【ビジネスメール】お礼や報告のメールでの「至らない点」の使い方

ビジネス

仕事や付き合いなどの関係性の中で、自分の方に不十分な部分があった場合に「至らない点」と表現して、謝罪や申し開きをすることがあります。しかし中途半端な使い方をしてしまうと、逆に相手を怒らせてしまう結果にもなりかねません。まずは、「至らない点」という言葉の意味から確認していきましょう

「至らない点」の意味

「至らない点」は、「至らない」「点」という2つの言葉から出来ています。

「至らない」というのは、本来ならば目的とするべき場所にまで到達していない、という意味です。つまり要求に対して不十分である、注意が足りてない、やるべき範囲がカバーできずに漏れや抜けがある、などの状態を指します。

さらに、事態をそうさせてしまった自分に対して、考えや確認や経験が足りず、レベルとしても未熟である、と反省や謙遜を示す意味にもなります。またそれが転じて、そんな自分に優しく接してくれてありがとう、というお礼の意味にも使われます。 「点」は、具体的な位置や部分を指しますので、合わさることで、何かが至らなかったのか、その原因は具体的に何だったのか?を表す言葉になります。

「至らない点」を使うメリットとは

「至らない点」は、ある事に対して実現すべき事が出来なかった。実現に必要な注意や配慮が出来なかった、という事実や気持ちを相手に伝えるための言葉となります。つまり

・相手の求めるレベルが達成できなかったという、目標の問題
・それは注意や確認が足りない自分のせいだという、理由の問題

の2つの面があります。 そしてこれらが「至らない点」という一言の代用句に纏まることで、理由をいちいち細かく言わなくても済む、それに合わせて目標や達成具合も細かく言わなくて済む、というメリットが生まれます。
この曖昧さは、現実的に仕事や人間関係を回す上で使い勝手が良く、挨拶やお礼、謝罪に至るまで「至らない点」が日常的に多用されているのです。

「至らない点」は使い勝手の良い言葉

例えば「◯◯と◯◯と◯◯の原因により、達成すべき◯◯を◯◯までしか実現できず、皆様に御迷惑をお掛けしたこと、誠に申し訳ございません」という長い文も、
「至らない点が多々あり、皆様に御迷惑をお掛けしたこと、誠に申し訳ございません」、と短く、しかも焦点をぼやかして纏められます。

言われる側としても、それほど重大ではない事であるなら、簡潔に纏めてくれた方が受け取りやすくなります。
下手に長々とした釈明をされてイライラしたり、下手に細かい説明をされると言い訳がましくなり、逆に怒りの元になる可能性もあります。

「至らない点」はちょっとした軽い場でも使えるため、挨拶やお礼の場でも決まり文句として使える、勝手の良い言葉なのです。

「至らない点」を使う上での注意点

その他、実際に使うに当っての注意点を上げておきます。

「至らない点」だけでは足りない

実際に「至らない点」という言葉を使う場合、それ単独では意味を為しません。
「至らない」は、達成すべき目標に対して、そこまで達していないことを意味しますから、達成できなかったものが何なのか、結果、どのような事態となってしまったのかを示す必要があります。

例えば「至らない点があり、お客様にはご迷惑をおかけする結果となり、誠に申し訳ございません」などです。

「至らない点」はひとつだけとは限らない

「点」というのは、特定の1つの対象を指します。候補がいくつあっても「点」だけでは、それらを網羅するものにはなりません。つまり「至らない点がありすみません」と言った場合、そこには該当する事が一つだけしかないという意味になります。

実際に、何か特定の事柄のある場合はそれでもいいのですが、多くの場合、結果は複数の原因があって発生します。
そのため、「至らない点」という表現で終わらせるのではなく、「至らない点が多く」や「至らない点が多々あったと存じますが」など、複数を示す言葉を付けることも一般的です。

