「グロス」「ネット」「マージン」の意味や使い方/広告業界の会計処理等

目次

◆そもそも「グロス」と「ネット」「マージン」とは?もともとどこの国の言葉でどんな意味?

とくに、各企業の管理部門などにいなければ、あるいは統計や集計を多く扱うポジション、外資系企業や、特定の業界などにいなければあまりなじみもないビジネス用語「グロス」や「ネット」「マージン」といった語。

もともとは英語から来ており・・・

・【グロス】とは

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グロス=英語の「gross」から派生したビジネス&統計や会計用語。「全体、総体、差し引き前、精算や調整処理前」といったものを表します。 わかりやすいところでは、企業会計や公会計などともかかわる国民総生産GNPや、国内総生産GDPなどには「G」が含まれていますが、これも「GROSS」を表しており、日本語では総生産などの「総」が訳語として対応しています。

詳しく言えば、製品価格や製品の性能などを表示するとき、「雑味のある値」=「正味の値ではないものもすべて含んだ値である」ことを表しています。

さらには業界などによっては、そこからの派生で、調整前値だけでなく、変更があとから発生することも多い第一報値などをすべて「グロス値」と呼んでいるケースやローカルルールなども存在します。どんぶり勘定全体を「グロス」と呼ぶ業界もあります。

価格、容積従量などの計算上求められた値や測定値等さまざまな値のほか、時間やスコアなどに対しても用いることもあります。

・【ネット】とは

ネット=英語の「Net」から派生したビジネス&統計用語。 「精算後、差し引き後、調整処理後の正味値」といったものを表します。

詳しく言えば、製品価格や製品の性能などを表示するとき、正確な測定値そのもの。あるいは、費用などとして認識されるものや誤差を取り除いた「正味の値」であることを表しています。 さらには業界などによっては、そこからの派生で、各種の調整後値だけでなく、正式な計算と監査など承認プロセスを経た公表値一式を「ネット値」と呼んでいるケースなどもあります。

こちらは正味の値や実質値を表しますが、グロス同様に、価格、容積従量などの測定値のほか、時間やスコアなどに対しても用いることもあります。

・【マージン】とは

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マージン=英語の「Margin」から派生したビジネス用語。 英語では、「原価と売値の差分を表したり、利ザヤ分」などを表しますが、日本語では、「英語と同じ意味」のほか「販売店や出荷先などに払う手数料やキックバック、実質値引き相当分」といったものを表すことが一般的です。

◆カタカナ語の「グロス」「ネット」「マージン」、どんなビジネスシーンで多くつかわれているの?

たとえばこんな使い方があります。

「今回の出張経費、グロスでなく、ネットで提出してください」 「発送時グロス200gとして計上していますが、包材関連従量を差し引くと、正味・・・すなわちネットでは、製品重量は160gです」 「今回グロスで、特販展開費用が60万ってことになってますが、製品仕入れネットでは54万円。マージン2万円。その他経費で4万円かかってます」

「あの車の排気量、1800クラスっていってたけど、あれ、グロス? ネットは1780?」 「緊急出荷、単価で700円になってますが、1アイテムあたりではなく製品1個あたりでマージン50円プラスしてますから、ネットで計上するとき気を付けてください」 などとして使います。

グロスの表す数字は、ネットに対してどんな経費や誤差精算のどこまで含まれているのかは、企業によっても異なりますので注意が必要です。

◆実は各業界で、「グロス」での計算や「ネット」での計算をとくに使う見積請求や商取引・会計処理には特徴的な慣行も少なくない

問屋を介した取引や、業界別の流通業界、建設業界、土地取引、広告業界やWEB業界などでは、取引についてそれぞれに特徴的な慣行があります。 たとえば販売代理店などを通したり、まとめて大量の商品をプロモーションやイベント込みで出荷するときなどに、代理店手数料や出荷先法人などへの割引を「マージン」として支払うことがあります。

