【ビジネスメール】「お手数ですが」の正しい使い方、他の言い方

メールや電話で使う数多い言い回しの中でも「お手数ですが」は、使用する機会が非常に多いフレーズになります。まずは、その言葉の成り立ちから見ていきましょう。

「手数」とは?

「手数」とは、文字通り、何かをするために必要な手の数、手段や手続きなどの数の事を指しています。より具体的に言えば、「動作や工程の数」になります。「手数」は、こうした何かしらが発生する事になる段取りを示すため、そこから「余計な手間や面倒、煩雑なこと」も、意味するようになりました。 こうした面倒な手続きに対して代行する料金として発生したものが、「手数料」です。ですから手数料は、手間賃や面倒代とも言われています。

「お手数ですが」を分解すると

「お手数ですが」は、「お」+「手数」+「ですが」の3つに分割することが出来ます。 ます「お」+「手数」は、お食事やお手洗いなどと同じく、「手数」に「お」を付けることで、敬語の表現にしたものとなります。ここに反対を意味する「ですが」が付くことで、「特に手間の掛かる事になりますが、どうか他人=私のために」という意味になります。 ですから、「お手数ですが」の後には、「宜しくお願いいたします」「◯◯をしていだだけないでしょうか?」などが付くことになります。つまり「手間の掛かることをやって下さい」というお願いをするために、「お手数ですが」という言葉を使ってやって欲しい事を伝えることになるのです。

「お手数ですが」の読み方

あなたは「手数」を、「てすう」と「てかず」、どちらの読み方で使っていますか?また、どちらが正式な読み方か知っていますか?ここでは「手数」の読み方を検証します。

「てかず」が正式な読み方

「手」を音読みすると「シュ」、訓読みすると「て」とになります。また「数」の方は、音読みだと「スウ」、訓読みだと「かず」となりす。 手を数という2文字を、どちらも音読みすると「シュスウ」になります。訓読みすると「てかず」になります。このうち、一般に、「シュスウ」と言い方は使われてはいません。歴史のある囲碁や将棋でも、「手数」を「てかず」と呼んでいます。そのため「手数」は「てかず」と読むのが、正しい読み方となります。 では、普段よく使われる「てすう」はどうでしょうか?

「おてすうですが」でも問題ない

「てすう」は、訓読みの「て」と、音読みの「スウ」が組み合わさっている、いわゆる重箱読み(湯桶読み)に当たります。そのため、どちらかと言えば「てかず」と言う方が正しい読み方であると言えます。 ただし、現代では「てすう」と「てかず」、どちらの読み方でも良いという判断がされています。実際、たとえば「手数料」は「てすうりょう」と読ませることが一般的です。 ですから、仕事で使うメールや電話においても、「おてすうですが」と「おてかずですが」、どちらを使ったとしても、特に問題はありません。「おてかずですが」よりも「おてすうですが」の方が発音しやすい事から、この読み方をする人が増えたのではないかと推測されます。

「お手数ですが」の意味

「お手数ですが」には、大きく分けて2つの意味があります。ひとつは「お詫びや謝罪の気持ち」、ひとつは「感謝に繋がる気持ち」です。

「お手数ですが」の意味①お詫びや謝罪の気持ち

「お手数」には、何かをやって頂くという意味であるため、その中に「手間を掛けさせてしまって申し訳ありません」という、「お詫び」を示す意味も含まれます。 「お手数」を使うことで、あらためて謝罪を示す言葉を使う必要がなくなるため、文章がその分シンプルになり、余計な要素を省いて明快に意図を伝える事が可能になります。もちろん、あらためて謝罪の言葉を繋げれば、更に気持ちが伝わる文章になります。 このような使い勝手の良さが、メールや電話に「お手数ですが」が多用される理由になっています。例えば、最大限に簡略化して「お手数です」「お手数でした」と言い切るだけで、そこに手間を掛けさせてしまった、お詫びの意図も含めて伝えることができるわけです。

「お手数ですが」の意味②感謝に繋がる気持ち

「お手数ですが」を使うことで、そこにお詫びの気持ちだけではなく、感謝の気持ちを載せることも出来ます。そもそも「手間を掛けさせてしまって申し訳ありません」という意味を裏返せば、そこには手間に関する感謝の意図があることでしょう。 さらに「お手数ですが」には、それに続いて、手数の内容を示す言葉が必ず付きます。「お手数ですが、○○に関してのご確認をよろしくお願いいたします」などです。この場合、「面倒な手間が必要になってしまいますが、確認をして頂ければ非常にありがたいです」という、具体的な行動に対する感謝の気持ちが汲み取れます。 このように「お手数ですが」という言葉は、お詫びと感謝の気持ちを纏めて表現できるという、非常に便利な言い回しなのです。