重大な事故やトラブルに対しては使わない

言う方も言われる方も、細かい説明を長々とするより簡潔に纏めた方がやり取りが楽、という実利的なメリットがあってこその、「至らない点」という表現です。逆に言うと、重大な事故やトラブルに対して「至らない点」で済ませてしまうのは不適切な使い方です。 仮に使うにしても、冒頭の部分で一度「至らない点が多々あったと存じますが」とまとめておき、その後、個々の事情や経緯を順に説明していくという使い方をすべきです。基本的には、ある程度以下の軽い物事に対して使うことが望ましいでしょう。

「至らない点」は謙譲語

「至らない点」は、敬語表現の中で謙譲語(けんじょうご)に当たります。謙譲語は、自分の立場や能力を相手よりも低く設定し、その分、相手を持ち上げて、尊敬や尊重の意を示す言葉です。そのため前後に繋がる言葉も、あくまで自分を低い位置に置いて、控えめに抑えておく必要があります。 しかし「至らない点」はちょっとした挨拶などでも使える定型的な言葉のため、気を付けないとその前後で謙譲に反する言葉を使ってしまう危険があります。
例えば「思います」というのは尊敬語ではないため、「至らない点が多々あったと思います」という言い方は、尊敬語としては不十分です。この場合、謙譲語である「存じます」を使って、「至らない点が多々あったと存じます」とします。

「至らない点」はどのような時に使う?

「至らない点」は、自分の不注意や能力不足で実際に何かミスや失礼を起こしてしまった場合に使う「謝罪」と、そもそも自分は不注意をしがちで能力も不足していますという謙遜を示す「挨拶やお礼」の、2つの目的で使われる事の多い言葉です。どちらの場合も、基本的には最後の結びの部分で使います。

挨拶の場合は、新しい職場での挨拶、退職や転勤の挨拶、結婚式のスピーチや年賀状のコメントなど、幅広く使えます。「至らない点」と言うことで、「未熟な自分ですが」と自分を謙遜させた意味合いになります。 謝罪の場合は、主には仕事に関することになるでしょう。仕事でミスをして上司や取引先に迷惑をかけてしまった場合が考えられます。 それでは「至らない点」の使い方について、実際の場面ごとに例文とともに紹介していきます。

新任や初対面での挨拶

就職や転勤、転職などで始めて職場を訪れる場合や、仕事以外でも何らかの会合で役目を任じられた場合、そこでの挨拶で「至らない点」を使うことができます。新人の場合は「何も分かっていない新人ですが」という意味ですし、ある程度の経験がある場合は「来たばかりで勝手がわからないので不手際があると思いますが」というような意味になります。

例文としては、
・至らない点が多々あると存じますが、よろしく願いいします。
・至らない点が多々あると存じますが、ご指導・ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
などのようになります。

メールで使う場合は、「本来であれば、直接お伺いしてご挨拶すべきところ、メールでのご挨拶となりましたこと、お詫び申し上げます」と付けるようにしましょう。

転勤や退職、転職などの挨拶

それまで務めた職場を去る時の挨拶にも使えます。職場に限らず、地域の集まりや学校など、それまでいた環境から離れる時に、それまでの感謝を込めて「至らない点」を使います。新任の時とは異なり、「至らない点」に続く言葉を過去形で使う所がポイントです。

例文としては、
・至らない点が多々あったと存じますが、在職中は大変お世話になりました。本当にありがとうございます。
・在職中は何かと至らない点の多かった私ですが、いつも助けて頂き、誠にありがとうございました。
などのようになります。

退任の挨拶は、メールを使って多くの取引先などに伝えることが可能ですが、新任の挨拶と同様、「本来であれば、直接お伺いしてご挨拶すべきところ、メールでのご挨拶となりましたこと、お詫び申し上げます」と付けるようにしましょう。

結婚式のスピーチ

結婚式のスピーチでも「至らない点」はよく使われる表現です。謙譲語ですから、使うのは新郎新婦か両親・親族など、参列者を迎える側に限られます。
「礼儀や世間を知らない未熟者ですが」と人を指す場合と、「招待の仕方や当日の進行など」の不備を指す場合との両面があります。
 