一般的な意味ではなく、こうした業界では、「マージン」=手数料として使われることが一般的。

・広告業界では、ちょっと変わった「グロス」と「ネット」の使い方をしているところも多い

代理店を通すことが多い一般広告業界やWEB広告などでは、仕入金額に対する売価率(≒原価率。利益として上乗せしていい%)などが、仕入先企業との契約時にすでに固定されていることが一般的。 これを小分けにして各社に売買しているので、ここでは・・・ 「グロス」=「媒体原価とマージンを合算したもの」 「ネット」=「媒体原価」 を表します。

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また、同業界では売上金額や数量などにも、このグロスやネットを使った「グロス売上」「ネット売上」などが存在しており、実は各社でちょっとだけ意味が違っていることもあります。

 <仕入れ契約の時に、エンドユーザーに対して販売する際上乗せしていい%を決めた取引では、グロス・ネット値を単純計算することが多い>

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WEB広告業界は、仕入れ先との契約の際に、売価としての取り分の%が決められている契約形態が多い業界でもあります。 そのうえで、返品や委託販売分の取引が多い業界でもあり、広告と実売などの数量が連動する広告費計算方法の契約もあります。単に「グロス売上」といっても、あとからかなり数的に差が大きく発生することもあるのです。 こうしたタイプの広告代理業、WEB業界などで、仕入れと代理店による利ザヤ分に一定の制限などがあるケースでは、単純にその制限されている比率をかけて「マージン」が求められます。

また、生産物や販売物に対して版権契約(ライセンス)を伴った契約などを行うときに、一定の技術やブランド表示をつけて生産した数や販売する状態にした製品とした数を表すときにも、こうしたネットやグロスによる単純に比率をかけた算出方法などを用いるときがあります。

「なんらかの比率を仕入れ先や版権先などと取り決めてあるケース」では、単純に生産数などから求められるため、この表現がよく出てきます。

 <包括値引きや言い表しにくいものをまとめてくくるマージン表示>

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また固定による仕入れ率ではない通常の仕入れ販売を伴うケースも含めて、各業界の見積もり請求書では、一切をまとめて切りのいい金額まで割引するときの「端数」や、輸送費、販売手数料などを割引する時に「これら金額をまとめたもの」を、この「マージン」として表示記載や計上しているケースがあります。 他にも「マージン」として扱われるものには、加盟団体などに支払う手数料をあらわしているものなどもあり、その業界慣行やシーンによって、さまざまな違いがあります。

 <単純に グロスは定価でネットは原価というわけではない>

よくWEBサイトなどでは、「WEB業界では、グロスは定価でネットは原価」として紹介されていることがありますが、そこから包括値引きや端数値引きをかけたりするケースもあるので、正しい表現ではありません。

他にもWEB業界では、WEBによる現物売買を伴うところなどで、インターネットの販売サイトや電子メールなどネットを経由して売買されたもの=ネット取引による売り上げ=「ネット売上(ネット売上値)」などというところも、ネットショップ運営企業などには多数あるので、注意が必要です。

・自動車やエンジン、機材などを伴う製造業界でも、実はグロス値やネット値が使われている

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自動車やエンジン関連のパーツを伴う製造業界~馬力や排気量などの実効値を出す必要がある業界でも、「グロス値」と「ネット値」は多用されています。 というのも、これらの中には、製品種類によってはさまざまな細かい取り決めがあります。その決まりによって「切りのいい数字や、同じ型式で細分される製品に対しては一律の値(=値範囲)を用いなければならなかったり、測定方法を一定に統一した値を用いたりしなければならない」から。

とはいえ、完全に同じパーツで組み立てたとしても、素材の比重や形状などには多少の差は出ますし、締め付けトルクやネジ山などの硬さや締まり具合は、機材で正確に調整したとしても、個体差が出てしまいます。 そんなこともあり、一定以上の値や、一定の実測数値の範囲を諸元表というその製造物の性能を表す一覧表には示すことになっています。

ネット値とグロス値があります。「グロス」はエンジン単体で測定したものであり、. 「ネット」とはエンジンを車両に搭載した状態とほぼ同条件で測定したものです。
エンジン出力表示にはネット値とグロス値があります。「グロス」はエンジン単体で測定したものであり、「ネット」とはエンジンを車両に搭載した状態とほぼ同条件で測定したものです。同じエンジンで測定した場合、「ネット」は「グロス」よりもガソリン自動車で約15%程度低い値 (自工会調べ) となっています。

