有給休暇の繰越はできるの?できない理由はある?

キャリア/就活

突然ですが、これまで就職活動や企業勤務の中で、有給休暇についてしっかり調べてきたことはありますか?
実は企業によって、かなり会社側の制度解釈と適用なども分かれる有給休暇制度。
有給休暇の繰越なども、非常に制度理解が難しい問題。

今回は、有給休暇の中でも「とくにわかりにくい有給休暇繰越問題」と、それができない理由などをまとめてご紹介します。

有給休暇制度は法による定めがあるが、「その定めよりも労働者にとって有利」な就業規則や制度設定が行えるもの

よく有給休暇制度とその日数や繰越などの取り扱いには、法による定めがあるといわれます。

各種の法による定めには、

・その数値や基準の値通りにすべての人や法人等が従わなければならないもの
・それを超えてはならないもの
・それを下回ってはならないもの

などがあります。

有給休暇制度の大部分は、それを下回ってはならないもの=「最低基準の定め」として存在しています。

そのため、法で定めている項目よりも、労働者にとって有利な制度で、その他の法律との兼ね合いで運用が可能なものが設定されている場合・・・もうすこし簡単にいえば、法で定めたものよりも労働者などにとって有利な状態=法の基準以上に設定し、かつそれが他の法との兼ね合いで労使双方に運用的に齟齬が生じないものであればOK・・・というたぐいの制度です。

具体例ですが、たとえば、初年度の有給は、入社日からすでに14日つけるといったところもあります。また極端な例では、有給の実質的繰越日数は在職中永遠に不滅といった、労働者側にとって極端にお得な規則の制定と、運用を行うことも可能なのです。

すでに大手など、労働待遇の良い企業では、一部こういった柔軟で労働者にとってもウレシイ制度も長く運用されています※。

ですがたとえば、有給休暇として繰越させるのか、あるいは有給休暇ではなく法定部分を超えた部分を、別途独自システムの休暇として付け替えてカウントさせるなどを行わなければ、使用者である企業側にとって不利となります。あとから説明する法定の時効を超えた部分の有給繰越制度を設ける際には、実質の繰越分の日数に対して、どんな休暇の取り方をさせなければならないかを他の休暇制度や自社内の各種手当制度などとバランスさせながら、設定しなければなりません)

労働基準法によると、年次有給休暇は次のような繰越の定めがある

有給休暇は、労働基準法第39条に規定されており、その繰越に際しては民法の適用を受け、2年の消滅時効があります。

(年次有給休暇)

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

六箇月経過日から起算した継続勤務年数

労働日

一年

一労働日

二年

二労働日

三年

四労働日

四年

六労働日

五年

八労働日

六年以上

十労働日

○3 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。

一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者

二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者

○4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。

一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲

二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)

三 その他厚生労働省令で定める事項

○5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

○6 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。

○7 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。

○8 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

e-gov|http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000049&openerCode=1#212

ちょっと長くてわかりにくいため、そのポイントだけ、ご紹介します。

有給休暇は最大で、年20日発生して、2年間繰越できる!

上の労働基準法第39条の中に記載があるように、有給休暇は最大で、年20日はすくなくとも自動的に発生します。
発生の要件のくわしくは、正社員やパートなどの職種や、勤務時間とその実態、勤続年数などによって異なってきます。

民法の時効が適用されるため、2年で、よって「法によって定められた繰越される有給休暇の最大日数」は40日となります。
法的には、これ以上の有給休暇繰越は、企業側としては設定しなくてもよいわけです。

有給休暇は事前に、業務に差支えがない範囲で申請して休むスタイルの休暇

有給休暇というのは、基本的には病休やその他の休みとは違い、「しっかりと休息をとることで、リフレッシュして、毎日の仕事を心身ともに万全な状態で送ってもらうために与えられる特別な休暇」。

事前に予定が立つタイプの休暇です。そのため、従業員が一斉に休暇を取ることや繁忙期にあたるなどの理由で業務に差支えがないと企業が判断した場合、申請通りの日付で有給休暇の権利を行使=有給休暇を使うことができます。

といった事情もあり、有給休暇は「制度の趣旨に沿って会社側が運用していたとしても」かなり使いにくいもの。

「その年内に使用できなかった有給休暇は繰越ができる」というのは、一般的な民法の権利とその行使の関係からは、ある種当然と多くの人が考える部分でもあります。

有給休暇は企業によって、取得のしやすさも、消化率も、そして持ち越し日数自体も大きく違う!