本人たち(新郎新婦)によるスピーチ
・なにかと至らない点のある私たちですが、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
・ふつつかな私ですが、至らない点はどうか本当の娘と思って、遠慮なくお叱りください。
 
両親による謝辞
・なれない宴の席で至らない点も多々あったと存じますが、めでたい席に免じて、ご容赦を頂ければ幸いにございます。
・なにかと至らない点も多々ある2人でございますが、末永いご指導ご助言を頂きたく、改めてお願い申し上げます。

年賀状

メールの普及で手紙を書く機会は減りましたが、久しく会っていない人に向けてなど、年賀状を出す事はまだ多いと思います。そんな年賀状には、相手への一言を添えることがマナーですが、そこでも「至らない点」はメッセージに使いやすい言葉です。特に上司に対しては必須とも言える表現ですので、例文を参考にしてみましょう。

・昨年は至らない点が多々あったと存じますが、今年は頑張りますので、ご指導のほど何卒よろしくお願いいたします。
・昨年は大変、お世話になりました。まだまだ至らない点もあると思いますが、本年も何卒よろしくお願いいたします。

感謝やお礼に使う場合

 

挨拶に限らず、一般的なお礼においても「至らない点」を使うことはできます。特に、誰かに協力してもらった場合は、自分ひとりでは出来なかったことを、手伝ってもらったおかげで出来ました、というお礼にになります。

・至らない点が多々ありましたが、皆様のおかげで達成することができました。
・至らない点が多い私を助けていただき、ありがとうございました。
など、自分の方が謙遜することで、相手を高める結果となります。

また、お礼については「至らない点」は使わずに一旦締めておき、あらためて、今後に対するお願いで使う方法もあります。
・引き続き至らない点がありましたら、ご指摘など頂けましたら幸いです。
・これからも至らない点が多々あると存じますが、何卒よろしくお願いいたします。

謝罪する時

「至らない点」の大きな使い方の2つめが、謝罪する時です。謝罪の場合は、自分の注意不足やミスが原因で相手に迷惑をかけたという事実があり、それに対しての反省を述べる時に使います。

上司に対して謝罪する時
・担当者として至らない点が多々あり、課長のお手を煩わせてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
・私の方に至らない点があったため、発注ミスを起こしてしまったこと、深くお詫びいたします。

上司宛の場合は、お詫びに続いて再発の防止策や善後策なども提案した方が良いでしょう。

外部に対して謝罪する時
・このたびは弊社に至らない点が多々あり、皆さまにご心配やご迷惑をおかけしましたこと、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
・至らない点がありましたことにつきまして、重ねて陳謝いたします。

「至らない点」の英語での表現

 

「至らない点」を英語で言うとどうなるでしょうか? 実は英語には、それに相当する言葉がありません。

「至らない点」は自分を下げることで相手を上げる謙譲語ですが、英語でそれを言うと、そのまま能力が低いという意味になり、単純に自分の評価を落とす結果になってしまうからです。
それでも、似た意味の英語としては、fault(落ち度、責不注意)、imperfect(行き届かない、不完全な)、confirm(確かめる、確認する)、careless(不注意、軽率)などがあります。

実際の英語での文例
It was careless of me.(それは私の不注意でした)
I didn’t confirm what you wanted.(あなたの意図を十分確認してませんでした)

お礼や報告のメールでの「至らない点」の使い方のまとめ

「至らない点」という表現についての意味や使い方、英語での表現まで紹介をしてきましたが、いかがだったでしょうか?
 
「至らない点」は、お礼や挨拶、謝罪の場面でよく使われる表現です。
それらで大切なのは相手に対する誠意やマナーであり、謙譲や謙遜、つまり自分や自社の能力が十分ではないという姿勢です。
その上で、今以上に頑張りますという宣言や、そんな自分を助けてくれてありがとうという感謝の言葉として使うのが「至らない点」という言葉です。
 
ぜひ、普段の生活や仕事の中で正しく使うようにして下さい。