「お手数ですが」はクッション言葉でもある

「クッション言葉」とは、相手に何かをお願いをする時などに、言葉の前に添えることで、相手への配慮を示すことになるものです。例えば「恐れ入りますが」「申し訳ございませんが」ですが、「お手数ですが」も、このクッション言葉として使えます。仮に大した手数が発生しない時でも、付けておくことで丁寧な印象を与えることができますし、面倒な事を頼む場合でも「クッション」の役目を果たしてくれるので、相手に深いな印象を与えない効果があります。

「お手数ですが」の使い方

「お手数ですが」は、広くメールや電話で使われます。使われる場面はたくさんありますが、いずれも「何かしらの行動をお願いする」目的で使われます。その性格上、電話やメールの終わりの方で、全体の結びとして使われる事の多い言い回しです。「お手数ですが」+「お願い事」+「よろしくお願いいたします」「幸いです」「下さいませ」等の結び文、という並びが一般的な構成です。 単に「よろしくお願いします」と言うよりも、「お手数ですが」を付けた方が確実に好印象を与えます。

「お手数ですが」を使う場面とメールの例文

実際に「お手数ですが」を使う場面として想定できるのは、下記のような場合です。

こちらから具体的なお願いをする

お願いしたい「面倒な手段や工程」が何かを伝え、実行をお願いする場合に使います。中には完全に決まり文句で、形式的に入れる場合もありますが、具体的な内容を書くことで、相手が忘れるミスを減らす効果があります。 例文 ・「お手数ですが、こちらのメールにご返信のほど、宜しくお願いいたします」 ・「お手数ですが、日程の調整につきまして、ご連絡を頂ければ幸いです」 ・「お手数ですが、お送りした資料のご確認をお願いいたします」 ・「お手数ですが、◯月◯日までに書類一式をお送りください」 ・「お手数ですが、何卒ご理解を下さいますよう、よろしくお願い申し上げます」

こちらから曖昧にお願いをする

敢えて具体的な手段や工程の指定をしない、できない場合もあります。例えば検討や選考での通過をお願いする場合、その具体的な段取りまでは外からは分からない事も多いでしょう。その場合、お願いすることしかできませんが、「お手数ですが」を付けることで意図は相手に伝わるようになります。 例文 ・「お手数ですが、◯◯の件につきまして、社内にてご検討を頂けますようお願いいたします」 ・「お手数ですが、上記につきましてお取り計らいのほど、よろしくお願いいたします」 ・「お手数ですが、○○の実現に向けて御社のご協力を賜りますよう、お願い申し上げます」

より強い、命令的な「お手数ですが」

例文 実際は命令に近い指示ですが、それを柔らかくするために使う場合です。 ・「お手数ですが、各店舗のスタッフに周知徹底をして頂きたく。宜しくお願いいたします」 ・「お手数ですが、◯月◯日までにお振り込みのない場合は契約を解除させて頂きます」

「お手数ですが」を言い換える類義語

「お手数ですが」は非常に使いやすい言葉ですが、同じメール文に2回以上出てくるとしつこいイメージも出てきます。そこでここでは「お手数ですが」と同じような意味を持ち、言い換えの出来る言葉をご紹介いたします。

言い換える類義語:「お手間」

もともと「手数」の中には「手間」という意味があるため、「お手間」は「お手数」と言い換えられる類義語としては非常に近しい関係と言えます。「手数」が具体的な工程の数を示すのに対し、「手間」は時間や労力と言った、少し緩い括りの意味となります。実際に使うときは「お手間をお掛けいたしますが」「お手間を取らせてしまいますが」などと表記します。 例文 ・「お忙しい中、お手間を取らせてしまい、誠に申し訳ありませんでした」 ・「お手間をお掛けいたしますが、裏口からお入りください」 ・「けっしてお手間は取らせませんので、ご対応のほど宜しくお願いいたします」

