「行き」「御中」の使い方、消し方、書き換え例

ビジネス

目次

相手から送られてきた返信用封筒や返信はがきのあて先が「行」や「行き」となっているとき、そのまま送り返してはNG!! 書き換えが必要!?

 

相手から送られてきた縦書きや横書きの
・往復はがきの返信
・返信用封筒
・返信用はがき
の他、現代では、ビジネスでも典型的な横書き宛名の
・宅配便の返信用伝票
・FAXによる返送状のヘッダの宛名部分
などでも、あらかじめ宛名が横書きで印刷された状態となっています。
(中には、横書き以外のものもあります)

この時、相手の宛名の下が「行」や「行き」となっている場合、そのまま送り返してはダメ。 非常に失礼に当たります。

宛名ならばなんにでも「行」「行き」→「御中」をつければいいというものではない!?

 

宛名をそのままにして送り返してはダメだからといって、その全部を消して、単に「御中」に書き換えて出してはNG。 それに「御中」と書き換えた場合でも、「じゃあ『行』や『行き』ってどうなるの??」「行や行きって消していいの? それ修正テープ使ったりする消し方でいいの?」ということになりかねません。 では一体どうすればいいのでしょうか?

返信の宛名の書き方 その1:まずは宛名の「行」や「行き」を消す!

返信の宛名は、縦書きと横書きがそれぞれあります。

 
 

通常はこのスタイルが一般的。 この「行き」や「行」の文字の上から「二本線」の消し方で消すか、「寿」の字での消し方で消します。 その横に、普段あて名書きで用いる「御中」「様」などを横の位置に宛名のあて先人や部署といった属性に応じて「御中」「様」などを使い分けて書き足すことで書き換えます。

 
 

通常消すときには、宛名が縦書きでも横書きでも、どこの位置にあっても「二本線」では「斜め線」が古くから一般的。 縦書きでも横書きでも、基本的には右上から左下に向けての斜め線で消して、そのあと文字を書き換えればよいので、覚える消し方は一つ。 またこの消し方は、おめでたい席にも弔辞にも使えるので、これだけ覚えておけばまず間違いはないでしょう。 以前には郵便局でのはがき手紙教室などでもこの方法で教えているほか、書道教室やマナー教室、秘書や文書作成検定でも、この方法で教えています。

 
 

ですが現代では、文字の消し方~書き換えに際して文字を消すためにひく線の向きについて、「消し方諸説」があるようです。 その文字の向き~縦書きなら縦二本線による消し方、横書きなら横二本線による消し方で消してから書き換える方が正しいという方もあります。 一般的には、文字と同じ向きで消すことがNG。文字と一体化してしまって、見えにくいというのも一つの理由です。(※詳しくは後述しています)

ビジネス文書を大量に毎日扱っていると、出した招待状に対して、この行や行きの文字を「修正テープ」で白くしている消し方の方なども数多く見受けられますが、これは本当にマナー違反。

あて先の相手方が年配の方や、とりまとめ人などがトラディショナルなマナーを覚えている方であれば、縦書きでも横書きでも右上から左下にかけての「斜め二本線」で消しておきましょう。 招待状などおめでたい席への文書の一つ。返信がサインペンや万年筆ならよいのですが、ボールペンなどを使う時には、宛名の文字の大きさや線の太さに十分気を付けましょう。

また「寿」という文字で消すときには、たとえば結婚式や、還暦米寿の祝い等への招待状など、とくにおめでたい祝宴のときの招待状に対しての返信の宛名に限られます。 この場合、「行き」や「行」の上から、赤い筆ペンや赤いサインペンなどすこし太めの筆記用具で「寿」という字を大きめに書いてプラスする書き換えによって、「行き」や「行」の文字を見えなくします。

レイアウト上は、通常の宛名に対して「様」を書くときより、気持ち大きめの文字を使います。寿という文字はもともと画数が多く、「行き」や「行」の字が消えやすいものですが、赤で重ね書きすることで色合いの上で下の字が見えやすいことや、黒文字の中に並ぶ赤文字のほうが若干小さく見えることに由来するといわれています。 消し方は、この「斜め線二本で消す」か「寿の文字で消す」方法でOK! ここまで消込のための線や寿を書いたら次は、宛名部分の文字を書きこむ書き換え作業に入ります。

ですがこれがちょっと難しいのです。

返信の宛名の書き方 その2:宛名のあて先人や部署といった属性に応じて「御中」「様」などを使い分けてプラスし、書き換える!

