくいことなどにも原因があると考えられています。 (良い楽器の残響の性質などを考える時にも引き合いに出される考え方。ですが、逆に変調に強いあるいは変調を感じない人にとっては、ピュアな音色のほうが、酔いにくいという人もあるのが事実です)

【シミュラクラ現象の他のさまざまな錯視】

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さて、ちょっとむずかしいキエモノである音=シェパードトーンのお話でしたが、こんどは少し簡単な、錯視の世界をのぞいてみましょう。

<図形による錯視>

・フィック錯視 ・ツェルナー錯視 ・ポッゲンドルフ錯視 ・ヘリング錯視 ・ヴント錯視 ・オービソン錯視 ・ミュラーリヤー錯視 ・フレイザー錯視 ・ポンゾ錯視 ・デルブーフ錯視 ・オッペル・クント錯視 ・ミュンスターバーグ錯視 ・カフェウォール錯視 ・エビングハウス錯視 ・ジャストロー図形 ・ザンダー錯視 ・ボールドウィン錯視 ・カニッツァのアモーダル縮小 ・盛永の錯視 ・小保内の角度錯視 ・内藤の重力レンズ錯視

<文字列による錯視>

・ポップル錯視

<色による錯視>

・色の同化 ・色の錯視 ・チェッカーシャドウ錯視 ・チャブ錯視 (うち、色(色相を主とする)による錯視ではなく、周辺密度など、空間周波数による錯視として厳密には分類されるものもある)

このなかでいくつか例をご紹介しましょう。

●フィック錯視

●ツェルナー錯視

●ポッゲンドルフ錯視

●カニッツァのアモーダル縮小

●内藤の重力レンズ錯視

重力場モデルで数学的には説明できますが、平面だけではなくさらに多次元でも同じ効果が得られます。 最近の科学技術応用面では、IT分野含めて利用も多いこちら。 割合理解しやすいモデルなので、深く学んでみてもいいかもしれません。

●ポップル錯視

とある特徴のある文字を並べると、文字の一部の行が斜めに見えてくる。(下の図では等幅フォント同フォント、同文字ポイント数)

●チェッカーシャドウ錯視

チェッカー模様の中、 色の濃いほうと、 色の薄いほうのマス目のうちの影のかかっている一部は、まったく同じ色。 画像ソフトで検出したり、その2マス目だけを、黒や白など単一のマスクで覆ってみる、あるいは2セルを同じ色の大きな別の図形でつないでみると、「2つのマス目が同色」であることがよくわかる。 周辺のコントラストや色合いのほか、陰による空間周波数的認知にも影響を受けていると考えられている。

Incredible Shade Illusion! - YouTube

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先ほどは顔に見えるシミュラクラ現象や、何か既存の知識記憶を応用したパターン照合から得られる錯覚のパレイドリア効果をご紹介しましたが、それ以外にも、同じ視野の中で相対的に、他の目に見えるモノ同士の間で発生する錯視など非常にたくさんの種類があります。 ざっと代表的なものだけをご紹介しましたが、これはほんの一部。 人間はパターン分析をするときに、こうした錯視による効果や、その認識と目で見えている像そのものを比較対照しながら、認知を速めているという研究なども多数あります。 このさまざまな対象物となる図形への照合などを含めた、計測物切り分けや再分類、フィードバック修正は、映像の属性付与や分類などのIT機材にあるドライバ部分やソフトにも多数採用されています。

【シミュラクラ現象などの錯覚は、その人個人に起因する現象だけではなく、環境やコミュニティによっても発生する】

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そんなさまざまな錯覚。 実は、一日みんなで同じプレゼン画面や、同じ書籍を読んだり、同じ番組や音楽を聴いた人などには、顔に見えるシミュラクラ現象やパレイドリア効果などの、同じ錯覚がでやすいことも知られています。 またその錯覚が、共通でベースとなる体験をした後、その場所で錯覚を体験したケースでも、またその場所では錯覚を体験せずに各家庭などひとりひとりがばらばらの場所に移動しても、ある程度その錯覚が同じように発生することも多いといわれています。