最初にご紹介したように、企業によって有給休暇の持ち越し日数や制度は「労働者にとってより有利なように」設定することもできます。

ですが、よく「ブラック企業報道」などにみられるように、実際には、有給休暇の取得のしやすさも、また全社での有給消化率なども、「官公庁への届け出や調査などがあるにもかかわらず」かなり低いところもあります。

また、就業規則などで、有給休暇制度の解釈を変えた場合などには、「官公庁への届け出」をする必要がありますが、それでも、労働基準法を満たしていない規則となっている企業も少なくありません。

よく見かけるのがスタートアップ期などの企業で「有給休暇をとれない代わりに、給与が高い。だから有給休暇の繰越はしない」ということを就業規則や求人広告の中に明文化しているケースなど。「明文化すると法に触れるなら、口約束で」としている運用も目立ちます。

いずれのケースも、「有給休暇については2年間は繰越できる」という本質を守っていないため、これはいずれも法令違反で無効となります。
ルールや運用はどうであれ、有給休暇の繰越が実際に行われていなければ、違反なのです。

え!普通は、繰越した分の休暇って、古いものから消化されるものでは無いの!?

最近は、企業に在籍しながら、数年に一度、有給休暇を最大限に使ったスキルアップの短期留学などに出かける人も増えています。

実は有給休暇は、繰越算定が非常に面倒。

たとえば

2011年に7日の有給
2012年に20日の有給
2013年に20日の有給を使い残した人がいて、
2014年現在18日の有給を使い残しているとします。

この場合、2014年現在、20日+20日+18日=58日までは有給があると勘違いしがちですが、繰越限度は1年あたり20日で2年間。すでに2014年が始まっていれば、有給休暇の付与日との関係で、繰越た有給休暇と本年発生した有給休暇の合計の日数は若干前後します。

この日数の前後との関係と付与日、そして、時効が発生する期日(通常なら毎年末や、入社日から最初に発生した月を基準にした日数を境に、持越1年あたり、最大20日が「ごっそり」消滅する)との関係で「有給が持越できない」「うちは急に有給が消える変な制度」などと勘違いされる方もあるようです。

さらにこの繰越た分の最大40日間も、無言で申請すれば、その年に新たに発生した有給休暇から消化されます。

たとえば簿記で言えば、FIFO(First In, First Out 先入れ先出し法)とLIFO(Last In, First Out 後入れ先出し法)の差です。

まさか、繰越しの解釈については、このLIFO側・・・後から追加した分の休暇が基本的には先に昇華されるので、有給休暇消化の時に「前年繰越分から消化」として届け出ておかなければ、翌年の有給休暇繰越日数に大きな差が生まれてくる!

有給休暇はLIFO型だなんて・・・知らなかった人も多いのではないでしょうか?

企業によっては、人事担当者の采配で、申請された有給休暇は自動的に前年繰越分から消化としているところなどもありますが、数はそう多くないかもしれません。

また繰越方法について、労働者に非常にお得な制度を設定している企業もあります。

大手の入社時就業規則説明会などでは、各社で比較的しっかりと説明される項目の代表が、この繰越分年次有給休暇の取り扱いとなっていることからも、いかに多くの企業で、扱いが分かれているかが理解できるかもしれません。

契約社員、アルバイト社員などでは、契約更新で有休休暇繰越不可といわれることが多い!

契約社員、アルバイト、パート社員など一定の勤務時間や日数を満たして有給休暇が付与されておきながら、「毎年の契約更新の都度、有給休暇は0にリセットされる」とした就業規則を持っている企業はいまだに多いようです。

数年前にかなり力を入れて、有期契約社員が「継続的労働者としてみなされるかどうか」については、様々な例示と、官公庁による指導などが非常に盛んで、かなり各企業の有給休暇制度解釈や運用も改善したはずでした。

契約更新の時、通常の更新であれば、有給日数は繰越されます。

ですがたとえば、常雇的な有期契約労働者の契約更新とみなされないために、何年も長く勤務しているのに、毎年1~2か月の長期の契約のない期間がある方なども多くあります。

現代でも多くの地域では、1年の有期雇用では1か月+1日程度の契約のない期間があれば、有給日数は繰り越さなくてよい=契約更新の都度0とするといった運用で通っているようです。

今後、状況は変わるかもしれませんが、現在はほぼこの解釈で、有給休暇の繰越が全くないタイプの労働者があることは覚えておきましょう。

今回は有給休暇の繰越についていろいろご紹介しましたが、いかがでしたか?

今回は有給休暇の繰越についてご紹介しました。

勤務日数や、これまでの勤務日の出勤状況、有給休暇の実際の発生日や、各企業のその他の規則などとあわせて、実は非常に個別の判断が難しい部分もある有給休暇繰越。

もしも有給休暇申請をしてみて、労務部門にちょっと納得のいかない説明を受けたら・・・

・地域の法律家や社会保険労務士の窓口
・労働基準監督署
・自社以外の労働組合

などに相談してみるのもよいでしょう。

インターネットの就業規則や労働関連サイトで、専門家に相談してみるのもよいかもしれません。

インターネットで専門家に相談できる人事総務労働関連サイト

総務の森
http://www.soumunomori.com/

日本の人事部
https://jinjibu.jp/

労働者に認められた、お給料をもらいながらじっくり休める休暇。

しかも、法で定められた&企業の定めによる繰越制度もあり、使いきれなかったら翌年以降に繰越てつかえます。

こうしたさまざまな制度をしっかり理解して、無駄にせず利用したいですね。