 

さて、この「行」や「行き」がついていた宛名の人名や係名、企業や組織名にここで着目し、あて先の人に応じて、個別に「御中」「様」などのどの宛名がふさわしいかを、個別に判断しなければいけません。

この辺りは、次のように、日常的なビジネス&社交マナー通りに組織や係、個人名で判断していきます。

企業など組織や部署名+ 行や行き の場合は御中

企業など組織や部署名+行 企業など組織や部署名+行き の場合には、通常は「御中」を使用

企業など組織や部署名+係名 行や行き の場合は御中

企業など組織や部署名+係名+行 企業など組織や部署名+係名+行き の場合には、通常は「御中」を使用

個人名+行 行や行き の場合は御中ではなく様や殿

個人名+行 個人名+行き の場合は。通常は「様」「殿」を使用

企業など組織や部署名+個人名・個人名 行や行き の場合は御中ではなく様や殿だけ!

企業など組織や部署名+個人名・個人名+行 企業など組織や部署名+個人名・個人名+行き の場合は。通常は「様」「殿」を2回書き加えて使用

企業など組織や部署名+係名+担当/企業など組織や部署名+係名+担当者 行や行き の場合は御中ではなく「ご担当者様」となるように書き換え

企業など組織や部署名+係名+担当+行 企業など組織や部署名+係名+担当+行き 企業など組織や部署名+係名+担当者+行 企業など組織や部署名+係名+担当者+行き の場合には、通常は「ご(もしくは御)」を足して、「者様」を使用

企業など組織や部署名+係名+個人名 行や行き の場合は御中ではなく様や殿

企業など組織や部署名+係名+個人名+行 企業など組織や部署名+係名+個人名+行き の場合には、通常は「様」「殿」を使用

この判断基準に従って、「行」「行き」を消して「様」「殿」「御中」などを加えて書き換えていけばOKです。 ちなみに書き換えの時に、この様や殿、御中を書き加えるのは、このあたりの位置が理想。 ここに書き込むと不自然な時には、縦書きなら宛名行の左側に。 横書きなら右下に書いてもいいという郵便マナー本などもあります。 ですが、基本的に外してはいけないのは縦書きでも横書きでも・・・ 「御中」は組織名の右下で。「行」「行く」の斜め上に、レイアウト次第で、右側→左上→左下のように、書いてよい場所が遷移していきます。 「様」「殿」は個人名の右斜め上に「空白を開けずに密着させて」書き換えて加えます。 こちらも同じようにスペースがないケースでは、右側→左上→左下のように、書いてよい場所が遷移していきます。

ちょっと判断が難しい「行」「行き」に対してどこまで「御中」や「様」をつけていいの? NG例でしっかりマスター!

「返信の宛名の書き方 その2:宛名のあて先人や部署といった属性に応じて「御中」「様」などを使い分ける!」でご紹介しましたが、非常に多くの方が「うっかりやっている」間違いがあります。 企業で招待状の返信を扱っていたら、今からご紹介する書き方で、1割くらいのクライアントからの郵便物を手にすることもあります。

 

ですが「実は、相手先の企業担当者には、ちょっと恥ずかしいなあ・・・なんて笑われてしまっているんですよ!」 ということで、「行」「行き」と「御中」や「様」の使い方のNG例を見ていきましょう。

ケース1 企業名+部署名+担当者名のとき

NG: 株式会社 イージス陸上 様 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係様 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係御中 猫並様・犬踏様 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係 猫並・犬踏様