「今日は疲れた。やられたな」

・・・なんて思う前に、普段とは違う駅やエリア、環境で思い切り汗を流したり音楽を聴いたりといった、気持ちの上だけでなく、BODYとメンタル、そしてとくに聴覚刺激や視覚の刺激を幅広く駆使した「気分転換」は重要です。 脳のこういった「特定の誤認識に導かれる意識や身体の条件」を、酒や飲食、映画や音楽、スポーツなどあらゆるチャネルの刺激と内部からの代謝や置換によって変えていく方もおおくあります。仕事の後のちょっと一杯の習慣化です。 身体内の神経などへの刺激からくるメモリやルート形成といった生体側の事情から考えても、自宅につく前の会社の近くで、勤務の直後や、こうした集中的な変化直後に一服しておけば、この誤認の原因は比較的克服されやすいものです。

日本のドラマに多い「あなた、きょうはご飯とお風呂、どっちにする?」なんていうのは、この典型的な気分転換法。 科学的にも立証されている、感覚器に大きな影響を与える手法なので「IT系だし自分には関係ないかな」と思う方でも、UIUX設計配慮上や、納品時の画面や業務動作のフロー策定上では、覚えておくとよい周辺知識かもしれません。

【そういえばIT関連では、シミュラクラ現象など錯視錯覚への配慮が必要・・・】

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IT関連では、Webページやアプリなどのほか、IT利用でのTV番組や映像作品製作も非常に増えています。 こうした媒体は、さまざまな世代やコミュニティの人が手にすることもあり、「色のつかない=どんな人が手にとっても、『特定の不快感』を抱かせないもの」であることに配慮する必要があるのは言うまでもありません。

この『特定の不快感』を想起させるものにもさまざまなタイプがあります。 たとえば錯視錯覚に属するものとしては、「強い光量とフラッシュによる、光過敏や脳への悪影響」といったものから、「特定の事件や事故、顔に見える絵柄や、お化けや心霊写真、凄惨さ性的志向を思わせるような絵柄」などを含んでいます。

高度IT人材、あるいはしっかりと教育を受けてきて、技術も身についている世間一般のIT人材は、一般の人よりも素早く大量の画像やデータ、文字を扱うことに慣れています。 次々に新しい技術に対応していくこともあり、脳内や神経などでの情報処理能力では、他業界に比較しても「とくに速さがある=身体の上でも情報処理能力が大きいのがIT人材」。 そんなこともあり、こうしたシミュラクラ現象やその他の中でも、「疲れや酔い」といった脳や神経の体内処理の系統からくる負荷によって、とくに感じやすくなるタイプの錯視錯覚やその他の効果で恐怖感を覚えたりということは少ないかもしれません。 ですが自らが制作サイドとなって、多数の人に製品そのものやサービス、その他役務を提供するケースでは、一般の方を広くイメージして、こうした「不快感や問題点については避けておきたい」ものです

(※海の家イベントやお化け屋敷で使用するアプリや映像作品の納涼系エフェクトあたりであれば、この錯視錯覚利用は非常に好まれる使用シーン。今のうちにどんどん知識や技能とそのベースを吸収し、いつ無茶ぶりされても発表できるように、しっかりと練習しておきましょう! 華憐なピンク隊員を目指す女子なども、もちろん大歓迎です!)

【シミュラクラ現象とその周辺について、いかがでしたか?】

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シミュラクラ現象やパレイドリア効果など、錯視錯覚について簡単にさわりだけご紹介しました。 とくにこの十数年、VR技術応用を始め、さまざまなセンサー利用家電や機材技術開発が進んだ日本のIT系では、こうしたさまざまな顔に見える現象や心霊写真などのオカルト的事象などとしてとらえる人材は非常にまれ。 また、疲れなどからこうした状態に陥りやすい人のケースでは、どう対処すればいいかは個々に理解している人も多いようです。 IT業界はとくに、企業や地域一般に対するサービス業界。 こうした知見を十分に盛り込んで、クライアントや社会に対して、現況対応的に、また予測的対応面でも、この錯覚などへの配慮や、世代間利用の特性分析、個体別の特性分析を生かしたUIUX設計を行うことが、すぐれた技術者としての実績評価につながります。

大手と中小企業のシステム設計やIT各種の細部の出来といった部分で、この可変性や想定範囲は非常に差が出るところ。 顔に見える見えないといったシミュラクラ現象に始まり、さまざまなパターン認識のパレイドリア効果。 こういった誤認やそれが起きる現場や多彩な利用者像を想定分析してあらゆるものを構築することを常に心がけたいものです。