【有給休暇申請の理由】上司を納得させる例文集

目次

有給休暇を取らせる理由の法的根拠

有給はなぜ労働者に取らせるのかというと法律が有給取得の権利を定めているからです。

有給は労働者の基本的権利

有給は正しくは「年次有給休暇」と言います。有給は各企業が労働者の福利厚生として自主的に設けている制度ではありません。労働基準法という雇い主と労働者の権利、義務を明確にした基本法で有給を取得させることを義務付け、取得の権利を認めている制度なのです。 その法律の中で、有休は労働者が労働の義務がない日、つまり休日以外にある程度まとまった日数を、給与を支払ったうえで取得させ、身体および精神的な休養がとれるようにするために設けられた休暇である、と定義されています。 したがって、有給は労働者の権利であり、雇い主の義務なのです。言ってみれば、「生存権」と同じです。人に対して「自分は生きていてもいいですか」と理由を言って許可をもらわないと生きていてはいけない、ということがないのと同じように、有給は理由を言って許可をもらって取得する必要がない「権利」なのです。ですから理由が私用でも何でも本来は有給を取って構わないのです。

有給の取得日数も決まっている

その有休を何日取得していいのかということも、労働基準法の第39条の中で明示されています。 それによれば有給は 入社の日からから起算して、6ヶ月間継続勤務し、その6ヶ月間の全労働日の8割以上出勤した人間に、10日の有給の取得の権利を与える。(嘱託社員、アルバイト、パート労働者も同様の権利を持っている) 6ヶ月経過後は、継続勤務年数1年ごとに有給を1日を加算し、3年6ヶ月目以降は2日を加算させていく。 その有給日数の加算は、1年間に与える有給取得の権利の数が20日になるまで与え続ける。 とされています。ほとんど企業が1年間で与える有給の権利の日数の上限を20日にしているのは、それが法律で決められた最低限だからです。本来は有給は20日を超えて30日でも40日でも加算し続けて良いのですが、企業側の論理でそれをしていないだけなのです。

有給取得に理由は必要?

では有給取得に理由が必要なのかどうなのか、ということについて、まず法的な部分で解説します。

有給休暇をいつ、どのような理由でとるかは労働者の自由

労働基準法において、有休の取得時期は労働者側に指定権があるとされています。これには、昭和48年の「白石営林署事件」という、有給取得時期に関する裁判での判決例、つまり判例があるのです。 それによれば「有給休暇をいつ取るか、それをどのように利用するかは、労働者の自由である。会社は、有給の理由によって、有給を与えたり与えなかったりすることはできない」とされ、これがスタンダードとなって、今に生きています。 したがって、その有給取得の理由の内容によって上司が「私用だから許可できない」などとは言えないのです。もっと言えば、有給の理由を聞くことさえ法律の精神に反しているのです。

ただし会社には有給の時期を変更する権利はある

ただし、有休をとりたいと言ってきた時期が、それを取得されると仕事の正常な運営の妨げになるような場合には、会社に有給取得時期を変更する権利も与えられています。 ただし、それは濫用してよい権利ではなく、年度末などの繁忙期に有給を取得すると言われたり、同じ時期に有給取得が集中したり、有給取得させるためにできる限りの努力をしたが調整できない、という場合に限ります。

一定の範囲で会社が有給取得の時期を決められる

またこの考え方の延長で「年次有給休暇の計画的付与」という権利も会社側に与えられています。これは、労働者と使用者側で有給取得の時期に関する協定を結んだ場合、有給休暇のうち5日間に関しては、有給取得の期間を決められる、というものです。

有給取得を理由に不利益な扱いはできない

それに加えて、雇い主が労働者の有給取得を理由に、その人間に対して不利益な取扱いをすることも労働基準法によって禁止されています。 「不利益な取扱い」とは、皆勤手当や賞与の減額、有休であるにも関わらず欠勤と同様の評価をする不利な人事考課など、労働者の有給の取得を抑制させるすべての取扱いが含まれます。