例えば、極端な例ですが、実際出荷される製品のエンジン単体では、排気量1789CC~1805CCの範囲で出荷されている「グロス値」。単体の測定値では1800CCを示すのに、自重や組付けた先の機材などを考慮すると実際の排気量は1200CC相当でしかないときの「ネット値」などが存在しています。

外国から輸入した車を販売するときに、そのままでは燃費など経済的にお得ではないので、あえて出力を下げた機材をアレンジして、国内では販売することもあります。 こんなとき、グロス値とネット値の差が大きくなります。

・食品などの中には、完成して包装したあと出荷→配送され販売されるまでの間に、重量や容積などが変化するものもある

たとえば砂糖を多用した食品などでは、完成して包装し、店舗に運ばれて販売されるまでの間に、水分をひきつけたり、あるいは乾燥することで、重量や容積などが激しく変化するものもあります。 こんなものにも、出荷時のグロス重量やネット重量で表示が出ているケースがあります。 生菓子のバルク販売(店舗では個別に販売)などのケースで見かけられるかもしれません。

◆そういえば「グロス」「ネット」「マージン」の他にもビジネスで使われているカタカナ語にはわからない言葉だらけ!ちょっと復習

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他にも、ビジネス語で分かりにくいものをすこしピックアップしてみました。

「キックバック」

キックバックとは、購買された数や売り上げ数、納品数やそれぞれの金額などに応じて、いくらかを客先に支払う制度。商工業者間の他、エンドユーザーの時に使うこともある。 単なる値引き額が相当していることが多いが、後から実績などに応じてまとめて支払うと実質割引額が見えやすく、お得感を感じることが多いため多用されている。

「リベート」

リベートとは、ニュースなどでは袖の下、わいろ、不正な金として使われることも多い商慣行上の用語。 だが、実際には購買された数や売り上げ数、納品数やそれぞれの金額などに応じて、いくらかを客先に支払う制度でもある。こちらも単なる値引き額が相当していることが多いが、後から実績などに応じてまとめて支払ったり、見積書などで、特に値引きしたことをまとめて別項目で大きく表示して見せると、お得感を感じることが多いため多用されている。 実際これらで戻された金額は、客先でのエンドユーザーに向けて販売する際の、大型割引企画時の割引額として配架されていることも少なくない。

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「コミッション(フィー)」

コミッションもしくはコミッションフィーとは、販売先を見つけてきた人や、特定の商材の数量やまとまりについてまとめて引き受けてくれた先に支払われる手数料。またフランチャイズやグループ間のブロックエリアごとの集団などの運営費用や手数料として支払う手数料。 特定の商材や取引のものでは在庫処分や、長期在庫を高額で受け入れてもらいたいときに、設定されていることが多い。 これらにも「キックバック」や「リベート」と同じように単なる値引き額が相当していることが一般的。

中古不動産など業界によっては、地域環境などのプレミア価格や、改装原価に対して、前住人のステイタス分として、原価にプラスされた中に、この部分を含んでいるがため、割高となっているものも少なくない。また契約代理を引き受けてくれたり、契約のための調査を行う際などに、この名目で扱われる費用もある。業界団体加入やそれらの手数料をこの名目で扱うこともある。 また、まとまりにくい取引のほとんどのプロセスを仲介してくれる立場の団体や業者に支払うことを常時慣行としているところでも、この表現を使うところがある。

「速報(値)」「(第)一報(値)」

速報(値)、一報(値)とは、売上高や商い高など契約数量や金額について、マイナスとなるものや、期をまたいだ取引等特殊な条件がついたものを精算する前のものをまず取りまとめて示したもの。グロス値と同意のこともあれば、業界や企業の体制によっては、この速報値や一報値の段階で、すでにかなりの修正が行われているところもある。 これに対して、数週間、あるいは数か月、起業したばかりの特例などがある企業では数年後までに、しっかりと調査、精算された値である「確報値」などが出る。 そのためとくに市況や経済関連などでは「速報値」「一報値」というだけで「グロス」というニュアンスを帯びる。