言い換える類義語:「ご面倒」

「ご面倒」も「お手間」と同じく、もともと「お手数」に含まれる意味の1つであるため、「お手数」に近い言い換え語となります。「ご面倒をお掛けいたしますが」という使われ方をしますが、「お手数」と違って、相手にとってはやや受身的な印象や、より手間の掛かる印象となります。迷惑感が高いとも言えるでしょう。ですから「お手数」の時と違って、あらためて謝罪や感謝の言葉を添えた方が良い言葉です。 例えば、「お手数をおかけしまして、申し訳ありませんでした」と、「ご面倒をおかけしまして、申し訳ありませんでした」は、どちらも同じ意味ですが、「ご面倒」の方が、より謝罪感が強くなります。 同様に「お手数ですが、よろしくお願いいたします」と言われても違和感はありませんが、「ご面倒ですが、よろしくお願いいたします」と言われると、前半の重さに対して、後半のバランスが合っていないと感じられます。「ご面倒をおかけし申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします」としたい所です。

言い換える類義語:「お手を煩わせる」

これも「お手間」に近い言い換えの言葉です。「煩う」には「心をいためる、苦労する」という意味があります。これに「手」が付くことで、手が大変な思いをする、苦労や面倒がかかる、という意味になります。手数が事務的に処理できるシンプルさがあるのに対し、「お手を煩わせる」には、うまくいかずにやり直す、慣れない事をする、というイメージが入ります。 例文 ・「お手を煩わせてしまいますが、当日までに手書きのメッセージをご用意ください」 ・「お手を煩わせてしまいますが、あらためて再確認をお願い出来ればと存じます」

言い換える類義語:「ご足労」

手を使った表現があれば、足を使った表現もあります。足を使うのであれば「ご足労をおかけして」という言い換えの言葉があります。これも文字通り、足を使わせてしまった事に対する謝罪や感謝の意味となります。 基本的には手と違って、手は色々な作業をする事を含みますが、足の場合は移動が主となります。来て頂いたこと、移動の面倒を掛けたに対するねぎらいの言葉です。 例文 ・「この度はご足労を頂きまして、誠にありがとうございます。」 ・「ご足労をおかけしますが、明日の来社をお待ちしております」

「お手数ですが」の誤った使い方

使いやすい「お手数ですが」という言葉ですが、使い方によっては相手に失礼な表現になってしまうこともあります。ここで誤った使い方を確認し、「お手数ですが」を正しく使えるようになりましょう。

自分に対しては使わない

「お手数ですが」は、自分が相手に対して面倒な行動を求める場合に使います。ですから、自分に対して使うことは、明らかな誤用となります。 例えば、「お手数ですが、こちらでも確認させて頂きます」などです。

相手に行動が起きない場合は使わない

例えば「お手数ですが、一週間ほどお待ち下さい」などとメールに書くのは誤りです。待つというのは、特に面倒な行動にはつながりません。この場合であれば、「大変恐縮ですが、一週間ほどお待ち下さい」などとしましょう。

目上に使う場合は「お手数をお掛けしますが」と書く

「お手数ですが」という表現自体は、仕事の場面で普通に使われていますが、敬語としてはやや表現が足りない部分があります。目上の人に使うときは、これに「お掛けします」を付けて、「お手数をお掛けしますが」と使うと良いでしょう。 これであれば、「手数」と「掛けて」に「お」が付くことで、より丁寧な表現となります。

「お手数をお掛けさせますが」という表現は×

但し、「お手数をお掛けさせますが」という表現はNGです。日本語にはそもそも「お手数を掛けさせる」という表現はないのです。あくまで「お手数をおかけする」と言うのが正しい表現です。 この言い方を使うのであれば ・「お手数をお掛けし、大変申し訳ございません」 ・「お手数をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません」 という言い方が正しい表現となります。

「お手数ですが」の正しい使い方、他の言い方のまとめ

「お手数ですが」という言葉の使い方について具体的な説明をしてきましたが、いかがだったでしょうか?誰でも気軽に使える言葉であるため、なんとなく使ってしまってしまうというケースも考えられます。安易に使って相手に失礼な表現とならないよう、注意が必要です。 また同じメール文の中で「お手数ですが」が何回も使われていると、しつこい感じになってしまいます。そんな時は、適切な類義語で言い換えたメール文にすることを心がけましょう。 仕事をする上で、メールや電話で相手に何かを依頼する場面は数多くあります。そんな時、できるだけ気持ちよく要望や依頼を聞いてもらうためにも、上手な使い方を身に付けましょう。