有給を理由なく取らせない場合の企業のペナルティは

では、以上のような範囲外で、会社側が労働者の有給取得の権利を阻害した場合、どのようなペナルティがあるのでしょうか。 それについても労働基準法で定められていて 6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金 が課せられることになっています。いわば刑事罰です。 但し通常はいきなりこの処罰がなされることはなく、有給取得を阻害しているという訴えがあったり、その事実が認められた場合は、労働基準監督署あら会社側に「正しく有休を取得させるように」という勧告があります。その勧告を受けたにもかかわらず会社側が是正しない場合に、雇い主に刑事罰が与えられるのです。 雇い主ですから、人事部長などではなく、社長本人がこの刑事罰の犯人になって逮捕されるのですから、これは会社にとっては相当なダメージです。

それでも有給は理由を言って取ったほうがいい。なぜか?

以上のように、法的には有給はだれにも冒すことのできない権利で、理由などは言わずに基本的にはいつ有給取得してもよい、ということになっています。しかし、とはいえ理由を言って、上司に「許可」をもらって有休を取得したほうがよい、ということは実際問題としては言えます。その理由を解説しましょう。

上司には業務を遂行させる義務がある

有給の取得は法律で守られた労働者の権利です。しかしそれより法的拘束力は弱いとはいえ、上司には会社という雇い主から与えられた範囲の仕事を問題なく遂行させるという義務を持っています。 無理矢理に有休をとるということは、その義務の遂行を阻むことになる場合もあります。その結果、業績が落ち、上司の評価が落ち、上司の給与も下がるかもしれません。 有給取得という自分の権利だけを考えてそのような行動をとり、上司に不利益を与えた社員は、周囲からも疎まれて、仕事がやりにくくなるでしょう。あるいは、法律に違反しない方法で、社員の希望しない部署への異動や転勤、あるいはやりがいのある仕事を与えないなどの「報復」があるかもしれません。 そのようなことは社員にとっても上司にとっても不幸なことです。ですから、仮に私用であろうと何だろうと、有給取得の理由を上司に伝え、上司の納得をとり、両者の友好的な合意のものとで有給取得をしたほうが、お互いにとって有益なのです。

上司は部下の状況を知る必要がある

また同様に上司は部下の管理という義務も与えられています。本質的に言えば、それは仕事に関する範囲だけのはずですが、しかし実際には私用と公用の明確な区分はつけにくいのが現実です。 例えば、寝坊癖があって遅刻をするたびにそれを有給の取得で補っている社員がいた場合、寝坊は私用ですが、明らかに業務上の支障をもたらします。そうなると上司は寝坊という私用を超えて、生活態度の改善にまで踏み込まざるを得ません。あるいは頻繁に私用で有休をとっている理由を聞かないでおいたところ、実は転職活動をしていて、急に退職されて業務が滞る可能性もあります。 そのように私用での有給でも業務に関係する可能性があるため、上司は部下の状況を知るうえで有給取得の理由を聞く必要があるのです。

上司は部下とコミュニケーションを求めている

また、職場は仕事のドライな関係だけで動いてはいません。そこには生身の人間がいて、その感情が関連する中で動いている「コミュニティ」です。その中でお互いに利害関係がある上司と部下はコミュニケーションをとって、仕事を円滑に進める上での最低限の良好な人間関係を築いておく必要があります。 仮に部下はそう思っていなくても、上司がそう思っている可能性が高いです。そのような上司がコミュニケーションの一環として、有休取得の理由を聞いた場合、それをあからさまに拒絶することは、コミュニケーション自体を拒否したことになります。それは人間関係の上で好ましくありません。 ですからできる限り有給取得の理由を伝え、その理由を伝えることを通じて、自分の私生活の状況を伝えて、上司との円満な人間関係を築いたほうが自分にとってもプラスなのです。

有給取得の理由を言う以上許可をとれる内容にする必要がある

以上のような理由で、有休をとる場合には上司にその理由を伝えて許可をとったほうがよいでしょう。 しかし許可をとるということは、了解をもらうこととセットです。仮にその理由では有給を許可できないと言われたときに、改めて労働者の有給取得の権利を持ちだしたら、せっかく上司との関係性を考えて理由を言ったことが台無しです。 ですから有給取得の理由を言う以上は、絶対に上司が了解する内容である必要があります。 そこでここからは、上司が了解せざるを得ない、私用での有給取得の理由の例を挙げていきます。