OK :  株式会社 イージス陸上 御中 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係 御中 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係 猫並様・犬踏様

後からご紹介しますが、基本的に、手紙自体は「儀礼的に本来直接出向いて行うべき確認や挨拶を、紙で略式に行う」趣旨のもの。 そのため、個人名がわかっていれば、そこには様をつけることが常識で、企業名止めなどにする宛名を用いることはふつうありません。 人なら「様」や「殿」 部署や団体なら「御中」などを用います。 その部門のあらゆる階層の方に1通で周知させたいなら「各位」などを用いることもあります。

ケース2 団体や事業所名+掛名+担当者のとき

さて、国の機関や施設、そしてそれに倣った組織などでは、掛とあって、これを省略してはならないケースがあります。 この時は、一般企業で言う係が掛という語に置き換わっているため。 例を見てみましょう。

たとえば、「ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 緑豆再生掛 前田・鮮田」という方から、招待状や履歴書送付以降の面接や合宿への参加伺いなどが送られてきたとします。この時考えられる宛名では、次のようなものがありますが、この書き方はNG/OK

NG: ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 様 ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 緑豆再生御中 ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 緑豆再生掛 前田・鮮田様 ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 緑豆再生 前田様・鮮田様

OK :  株式会社 イージス陸上 御中 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係 御中 株式会社 イージス陸上 機材部機材化課 在宅警護係 猫並様・犬踏様

たとえばこんなときに宛名に先方が「行」も「行き」も一切つけずに「ロ立学校法人 日本九月キャリア形成上陸学校 緑豆再生掛」だけで止めてくるような担当者の時もあります。 こんな時にも、先方が省略してきたからと言って自分たちが省略してしまうのはNG。 適切な位置に適切な書き方で、「御中」や「様」「殿」を差し込むようにしましょう。 また、宛名の場合、相手方の担当者名がわかっているときには、その個人名を使用します。

そして、 企業によっては、相手方企業名の後にかならず「御中」を付けたうえで個人名に「様」をつけるようにといったお達しがある企業もあります。 こういったところでは、長いものに巻かれろで、正しい使い方を説明したうえで、まだ「それでもうちはこういうやり方」と言われたら、それに従っておくのがコミュニケーション上よいケースもあります。 あえて「御中」や「様」をつけないという企業で、受取人をイラっとさせるといった運用ではなく、「御中」や「様」が多すぎるなら、それに従っておくのもよいでしょう。

宅配便の伝票/送り状であらかじめ「行」や「行き」が印刷されている場合も、書き方は同じ「二本線」で消して「様」「御中」

 

最近は、出欠伺いや、その他申込書返信などについても、郵便ではなく宅配便などを利用するケースがあります。通常宛名欄は横書きで、複写紙利用のため、文字を消すには上から書き換える方法以外ありませんよね。 この時も、返信用の伝票や送り状が印刷されて同封されており「行」や「行き」となっていることが一般的。 この時も同じく、宛名欄の「行」や「行き」を二本線で消したうえで、「様」「御中」などを追加します。消し方も先ほどご紹介した、郵便物の時と全く同じななめ二本線による消し方でOK。 「御中」や「様」「殿」などどの文字を追加するかは、先ほどご紹介の通りの判断基準でOK。

郵便物の封書はがきの宛名欄よりも、この宅配便などの伝票や送り状のほうが、非常にスペースが小さく大変なものです。 書き込むスペースがない場合で、とくに伝票自体を取り換えて問題がないときには、宛名伝票を交換して新たなものに書き直しましょう。 着払いやその他設定が印刷されているものでは、宅配の集荷担当の方に確認して、伝票に貼られているコードなどが引き継げるのなら新たな伝票で。できない場合には、元の伝票の空いたスペースに、「様」や「御中」をしっかり見えるように、斜め位置などから書き足します。

二本線で消す消し方はもともとのマナーではかならず斜めだったのですが、これにはちょっと実用的な理由もあり・・・ ・相手に対して宛名を書き直していることを見やすくするため ・もともと印刷されている「行」や「行き」の位置よりも高い位置から消し始めるため ・新たに書き足す様や御中は同じ行に書くわけではなく、その横に出すので、スペース効率を考えて といった由来が知られています。

そもそもどうして宛名には「行」や「行き」と書かなくちゃいけないの?

