マイナンバーの受け取りや提出を拒否したらどうなる?理由書の提出?

まずマイナンバー制度とはどういうもののか、改めて聞くとよく知らない人も大勢いるでしょうから、ここでおさらいをしておきます。

マイナンバーとは国民背番号制のこと

マイナンバー制度とは、施行時に反対派から指摘された通り、有体に言えば「全国民背番号制度」のことです。つまり国家が国民1人1人に番号を割り振り、それによって本業だけではなくバイトも含めた個人の所得、年金の受給状況、納税状況などを一元的に管理しようという制度です。

その背番号を「マイナンバー」と政府が呼んだため、この国民背番号制度をマイナンバー制度と呼ぶようになりました。

マイナンバーの3つの観点1「マイナンバー」

マイナンバー制度には、細かく言うと3つの観点があります。

1つは先ほどから挙げている、国民1人1人に「マイナンバー」という名称で背番号を割り振った、ということです。このマイナンバーは、日本に住民票があれば、中長期在留者や特別永住者などの在日外国人も含めて、全員に割り振られます。その番号は「連番」ではなく完全にランダムで、仮に家族であっても同じような番号にはなりません。

そしてマイナンバーは生まれた時に割り振られてから、死ぬまで1つの番号を背負い続け、結婚したり、性別を変えたり、「マイナンバーカード」を紛失したりしても、マイナンバーが新しく発行されることはありません。

マイナンバーの3つの観点2「マイナンバーカード」

またマイナンバーとは、使う場面によっては「マイナンバーカード」を指すことがあります。ただしまずマイナンバーを国民に通知する紙製の「通知カード」で来ますが、これは「マイナンバーカード」ではありません。ですからこの書類を身分証明証としては利用できません。

「マイナンバーカード」は「個人番号カード」とも呼ばれている、通知カードを役所に持って行って申請して交付される、プラスチック製のカードです。そこにはマイナンバーのほか、氏名、住所、生年月日、住所、性別、顔写真が記載してあるので、自動車運転免許証と同じように、公的な身分証明証として使えます。

マイナンバーの3つの観点3「マイナンバーポータル」

またマイナンバーとは「マイナンバーポータル」というものを指す場合もあります。

「マイナンバーポータル」とはネット上に、国民1人1人用に作成された個人サイトです。そこにはマイナンバーによって紐づけされた各人の個人情報が記載してあり、かつ自分ではなく他人が閲覧した場合、誰が、いつ、何のために自分の情報にアクセスしたかが確認出来ます。

これも役所に申請を行なうことによって使えるようになります。

マイナンバーが必要な理由とは?

マイナンバー制度を施行するためには数千億円の税金が投入されましたが、そこまでしてなぜマイナンバー制度を導入する必要があったのでしょうか。これは行政が言う建前と、実際の本音の部分があります。

マイナンバーの建前の目的は行政コストの削減と、国民の行政手続きの簡略化

まずマイナンバー制度施行の建前の目的は、行政の行う作業の簡便化と、それによるコストの削減、そして国民にとっては届け出の重複の解消、という点があります。

たとえば、現在転居に際して住民票を移動させる時には、転居前の自治体で住民票を手に入れ、それを転居先の自治体に提出する必要があります。これは要は二度手間です。

しかしマイナンバー制度が導入されると、この作業が1回で済みます。つまり、インターネットにマイナンバーを入力して、転出先の住所と転入先の住所を入力すればそれでおしまいになるのです。それによって、住民票の書類も不要になりますし、住民票係の職員も、転出先と転入先の両方で不要になり、書類のコスト代と人件費が削減できます。

国民もわざわざ手続きのために、2回も役所に行かなくても済むようになります。

つまりこれまで役所をまたいで行っていた様々な行政手続きが、マイナンバー導入によってすべて紐づき、それによって多大な人的コスト、時間的コストが削減される、というわけです。

マイナンバーの本当の目的は「漏れなく課税する」ため?

これらは確かに事実でしょうが、数千億円の税金を投入してまで国家が実施した本音の理由は別にあります。

それは「国民全員から漏れなく税金を徴収する」ためです。

現在、税金の徴収は、確定申告などは一部コンピュータ化されています。しかし本業のほかにバイトなどをしていて複数から収入を得ている人の収入は正確に把握できていません。したがってそれらの全所得を合算してその合算に対して課税する、ということはあくまで納税者側がそのように確定申告しないとできない仕組みになっています。

従って、バイトなどで少ない収入をたくさんの会社などからもらっている人は、実際には合算すれば十分にその収入は課税対象の金額になっても、それぞれの収入としては確定申告が不要なくらいの少額であるため税金を納めなくて済んでいるのです。