理由を言って有休をとる。上司を納得させる書き方例【個人的理由】

まずは私用の中でも本人自身の利益や、トラブルのために有休を取得したい、という理由の例です。

通院のため

仕事は健康あってのものです。病気になって欠勤してはそれこそ業務上支障があります。また病気の人間の依頼を断れるほど、非人間的な上司も少ないです。ですから、病気のための通院を有給取得の理由にしましょう。例えば以下のようなものです。 「人間ドッグを受けます」 「検査入院をします」 「悪化する前に医者に診てもらったほうが後々ご迷惑をかけなくて済むと思います」

体調不良のため

同様の有給取得の理由です。但し頻繁にこの理由を使うと、ウソだとばれますので、注意しましょう。例えば以下のようなものです。 「電車に乗っていたらめまいがしてどうしようもなくなったので帰ります」 「体調が悪いので病院に行きます」 「風邪を引いたようなので、皆さんにうつすといけないので有給をいただきます」

業務上必要な資格取得の勉強のため

また仕事上必要な資格やスキルを身につけるために、集中して勉強したい、という有給取得の理由もよいでしょう。それを自分が身につけることは仕事にとっても会社にとっても、ひいては上司にとってもメリットがあることだからです。例えばこのような書き方です。 「TOEICの試験が近いので1日家でこもって勉強します」 「宅建の勉強を集中してしたいので」 「コミュニケーションスキルの研修会に行ってきます」

銀行、役所の手続き

また銀行や役所の手続きも人間が生きていくうえで重要かつ、せざるを得ないことです。これを拒否するということは真っ当な社会生活をするな、ということになりますから、上司も居せざるを得ません。例えばこのような書き方です。 「本籍を移す手続きが必要なので有給をいただきます」 「今まで電気、水道、ガスの料金はコンビニ払いをしていたのですが、煩雑なのですべてを銀行引き落としにするために1日下さい」

運転免許の更新、免停のための講習会

自動車の運転免許証も、今の社会にとっては「身分証」と同じ位置づけですから、まっとうに生きていくうえで必要なツールです。この取得、更新、あるいは使用停止になっているものを復活させるための手続きは上司も了解するはずです。例えば以下のように書きましょう。 「免許の更新に行くので有休をいただけますか」 「免停になってしまいました。これでは営業者が運転できないので、免停期間短縮の講習に行ってきます」

理由を言って有休をとる。上司を納得させる書き方例【親、親族、知り合い】

また自分以外の人の関係で有給をとる理由を作ることもできます。ただし、その自分以外の人が、自分にとって重要人物であることが大前提です。

家族、親戚、親友の結婚式

結婚式などのお祝いごとへの出席は、上司も拒否しにくいでしょう。ただし、家族、親戚であれは出席は社会通念と当たり前なので、有給取得の許可がとりやすいですが、例え親友であっても、血縁者ではない人間の結婚式の場合、その関係性がいかに濃いかを日常から伝えておくことが重要です。例えば以下のような書き方で伝えましょう。 「3歳の時からの無二の親友の結婚式なので出席したいんです」

家族・親戚の手術立ち会いや見舞いなど

また結婚式などのお祝いごととは反対の、病気関連の出来事も同様に有給取得の了解を取りやすいです。それは「病気」というものが命に係わる大変なことだと上司も理解しているからです。ただし、これも結婚式同様、血縁者ではない場合に、その関係性の強さを納得させる必要があります。例えばこのようなことです。 「自分の命の恩人が、今度は自分の死に関わる手術をするので、どうしても立ち会いたいのです」

理由を言って有休をとる。上司を納得させる書き方例【家族、家事】

また人にとって会社だけが社会ではありません。家庭や家族を中心にした地域コミュニティにも用事や行事があります。最近はその重要性を理解する上司も増えてきたので、そのような有給取得の理由も使ってみましょう。

PTA

1つはPTAの会合です。PTAの日程は教師優先なので、土日ではなく平日に行われるのが通常です。そのことも含めてPTAの役員になったら、上司に報告して有給取得の布石を打っておくとなおよいでしょう。そして例えば以下のように有給取得を申し出ましょう。 「迷惑な話ですが、また平日にPTAの集まりがあるので有休をいただきます」