 

本来であれば、相手に出席していただくところや、そのほかの意思を確認するのに出向かなければならないところを、件数が多いといった事情などで、書状をもって相手にお願いしているというのが郵便による返信スタイルの出席伺いその他です。 荷物を送ってもらう時も、本来なら相手方に直接だれかが受け取りにいかなければならないところ、相手の手を煩わせることをお願いしているというのがこの返信スタイルのベース。

そのため、できるだけ相手に手を煩わせないために宛名も自分で、自分あてのものを書くわけですが、その時に。自分に対して「様」「御中」などとつけるのはやはり不自然。 ここはへりくだって、自分あてに「行」や「行き」をつけているのです。 ですがたとえば、社交面で非常に忙しい方などの場合、件数が多ければそれも手を煩わせることになりますよね。 そんなこともあって、現代では、返信にあらかじめ「様」や「御中」をつけるような、中高年からすると、思わず眉を顰めたくなるようなマナーの方もあります。 ちなみに、「××受付係」のようなあて先の場合も、この「行」や「行き」に倣い「××受付係行」「××受付係行き」のように表記して相手に送ります。

郵便やビジネス文書その他の宛名でしか使うことのない「御中」~いったいどんな時につかっていいものなの?その使い方は?

おん‐ちゅう【御中】の意味 郵便物などで、個人名でなく、官庁・会社・団体などの宛名の下に書き添える語。

出典:御中(おんちゅう)の意味 - goo国語辞書

そもそも御中を人の名前を含んだ時に使ってはいけないのは、 ・相手が個人名なら「様」や「殿」 ・相手が担当や担当者なら「ご担当者様」(「ご担当様」) ・相手が組織名や部署名なら「御中」に限られるというところにあります。

相手のある宛名なら一通り使うことができ、 郵便物や荷物のあて先から、請求書や見積書などの送付状の宛名(請求書や見積書は基本個人名もしくは企業名なので、個人名なら様、企業や係掛名なら御中など)、FAXの宛名などにも用います。

返信の宛名「行き」「行」「御中」について、いかがでしたか?

 

実はこの宛名問題をはじめ、招待状に対する接遇マナーというのは、掘り下げて考えると非常に難しいものがあります。

たとえば、ビジネスシーンでも非常に目上の方から直々に頂いた書状~たとえば、名誉会長の還暦祝いの席で、招待状の中にほんの一行、別に宴席が設けてあるといった記述があったり、久々に会いたいので時間を調整したいといった記述があるようなケースで、お互いが企業の役員だったといったケースなどもあるでしょう。 こんなときは、いただいた返信は自分でまず書いたうえで、本人が事前に相手を訪問するときに持参するか、あるいは代理の人が返信を持参しがてらスケジュールを調整・・・といったような流れが一般的です。

お祝い事の前にこういった何か特別な関係を演出してくれるご招待があるようなケースでは、予祝を兼ねて、ちょっとしたお土産や記念品、当日役立つだろうものなどをもっていったりといった演出を、招待状を渡された側も行うのがマナーです。 結婚式でも同じで、たとえば親友など特別な友人だけを早い時間に招くようなケースでも、これに近いような、「招待してくれた人に対して、特別な扱い」で答えるのが礼儀の一つです。

招待状を受け取る側にとっては、比較的人生のうちで多数招かれたりするお祝い事やその他人生の儀式あれこれ。 ですが本人たちにとっては、人生でたった1回通過するだけのとても大切な節目のイベントでもあります。 いくら現代、郵便などをもっての手続きで簡略化されたとはいえ、人付き合いのレベルや相手の礼節レベルに合わせて、招待状など返信ひとつとっても、そつなくうまく対応できる知識や経験を蓄えておきたいものですね。