マイナンバーが導入されると、本業からバイトまでのすべての収入をその1つ1つの額がわずかでも確定申告させれば、マイナンバーによって名寄せができ、その実際の合算された収入が分かり、国にとっては正しく課税することができるようになるのです。マイナンバー導入の最大の目的はそこにあります。

さらに、マイナンバーが導入されることによって、生活保護などの「社会保障」「災害時の保障」などを不正に受給することもできなくなります。何故かというと、現在生活保護を申請する時に、課税状況を併せて申告していますが、それが上記で言うところの1カ所の収入でしかありません。しかしその人は実際には複数から収入を得ていて、合算すれば生活保護を受給する条件には合致しない、ということが多々あるのです。マイナンバーが導入されることで、そのような不正な生活保護の受給ができなくなるのです。

そして、マイナンバーは税金だけの問題ではありません。たとえば自動車の違反状況のデータや、雇用保険のデータを紐づけることで、その人のある意味「すべて」が一元的に国家に分かってしまうようになるのです。つまり、国にとっては、その人がどのような収入で、どこで働いていて、どこでバイトもしていて、どの国によく海外旅行をして、何回駐車違反で捕まって、いくら借金をしていて、何回離婚して、ということが1つの画面ですべてわかってしまうのです。

国民の起こす犯罪を未然に防止したり、犯罪が起こった時に犯人を素早く特定したり、国にとって危険思想を持っている人間を管理したりする上で、マイナンバーは非常に役に立つわけです。

マイナンバー制度を数千億円の税金を使ってまで施行したのは、このように完全に国民を一元管理できる利便性があるからなのです。

マイナンバーを持てば1枚ですべて何でもできる?

ただし露骨にそれを言ってしまうと世間は大騒ぎになるので、国は一切そのようなことは言いません。その代わりに、マイナンバー制度が導入されることで、いかに国民の生活の利便性が増すか、ということを強調してPRしています。

たとえば、マイナンバーカードと健康保険証が一体化すれば、何枚も同じようなカードを持つ必要がなくなります。マイナンバーカードと図書カードや、運転免許証などが一元化されれば、転居した場合に、役所に行って、警察署に行って、図書館に行って、税務署に行って、転居手続きをしていたものが、1回だけで済むようになります。

確かにそれは便利なことではありますが、あくまで二次的なメリットに過ぎません。一次的なメリットは先ほど書いた、国にとって国民を管理しやすくなり、国民の動向をコントロールしやすくなるから、ということです。

ですからマイナンバーの受給を拒否する人が出てくるわけです。

マイナンバーは拒否できるのか?

ではそのマイナンバーの本質が分かったところで、いよいよマイナンバーの受給、あるいは提出を拒否できるか、という話に移りましょう。

マイナンバーを持つことは拒否できない

まずマイナンバーを割り振られることを拒否できるか、と言うと絶対にできません。日本に生まれた以上は日本の行政サービスを受けるために出生届を出す必要があります。その段階で全員にマイナンバーは割り振られてしまうのです。

学校にも行かない、年金もいらない、パスポートも不要、という覚悟があるなら出生届を出さなければ、日本にその人は存在しないことになりますから、マイナンバーは割り振られませんが、現実にはそれは無理な話です。ですからどれだけ拒否しても、国が勝手にマイナンバーを割り振るので、マイナンバーを持つこと自体を拒否することは全くできないでのです。

マイナンバーの受け取り拒否はできるのか

では、マイナンバーカードの受け取りを拒否することはできるかというと、それはできます。まず通知カードは、受け取り拒否をすれば郵便局の人は持って帰ります。マイナンバーカードの方は申請しないともらえませんから、申請しなければ持たずに済みます。

しかしそれは「ただそれだけの事」で実際にはマイナンバーは割り振られていますから、そこで頑張ってもあまり意味のないことなのです。

マイナンバーの役所への提出は拒否できるのか?

ではマイナンバーの役所への提出を拒否することはできるのでしょうか。1番身近なのが、確定申告時や年末調整時に、マイナンバーの記載が必要とされています。これを書くことのを拒否することはできるのでしょうか。

これも結論的に言えば、マイナンバーを忘れたと言って、確定申告時に書かなければ、そのまま税務署は受け取ってくれます。ですから、その点では提出拒否は可能で、現時点では、少額の収入をもらう働き口を複数持っていても、それはまだバレにくい状況になっています。

しかし、報酬を支払っている側は、年末に発行する「支払調書」にマイナンバーの記載が義務づけられていますから、それも拒否しないと結局は、そちらの方でマイナンバーが判明してしまい、少額の収入を隠すことはできなくなってしまいます。

支払い側としてはその書類を作成するために、何度もマイナンバーの提出を要求されるでしょう。それは拒否できるのでしょうか。

マイナンバーの会社への提出は拒否できるのか?