授業参観、運動会

子供の行事を優先させて有給を取得することは上司も経験をしていることのはずですから、共感とともに了解を取りやすいでしょう。1番よいのが運動会や授業参観です。たとえば以下のような書き方です。 「長男の年に1回の授業参観で本人も親が来るのを楽しみにしているので、有給をいただきます」

家族の介助、通院

病気は本人だけではありません。場合によっては本人の時以上に、家族の病気の方が重大事、ということもあります。そのための有給取得も子育てをしたことのある上司であれば了解してくれやすいでしょう。たとえば以下のように伝えましょう。 「上の子が39度の熱を出したので申し訳ありませんが、病院に連れて行くため有給をいただきます」

家の工事、点検などの立会い

またこれは配偶者などが家にいる場合は使いにくいですが、本人がどうしても必要というシチュエーションを作れれば、家関連の用事でも有給取得の理由になるでしょう。 例えば、リフォーム、エアコンの取り付けや修理、家電製品の修理や引取、インターネット回線やケーブルテレビなどの工事、ガスの法定点検など、立ち合いが必要なものたくさんあります。

引っ越し

最近は梱包から荷解きまでしてくれる引っ越しサービスもありますが高額なものです。できるだけ費用を安くしたいので、自分でできることは自分でしたい、という意思を伝えれば引越しでも有給取得の理由になるでしょう。例えば以下のような伝え方です。 「妻だけに引越しの用意をさせると負担が大きいので1日休んで荷造りをさせてください」 「引越しの日だけでいいので有給取得をお願いします」

マンションの管理組合の会合、町内会の役務など

マンションの管理組合もPTA同様に地域コミュニティの重要案件です。マンション住まいの経験がない上司には理解しにくいでしょうから、管理組合や町内会の役員になったら普段から、その大変さ、重要さを世間話の中で伝えておくことが布石として重要です。その上で例えば以下のような書き方をしましょう。 「10年に1回のマンションの大規模修繕の打ち合わせなので、これだけは出ておかないと後で大変なので有給をいただきます」

車検

自動車も日常生活を送るうえでは欠かすことのできないインフラです。自動車を持っている上司も多いでしょうから、車検が1日がかりであることは有給取得の理由として理解してくれるでしょう。例えばこのように伝えましょう。 「また車検の時期が来てしまいマシアタ。すみませんが休んで1日がかりの手続きをしてきます」

理由を言って有休をとる。上司を納得させる書き方例【不幸ごと】

またお祝いごとと並んで有休を取得しやすいのが不幸ごとです。お祝いごとは事前にスケジュールが決まっているので、急には申し出にくいですが、不幸ごとは急な話なので有給取得の理由としては使いやすいでしょう。ただしこの有給取得理由も頻繁に使うと不審がられるので注意しましょう。

葬儀、告別式

1番使いやすいのが葬儀や告別式です。親等の近い血縁者の場合は忌引き休暇が使えますが、その対象にならない範囲の親戚や親しい人の葬儀への出席は、これも病気と同様その人物の関係性がいかに深いかを納得させることが有給取得の許可のポイントです。例えば以下のような頼み方をしましょう。 「就職の時にお世話になった人のお葬式があるので参列したいのですが」

法事

法事は事前に日程が分かる不幸ごとですが、親戚関連の場合は出席が義務のように扱われますので、これも有給取得の理由としては使いやすいものです。例えば以下のように伝えましょう。 「叔母の13回忌の法事があるので、どうしても出席しないと親族の間で非難されてしまうんです」

まとめ

いかがですか。 有給取得は労働者の権利ですから、法律上は上司に理由を言う必要も、まして許可を貰う必要もありません。 しかし現実問題としては、その有給の権利を押し通すと自分にとって会社生活が窮屈なことにもなりかねません。ですから、有給取得時には上司に理由を言って許可をもらったほうがよいでしょう。 しかし、そのスタンスになった場合は、同時に必ず上司の了解を取れる有給取得の理由を伝える必要があります。ここではその理由の書き方の例を広範に挙げておきましたので、1つに集中せずバランスよく使って、自分の有給取得の権利をスマートに行使しましょう。