「一式」

一式(いっしき)とは、細かな値段や数量などを表しにくいものに対して用いる、目録、見積書、納品書、請求書などに用いる数量表記。俗にいうグロス値にも近い。 たとえば実際に工事を始めてみないとわからない、ねじくぎなどの流動的なパーツ数や、天候次第で作業員の人件費などが大きく変わるケースなどで、こうした表記は多く用いられる。これらの延長で、その他の「値引額や内容量が表示しづらいもの一般」に関しても多く用いられる。 部材パーツや機材などにも用い、人件費や、技術料、設定手数料なども含め、有形無形のもの一切をどんぶり勘定的に表せる語。

一般消費者向けには「込々(=コミコミ、混み混み)」などの語を用いるケースも多い。

◆ほかにも「グロス」「ネット」「マージン」が使われているところがある?!

商業や製造業がらみで、各業界で使われていることが多い「グロス」や「ネット」、「マージン」。 他にもこんな分野で使われています。

・流通業や昔のドリンクなどの業界で使う「1グロス」=12ダース

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昔のドリンクや、食品などの出荷を伴う取引では、1ダースが12瓶。ちょうど木箱ケースに入って流通していたため割れにくく安定するように、12瓶を基準として6瓶や24瓶などの倍数などを1ケースや1パレットとしているものが一般的でした。

日本酒やビールなどは、缶が主流となった現在もこの単位の名残で「6本」「24本」単位です。

またパレットとよぶ台の上に製品を積み上げてまとめてずれないようにしたときの「基本の配送積み込み量=パレット積載量」が、この数字を基準とするものも多くありました。 1パレット当たりの最大積載量12ダースと定められているものは、1グロス=12個(1ダース)×12ダースを表しています。

最近は、現物を伴う出荷などでも、在庫を店舗に持たせない小ロットによる出荷も一般的となり、この大型発注単位を見かけること自体、大型店舗以外ではあまりなくなったかもしれません。

・ゴルフで使う「グロス」と「ネット」

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ゴルフでは、「グロススコア」と「ネットスコア」というものが存在しています。 「グロススコア」=ハンディ(=ハンディキャップ)を差し引く前の、ゴルフプレイ後の総スコア 「ネットスコア」=ハンディを差し引いた後の正味のゴルフプレイ後のスコア。

ゴルフのハンディはプレイヤー間の実力差や、コース難易度によって個別に設定されますが、グロスが110打、ハンディが15だった場合には、ネットスコアは95となります。 この値で、ゴルフコンペの順位などが評価されます。

・印刷やDTPで使う「マージン」

印刷やDTP、またワープロソフトで使われている「マージン」とは、余白のこと。 用紙の上下左右で、印刷領域を取り囲む設定を行うことができるので、皆さんご存知かもしれません。

◆普段の生活にも「グロス」「ネット」「マージン」なんて言葉は使えるの?

意外と使えるシーンは多そうです。 「お父さん、出かけるときゴミ出しといて」「マージンいくら?」

「出産後20キロやせたって言ってたけど本当?」「俺? グロス重量」 「お手伝いしたら1000円払うって言ったけど、正味ネット値で800円ね!」

家庭内でなかなか言い出しにくいいろいろな「個人的フィーリング」も、こんな言葉なら、うまく伝わるかもしれません。

◆「グロス」「ネット」「マージン」などのカタカナ語、各業界や商慣行などでの使い方についてご紹介しました!

インターネットの情報サイトをいろいろめぐってみると、各業界慣行や各社のローカルルールがそのまま書かれているものもありますが、実はちょっと勘違いして書かれているものも多いのです。

日常生活で使う分にはよいのですが、客先で使うビジネス表現としては、しっかりと意味を把握していなければ、そして増える海外企業との取引折衝などとの間では、それぞれの言葉の差すところをしっかりと確認しておかなければ思わぬ損失を企業に与えてしまうことも。 普段から、こういった言葉の意味や使い方については、敏感で、くわしくありたいですね。