その1番のケースがまさに年末調整時に、会社からマイナンバー提出を求められる、という点です。これを提出すれば、全ての収入が国に分かってしまい、税金を漏れなく納めないといけないことになります。それを避けるために、このマイナンバーの提出を拒否できるのでしょうか。

結論から言えば、マイナンバーの提出の拒否は可能です。何故かというと、マイナンバーを提出しないことについての罰則制度はないからです。ただし、その場合には今度は会社の方が、自分の確定申告ができなくなって困ってしまうため、かなり強硬に提出を要求するでしょう。しかし強制力はありませんから、それも拒否することは可能です。

マイナンバーを提出しないからと言ってもしもクビにしたら、それは不正解雇になるので、会社はそれもできません。

これは本業の会社ではなく、副業としてどこかでアルバイトをしている場合でも、そのバイト先からのマイナンバーを提出するように言われるでしょうが、それを提出したら、納めなければならない税金が増えますから、それも拒否できます。

マイナンバーの提出を拒否したらどうなる?

ではそのように強硬にマイナンバーの提出を拒否した場合、どのようなことが起こるのでしょうか。

マイナンバー提出拒否の罰則はない

上で書いたように、まずマイナンバーの提出の拒否に関する罰則規定は法律上はありません。また、会社もマイナンバーの提出拒否をした従業員に、報復として処罰を与えたり、マイナスの人事査定をすることは禁止されています。

ただし、会社は会社で従業員のマイナンバーを添付して、確かに給料支払ったという報告を税務署にするのが義務になっていますから、提出を拒否されることによって、会社の人事部と経理部はかなり困るでしょう。そのため、そのような行為を迷惑だと感じるはずです。そしてそのような迷惑をかけた社員は、相当会社での居心地は悪くなることは確実ですから、それは覚悟しておく必要があるでしょう。

マイナンバーの提出を拒否する方法は?理由書が必要?

ではその場合、「落としどころ」、つまり本人もマイナンバーの提出を拒否でき、会社もその従業員のマイナンバー欄を空白のままにして、税務署に申告できる方法はあるのでしょうか。

それはあります。

その方法が従業員がマイナンバー提出を拒否する旨を書面で「理由書」として提出し、会社はそれを添付して税務署に申告する、というものなのです。理由書があれば、一応は会社も確定申告ができるので、何とか最悪の事態は避けられる、ということになります。

その理由書の文面は以下のようなものです。

「マイナンバー提供の拒否についての確認書」

株式会社 〇○不動産
代表取締役 △山太郎殿

私は、当社から示された「マイナンバーに関するお願い」と「個人番号利用目的通知書兼提出先のお知らせ」の内容を慎重に検討したうえで、マイナンバーの提供について拒否します。
マイナンバー提供の拒否によって、仮に私が不利益を被っても、その不利益の発生については理解し、当社に対して不利益賠償請求法的措置を執ることはしないことを約束します。

この理由書を会社に提出すれば、一応その年の年末調整は乗り切ることができます。

マイナンバーの提出が拒否された会社側のすること

この理由書が添付されて申告書類や、社会保険の書類が税務署やハローワークに提出された場合、相手としては受理することになっています。ですので理由書さえあれば、会社は必要以上にマイナンバー提出を求めることはないでしょう。

ただその代わりに会社としては、従業員の提出した理由書を保管し、かつ会社が従業員にマイナンバーの提出を求めた経過を書類で記録する必要があります。罰則規定がないだけで、マイナンバー提出は法律で定められた義務ですから、その義務の遂行ができなかったことに悪意はない、ということを証明する必要があるからです。

ですから、仮に税務署やハローワークなどからその従業員のマイナンバーが提出されていない点について問い合わせがあった場合には、理由書とその経過を記録した書類を示して説明し、自社に落ち度はないことを証明しなければならないわけです。

まとめ

いかがですか。

以上で解説したように、信念をもってマイナンバー提出を拒否することは現時点での法律では可能です。その方法も、何度要求されても拒否し、最終的に理由書を提出するだけです。役所への書類もマイナンバーを書かなくても受理してくれます。

しかし、マイナンバー提出を拒否することによって、人間関係が悪くなったり、仕事がしにくくなったり、提出を求められるたびになぜ自分が拒否するのか、という点を縷々説明しなければならかったりと、その信念を押し通すことはかなり大変であることも事実です。

マイナンバー提出を拒否するのであれば、それはしっかり覚悟しておきましょう。