倫理とは何か?意味や使い方を簡単にわかりやすく解説/看護倫理とは?

意味

「倫理」の「倫(ともがら)」の「理(ことわり)」が語源となっています。

「倫」は、人の輪、仲間という意味があります。また、「理」は、模様を表しています。
ですから、「倫理」は、仲間の間での決まりごとという意味があるのです。人として生まれてきたからには、その人間界において守るべき道や行うべき道がある、その思想や行動のことです。

倫理とは、善悪の判断において普遍的な基準になるものとして定義されています。 最近政治家や芸能界の人が「不倫」騒動を起こしていますが、この「不倫」の意味は、倫理の「倫」ではないこととして、法には触れないが、公に認められない関係という意味合いを持ちます。
ですから、私たちが社会生活を送る上での一般的な決まりのことをわかりやすく言いますと「倫理」として捉えることもできるのです。

倫理とは何か・・・使い方の例

倫理の使い方について考えましょう。

わかりやすく簡単な例で言えば、道に100円玉1個が落ちていたとしましょう。

1.無視をして通りすぎる
2.拾って自分のものにする
3.拾って近所のお店に届けるあるいは交番に届ける

倫理というものを考える3択です。

子どもの場合は簡単に言うでしょう。「先生や親から学んでいるから交番に届ける。」
でも私たち大人になりますと、この3つのどれを選択するかについては、簡単には答えられないようです。倫理的な問題だからです。状況によって変わるという答え方が一番多いのではないでしょうか。状況とは、落ちている場所や状態や人通りの多い少ないにも影響されるからです。

私たちは、子どもの頃に道徳などで勉強をした「交番に届けること」は覚えてはいるけれども、100円という貨幣価値を考えてしまい、実際にその場面に出くわすと考えてしまうものです。このように考えるときに倫理という言葉が登場します。もちろん、どんな状況であっても交番に届けることが当たり前なのですが、どうして、見過ごしたり自分のものにしたりしてしまうのでしょうか。これが倫理的な問題になっているのです。

その他の例として挙げますが、最近では「救命」ということにも非常に敏感な社会になっていますね。人があなたの前に倒れていたとしたら、どういう行動を起こすでしょうか。この例でも状況によって変わってくるものですね。よくAEDの使い方については学んだが、実際に使うとなると簡単には使えず躊躇してしまうだろう、という方が多いのは事実です。 しかし、倒れている方のそばにあなたしかいなかったらどうでしょうか。あわてふためいて119番をするのが精一杯であっても、見過ごすということはないでしょう。反対に、大勢の人の中にあなたが居れば「誰かが倒れている人の対応をしてくれるだろう」という思いになってしまうかもしれません。これも倫理的な問題です。

このように、私たちは善悪の判断を迫られることが日常の中によくあるものです。その場面に出会った時に「自分の判断はいいのか悪いのか」と考える際の根拠を「倫理が守られている」「倫理がおろそかにされている」という言い方がわかりやすく、よく使われます。

倫理と道徳

では、先ほど述べましたが、小中学生が学ぶ道徳と倫理にはどのような違いがあるのでしょうか。辞書などで調べた内容を比べてみましょう。

倫理・・・人として守り行うべき道
道徳・・・人としてふみ行うべき道

いかがでしょうか。辞書の上ではなかなか違いが判らず、同義と言えます。
道徳は、社会という狭い世界における善悪の判断なのに対して、倫理は、「人間として生まれてきた以上は」という善悪の判断と言えるのです。わかりやすく言いますと狭い意味での「道徳」と広い意味での「倫理」ということになりますね。

医療現場で倫理とは何か

さて、医療現場ではよく「倫理」について議論されます。

医学の進歩で、治らない病気がなくなりつつある今ですが、がんなどの治療においてはまだまだ治療をして延命はできてもそう長くはないのが現実です。その医療現場において、本人や家族に「がん告知」をすべきかどうかについて、倫理的な問題としてよく議論されます。 道徳的な判断からすると、本人に事実を伝えることは当然なのでしょうか。

