「万里一空」の精神・意味・由来・英語表現/座右の銘にしたい四字熟語

万里一空(ばんりいっくう)という四字熟語は中国古典が由来ではなく、宮本武蔵の五輪書に書かれている「山水三千世界を万里一空に入れ、満天地とも攬(と)る」の一節が由来です。この一節には続きがあり「乾坤をそのまま庭に見る時は、我は天地の外にこそ住め」という言葉で締めています。 五輪書は宮本武蔵の死の直前の正保2年(1645年)に書かれましたが、その4年前の寛永18年(1641年)に「兵法三十五箇条」という兵法書を書いており、兵法三十五箇条の一番最後に「万里一空の所、書あらはしがたく候へば、おのづから御工夫なさるべきものなり」の一節が書かれています。 万里一空を「万理一空」と表記することがありますが、宮本武蔵は「万里一空」と書いていますので、万里一空の方が正しいです。しかし、意味するところは同じであり「万理一空」と表記しても間違いではありません。

万里一空の精神と意味

五輪書は宮本武蔵が編み出した剣術「二天一流」の奥義をまとめた兵法書であり、哲学書としての一面もあります。万里一空について書かれている一節の解釈はいろいろありますが、 「世界はどこまで行っても空は一つ」という現代訳から、 「目的や目標、やるべきことを見失わずに励み続ける」 「たとえどのような境遇であっても、自分に与えられた使命を果たすために日々精進せよ」 というような意味が導き出せます。 兵法三十五箇条に出てくる万里一空は、仏教の「空」に通じるものがあります。色即是空の「空」のことですが、これは言葉で表現することができない概念であるため、宮本武蔵は「書あらはしがたく候へば(言葉にできない)」と書いています。言葉では表現できないため、「おのづから御工夫なさるべきものなり(自分自身で考えなさい)」というわけです。 万里一空を「無我の境地」「悟りの境地」と解釈することもでき、「雑念を払い、ただひたすら己の道を究めるために励む」というような意味になります。いずれにしても、万里一空という言葉は非常に奥が深く、一つの道を究めた人だけが万里一空の奥深い意味を理解できるのでしょう。

万里一空を座右の銘にするのがおすすめな人

夢や目標を実現するために頑張っている人に、万里一空を座右の銘にすることをおすすめします。キャリアアップを目指している人や独立開業を夢見て頑張っている人は万里一空を座右の銘にすると、挫けそうになった時には自分を鼓舞して初志貫徹できます。 英語をネイティブレベルにするために英検1級合格を目指して勉強をしている人やイラストレーターになるためにイラストの勉強をしている人なども万里一空を座右の銘にすると、雑念を取り払ってそれぞれの道を究めるために精進できます。 万里一空は武士道の言葉でもあるので、武道家や格闘家、アスリートなどの座右の銘としても最適です。

万里一空を座右の銘にしているスポーツ選手

万里一空を座右の銘にしている人はストイックなスポーツ選手に多く、元プロ野球選手の桑田真澄さんが万里一空を座右の銘にしています。桑田さんは斎藤佑樹選手が日本ハムに入団した時に、「万里一空」と書いた色紙を斎藤投手に渡しました。 桑田さんは平成22年にお父様を亡くしましたが、その時の心境を「乾坤をそのまま庭に見る時は、我は天地の外にこそ住め」から引用し、「天と地(乾坤)はつながっている」と自身のブログに綴りました。「あの世(天)とこの世(地)はつながっている」という意味なのでしょう。 大相撲力士の琴奨菊関も万里一空を座右の銘にしており、大関伝達式の言葉に万里一空を織り込みました。琴奨菊の大関伝達式はテレビ中継されたため、「万理一空」という言葉が大きな話題になりました。ちなみに琴奨菊は「万里一空」ではなく「万理一空」と表記しています。

琴奨菊の大関伝達式の言葉

琴奨菊は平成23年9月28日大関昇進伝達式で「謹んでお受けします。大関の地位を汚さぬよう万理一空の境地を求めて、日々、努力精進致します。本日は誠にありがとうございました」と口上に「万理一空」を織り込みました。 伝達式が終わってからの記者会見では「すべての理(ことわり)は一つの空(くう)に帰する。どんな努力も、目指す先は一つ」と「万理一空」を口上に織り込んだ思いを語りました。 口上に「万理一空」を織り込むことは後援者と相談して決めたそうで、相撲を教えてくれた亡き祖父一男さんの「一」の文字も口上に織り込みたかったと述べています。 琴奨菊は「万理一空」を座右の銘に相撲道に精進し、平成28年1月場所で初優勝をすることができました。この時の琴奨菊の優勝は、10年ぶりに日本出身力士が優勝したことで大きな話題になり、32歳の誕生日の1月30日に才色兼備の祐未夫人と結婚式を挙げたことで一躍時の人になりました。

万里一空は勝負師に好まれる言葉

万里一空は真剣勝負で一度も負けることがなかった剣豪・宮本武蔵の言葉ですので、将棋棋士などの勝負師に好まれます。 将棋の久保利明王将は万里一空を座右の銘にしており、サイン色紙に万里一空の言葉を記すことがあります。棋士は対局の時に扇子を手にしますが、久保利明王将の扇子には万里一空の言葉が揮毫(きごう)されています。

棋士の扇子

「万里一空」の揮毫が印刷された久保利明王将の扇子は、日本将棋連盟が販売しています。万里一空を座右の銘にしたい方は、この扇子を買われてはいかがでしょうか。 ちなみに、国民栄誉賞を受賞した羽生善治十九世名人の扇子は「知足(ちそく)」の揮毫が印刷されており、藤井聡太七段の扇子は「大志」の揮毫が印刷されています。これらの棋士の扇子は藤井聡太人気もあり、買い求める人が急増しています。

万里一空のノベライズやイラスト

スマートフォン向けアプリケーションゲーム「アイドリッシュセブン(アイナナ)」のノベライズ『Re:member』の第一弾のタイトルは「万里一空」でした。 ツイッターのアイドリッシュセブン公式アカウントから漫画家の種村有菜さんのイラスト入りでRe:memberの配信が告知がされると、万里一空がツイッターのトレンドワードになりました。種村さんはアイドリッシュセブンキャラたちのイラストは落書きと称し、自身のツイッターで数多くのイラストを投稿しました。種村さんが描いたイラストはツイッターだけでなく、まとめサイトでもイラストを確認できます。万里一空をモチーフにしたイラストは、アイナナファンの方もツイッターに数多く投稿しています。

万里一空の英語表現

万里一空はいろいろな解釈があるため、英語表現は解釈によって異なります。 「世界はどこまで行っても空は一つ」を英語に訳すと、「Everything is exist under the sky」という表現になります。「Promote towards one goal」という英語表現は「ひとつの目標に向かって精進する」という意味ですが、こちらの方が万里一空の真の意味に近いです。 「無我の境地」という解釈だと「a spirit of selflessness」「keep the state above self」という英語表現になります。万里一空は武士道や日本文化、東洋哲学を理解していないと、英語圏の方は奥深い意味について理解することは難しいです。

ウサイン・ボルト選手の名言

陸上のオリンピック金メダリストのウサイン・ボルト選手の名言に「目標を見失わず頑張ること、そしてとにかく楽しむことが大事!自分のしていることを楽しめなければ、本気になることはできない」というものがあります。 このウサイン・ボルト選手の名言は万里一空に通じるものがあります。この名言を英語で表現すると、「Never lose the sight of your objective, and enjoy what you are doing ! Unless you enjoy what you are doing, you can not get serious」になります。