患者がもし「家族には言わないで欲しい」と医師や看護師に述べたとしましょう。さて、看護師は家族から病状について聞かれたときに何と答えるべきなのでしょうか。「真実を伝える」のか、「患者の意思を尊重する」のか、簡単には答えは出ないでしょう。このような危機に直面する医師や看護師の場合には道徳的な考えは、医療現場では通用しないことがわかりますね。ここで登場すするのが倫理なのです。

看護倫理とは何か

このような場面に直面する困難な倫理的な問題が起こる医療現場において、2002年から「看護師の倫理規定」が制定され「看護者の倫理綱領」が公表されたのです。これは、まさしく、看護者が適切な倫理的判断を行う拠り所になっています。この「看護者の倫理綱領」についてわかりやすく説明しましょう。

「看護者の倫理綱領」について

1.看護は、普遍的な望みである健康な生活の実現を送れるように、人々のためにその実現を目指して貢献することが使命であるということ

2.看護は、年齢や性別、生活実態等に違いはあっても、その人々の健康保持増進、病気の予防、苦痛の緩和などのために尽くす。高齢者医療などにおいては、特に、生涯を通してその人らしい生き方が最後までできるように援助を行うこと

3.看護者には、人権尊重の精神が求められる。看護職の免許を持つものとして、社会的な責務を果たすために、人が生きる権利や尊厳を保つ権利などを重んじて、敬意を持って平等な看護にあたらなければならないこと

4.この「看護者の倫理綱領」は、日本看護協会が規定しており、病院だけでなく学校や地域等においても実践を行うための指針である。これは、自己反省の一部にもなり、看護の実践の中では専門職としての責任の範囲を社会に知らせること。

さらには、2018年「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改定がありました。高齢化社会において、地域と共に対応していく必要があり、在宅医療や介護現場においても倫理的な観点から活用できるようにしたこと。

看護倫理でよく使われる事例

看護倫理を語る上でよく使われる事例についてわかりやすくご紹介します。昔の逸話として語られていますが、ある人が毒矢に打たれ、生死をさまよっているときに「この矢はだれが打ったのか、この人は誰なのか、どこに住んでいるのか・・・」という会話をしている間に死んでしまったというお話です。

「看護倫理とは?」・・・著書をご紹介!

ここで、看護倫理について書かれている書籍をご紹介します。

『見ているものが違うから起こること(吉田みつ子著)』です。
看護をする人間として「なぜ患者さんはわかってくれないのか」という切実な思いを持ったお話が紹介されています。そこには、看護士の思いと患者の思いの違いという、体験していることが異なっているということがどこから生じて、論点というものがどこにあるのかを考えることが看護倫理の第一歩だと述べられています。 患者の切実な思いは「私の今の気持ちをわかってほしい」というものです。それができないときに、患者は敏感に感じ取って、看護士のことを嫌うようになります。看護士は「嫌われているのは何か原因があるのか」を問います。そんな時に患者の思いを共有できたときにはじめて患者が自分に向けている言動の意味がわかるものです。それによって患者への関わり方を振り返ることができるというものです。看護倫理とはこういうものなのです。

倫理とは何か?意味や使い方を簡単にわかりやすく解説/看護倫理とは? まとめ

いかがでしょうか。

「倫理」とは何か、「倫理的には・・・」というように、出来事を「人間としてどうか」という視点でわかりやすく見るものといえるでしょう。社会や政治の世界では、「隠蔽」「不正」「虚偽」という言葉が簡単に使われ乱れ飛んでいますが、今一度、倫理的にはどうなのか、という点でわかりやすく整理してみる必要があるようです。 「隠蔽をしても罪に問われない場合がある」ことのうわべだけを子どもたちが知ってしまえば、今の社会問題にもなっている「いじめ」もなかなかなくならないでしょう。いじめ問題が尾を引いているのは、倫理的な部分が語られないからともいえます。善悪の判断とは何かを学ぶ子どもたちのためにも「倫理とは何か」についてその意味や使い方を学んでおいて下さい。